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1.溺れたのは王子ではなく私
はじめましてこんにちは。
こちらは童話モチーフの異世界転生
ラブコメです。
楽しく続けていきたいと思います。
よろしくお願いします。
私は歌を歌うのが好きだ。
幼い頃から母が歌ってくれた歌が大好きで、
毎日毎日せがんだ。
シンガーソングライターになったのも歌が好きだからだし、
軌道に乗ってきたこの頃は、これでご飯が食べれることが幸せだった。
私がいつも歌を作るのは実家近くの海で、
それはどの季節でも変わらなかった。
秋口の海は少し肌寒く、人はほとんど居ない。
ギター片手に思うままに歌い、紙にとめていく。
曲作りが乗ってくると、集中をし過ぎて周りが見えなくなるのはいつもの事で。
夕日が目にしみ出すのが帰りの合図だった。
だから気づかなかった。
穏やかないつもの海があんな高い波を連れてくるなんて。
夕日を遮るほどの高波が私の最後の景色になったのだ。