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地獄転生

 

 唐突にですが死にました。ええそれはもう豪快に死にましたとも。


 どんな死にかたかって?


 それはあれですよ。転生系の小説とかでよくあるあれです。


 そう車に轢かれて死ぬというあれです。死因の原因、プリウスミサイル。


 コンビニに行く途中、プリウスに突っ込まれました。もちろん高齢者ドライバーでした。


 警察にはブレーキとアクセルを間違ったという高齢者特有の言い訳をしていましたよ。


 どこで見てたのかって?もちろん死んで幽体になって宙から見てました。


 宙から手足がもげた自分を見て、あぁ俺死んだんだなと、そう実感しましたね。


 俺の前に並んでいる死人とそんな会話をしながら、死後の宣告を待つ。


 どうやら閻魔大王様とやらが死人の生前の行いなどを見て地獄へ送るか輪廻転生させるか決めてるらしく今はその宣告待ちの列に並んでいるという状況だ。


 あ〜長かった。もうすぐ閻魔大王様とやらに死後の宣告を受けることができる。はじめとんでもない数の死人の列を見た時は唖然とした。


 どれだけ待たないといけないのかと。実際24時間くらいは待ったんじゃないだろうか。まあここは現世とは時間の流れが一緒なのかは分からないので、あくまで俺の体感時間でということなのだが。


 おっと、前に並んでた人が宣告を受けている。


「なるほどのぉ、貴様生前中々に善行をこなしているようじゃのう。よし、貴様転生!これ整理券じゃ、あっちの門で待っておくのじゃ」


 ちらっと今転生の整理券の番号が見えたけど14万562番で書いてあったけど、またどんだけ待たなきゃいけないだよ。いや、でも待てよ。赤ん坊って秒で生まれまくってたよな。1〜2秒につき1人くらいは生まれてる訳で1日は8万6400秒だから二日あれば生まれるのか。


 なんというか死んでからのテンポ早いな。


「よし、次の死人参れ」


 おっ呼ばれた。


「ふむ、ふむ」


 なんか巻物を読んでふむふむ言ってるけど、多分生前の俺の事が書いてあるんだろうな。犯罪なんか犯してないし、当然転生だろう。あとは親ガチャでSSRが出る事を祈ろう。超金持ちの親、お兄ちゃん大好きブラコン超絶美少女の妹がいて、隣の幼馴染はめちゃくちゃ可愛くてもちろん俺はイケメン、スポーツ万能。うん、こんな感じがいいな。


 妄想が捗るぜー


「ふむ、お主25歳にもなって無職じゃったのか。ニートでゲーム三昧。親の金をヒルのように啜り、親御さんはお主のせいで過度のストレスを患い毎日血便が出とったそうじゃぞ」


 くそ、唯一心配していたニートであることを論点にしてきたか。しかも親が血便?そんなことまでその巻物に書いてあるの?怖いよ。


「そんな仕打ちをしてなお、親より先に死ぬ。お主は親を何度悲しませるのじゃ」


「親には本当に申し訳ないと思っています。次の人生ではかならず親孝行します。なのでどうか転生させて下さい」


 もちろんこんなことは口から出まかせだ。地獄行きは辛いだろうからな。なんとしても転生してやるぜ。


 あとはもうひと押し。ぐすっと泣く演技をして次の人生では親をどれだけ大切にするか閻魔様に説く。


 まさかニートである事でこんなに攻められるとは思ってもいなかった。犯罪や悪さなんかも特にしたことが無いので即断で転生行きだと思っていたのだが。


 まあでもここまで真摯に言っているんだ。転生いきは確実だろう。


「うむ?、お主親孝行するなど嘘で言っておるじゃろう?儂を見くびるなよ小僧あぁ〜ん?でもまあしかしそこまで転生したいのか」


 嘘が一瞬でバレたけどなんか転生させてくれる雰囲気だ。


「はいっ!転生したいです!」


「そこまで言うならしょうがないのう。よしじゃあ転生じゃ、これを持ってあっちの門に行け」


 整理券を受け取ると、そこには1の番号が書かれていた。


 1って書いてあるけど、すぐに転生できるじゃん。さっきまで転生の列がずらっと並んでたけどもう全員転生し終わったのか?


 パッと転生門の方を見るが、ずらっと列が並んでいる。最後尾にはもちろん俺の前に並んでいて先ほど14万562番の整理券を貰っていた人がいる。


 どういうことだ?あぁそういうことか。


「閻魔大王様、これ転生の整理券ですよね?まだまだ並んでるみたいですけど順番抜かして転生しちゃっていいんですか?」


「なにを言っておる。お主が並ぶのは転生門の先にある赤色の転生門に並ぶのじゃ。いいから行け、お主のせいで後がつかえとるじゃろうが」


「はぁ分かりました」


 そう言いたくさんの人が並んでいる転生門の列を横切り、奥にある赤色の転生門へと向かう。


 転生って言ってたよな。大丈夫だよな?


 赤色の転生門の前にはゴリッゴリの体格をした悪人顔の門番がいた。


「どうも転生者さんですね?」


「あっはいそうです。というかこの門って本当に転生門なんですよね?俺ちゃんと輪廻転生してまた、生前の世界で生きれるんですよね?」


「ちゃんと転生できます、ご安心を、さあ早く入ってください」


「分かりました」


 歯切れが悪い返答だったが言われるがまま赤い転生門に入る。するとそこには1人の可愛い、見た目高校生くらいのツノの生えた女の子が立っていた。


 あれ門に入ったら即転生じゃないのか?


「こんにちは、私は閻魔様の使いでこの門のナビゲーターをしているマニマニと言います。この門に入られた方は久しぶりですよ。いやほんとに。やっと閻魔様が私に仕事を振ってくださったみたいですね」


 マニマニさんはごほんと一つ咳払いをし、こう言い放つ。


「ようこそ、”地獄転生”へ」




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