第16話 諦めの悪い第二勇者
グラティア辺境伯――いや、マルガリータさんを仲間に入れ、領地問題も解決した。今後は気にせずという話で落ち着いた。
「理解があって嬉しいですよ」
「アウルムさん、普通に接してくれて構いませんよ」
「ん、そうか。じゃあ、ありがとう」
「いえいえ」
フェルスに乗って、再び『EXダンジョン』を目指していた。辺境伯のお屋敷からは、そこそこ距離がある。やっぱり、ラマ・パコスを借りて正解だったな。
――1時間後――
「到着っと。ここがEXダンジョンです」
「素晴らしい! こんな森の奥地にこんな遺跡が召喚されていたとは……なんと神秘的な神殿なのでしょう。小部屋もあるとは、サービスがいいですね」
キョロキョロとマルガは、周囲を見渡した。ちなみに、フルクトゥアトを『フルク』と呼んでいるように、マルガリータも『マルガ』と呼んで欲しいと要望があったので、そうした。
「さっそくダンジョンへ行ってみます?」
「そうだな、フルク。……ん、まて。この気配……」
急に周囲の空気が変わった。
この重苦しい覇気は――
「おい!! アウルム!!」
「うわ……第二勇者・セクンドス」
また性懲りもなくやって来たのか。しつこいな……って、アレ。あいつ、ひとりだぞ
「おい、セクンドス。お前、仲間はどうした?」
「……お前のせいだ」
「は?」
「全部お前のせいだ!! アウルム!! お前が……お前がこのEXダンジョンを奪ったせいで、何もかもが狂った!! ルードスとは喧嘩別れ……オリエンスとインゲルスはギルドを抜けやがった!!」
そういう事か……可哀想に見限られたんだな。
これっぽっちも同情できないけどな。
「で?」
「で……だと!! お前ぇ!! レベル0のヘッポコ勇者のクセに何このダンジョンを独り占めしてんだよ。ふざけんな!! これは魔王を倒した私のダンジョンのはずだぞ……! お前はそれを横取りにした盗賊野郎だ!」
「さっきからピャーピャーうるせぇよ。お前は俺の『勇者』ポジションを奪っただろ。魔王も倒して名声も莫大な富も得ただろう。十分じゃないか? だからさ、引き換えさ」
そう、俺こそが勇者であった。
レベル0であろうとも、剣技の道を極め努力し、世界を巡った。けれども、ルードス達は勝手に俺を見限り、勝手にボコボコにした。仲間なのに?
本当の仲間なら、ボコボコになんてしない。
だから、ヤツ等は仲間なんかじゃない!!
それに……
「おい、セクンドス。俺の事を言うのは構わん。だが、この人の事は正せ」
俺は、マルガの背を押した。
「……セクンドスさん。わたしがグラティア辺境伯です」
「なんだと!? メイドが!? 道理で見つからんワケだ……。とにかく、サフィラス伯爵がお前を探していたぞ。領地と寄越せとな。今の私には関係ない話だがな」
「へぇ、領地を。それでわたくしのメイドを狙って……まったく、サイテーな方達ですね」
気分を害したのか、マルガは背を向けて俺の方へ。
「大丈夫か?」
「ええ。わたくしはもうあの偽物の勇者と会話を交わしたくありません。当面の敵は、どうやら伯爵のようです。ご協力戴けませんか」
「もちろん」
ありがとうと言って、マルガは小部屋へ。
俺は向き直って話を続けた。
「おい、セクンドス」
「ああ……私と決闘しろ。勝った方がこのEXダンジョンを――――」
「追放だ」
丁度、セクンドスが領域内に足を踏み入れていた。だから、俺は権限を使ってヤツを追い出したのだ。
「ちょ……うあぁぁあぁぁぁぁ――――!!!」
ぽわんと光が地面から湧き出て、セクンドスを追放した。最後まで何かを叫んでいたが、うん、忘れよう。
もし面白い・続きを読みたいと感じましたら、ブックマーク・評価をお願い致します。




