第二十二話 みんな色々あるんです
明けましておめでとうございます。今年もNEXCOと「俺が私で私が俺で………」をよろしくお願いします。
更新が大幅に遅れて申し訳ありません。これからは定期的に更新出来ると思います。
さて今回はついにあのキャラクターが口を開きます。
それではどうぞ。
その後も裕人は涼子とまともに話すことができず、時間はどんどん過ぎて行った。
日を追うごとに裕人は焦り、食事も喉を通らなくなった。告白ということを考えること自体が初めての裕人へのプレッシャーは相当なものだった。
そして時は過ぎ、修学旅行最後の夜。愛絵と裕人は夕食を終え、部屋へ歩いていた。
愛絵「裕人、本当に大丈夫なの?ほとんどご飯も食べないで………」
裕人「大丈夫だよ………本当に………」
愛絵「それならいいけど………」
愛絵はこれ以上話しかけるのをやめた。
裕人の今の姿は見るに堪えない状況だが、これは裕人が自分で越えなければならない壁である。
愛絵はそう思い、様子を見守ることにした。
一方涼子も悩んでいた。どんなに考えても結論は出なかった。今まで幼馴染みとして自然に接してきて、突然好きかと言われてもすぐに答えられるはずがない。
悩めば悩むほど、結論へは遠ざかっていくようだった。
部屋へ帰っても裕人は悩んでいた。その時だった。
コンコン
愛絵「ちょっと見に行ってきてくれない?」
裕人「うん…」
裕人は立ち上がり部屋の出入り口に近付くと、ゆっくりとドアを開けた。
裕人「え………信哉………くん」
信哉「ごめん。こんな時間にきて。ちょっと話があるんだけど、いいかな?」
裕人「うん。いいけど………。かなたん、ちょっと行ってくるね」
愛絵「はーい。いってらっしゃーい」
そして二人は、ホテルの庭へとやってきた。
裕人「わぁ…キレイ」
裕人は上を見上げ、満天の星空に向かって呟いた。それを見ていた信哉は、クスクスと笑っていた。
信哉「いやぁ。良かった」
裕人「なにが?」
信哉「最近牧野さんさ、元気無かったみたいだから、いつもの笑顔に戻ったみたいで良かったなって思って」
裕人「うん………。
それで、話って?」
しばらく間を置いて、信哉は話し始めた。
信哉「あのさ、俺、牧野さんのこと………好きだ」
裕人「えっ!?」
信哉「ずっと牧野さんのこと見てた。そして気付いたんだ。俺、牧野さんのこと好きなんだって」
裕人「うん………」
裕人はまだ何が起きているのか理解出来なかった。ただ、頭の中で信哉の「好きだ」という言葉が響いていた。
信哉「返事は今すぐじゃなくていいよ。ゆっくり考えて、答えて欲しいな」
裕人「うん………」
信哉「本当わざわざ呼び出してごめんな」
裕人「うん………大丈夫」
信哉「じゃ………おやすみ」
裕人「………おやすみ」
そういうと信哉は恥ずかしさを見せまいと、部屋へと走っていった。
裕人が部屋に戻ると、愛絵が笑顔で出迎えてくれた。
愛絵「おかえり。で、何の話だったの?」
裕人は、信哉とのやり取り全てを愛絵に話した。
真剣な表情で聞いていた愛絵は、裕人の話が終わると優しい笑顔になった。
愛絵「裕人は悩むことないよ。これはりょーこに対する告白なんだから。別に深く考えなくていいわよ」
裕人「そう…か?」
愛絵「そうよ。裕人はりょーこに告白することだけ考えればいいのよ」
裕人「ああ。ありがとう」
愛絵は素直に自分のことを応援してくれている。裕人は安心してそう思うことが出来た。
しかし、涼子への好意は自分だけが向けているのではないという事実から、裕人の焦りは高まっていくのだった。
そして横で裕人の様子を見た愛絵は、あることを思いつくのだった。
続く
次回、愛絵の計画が明らかになります。そしてこの計画が、物語を大きく前進させていきます。
ではまた、次回。