第十五話 学生ですから、テストはつきものです その4
話は少しずつ進みます
今回の国語のテスト範囲は古文。
モロに裕人の苦手範囲であった。
裕人「………」
(凄い勉強したけど、全然わかんねぇぞ………でも………)
勉強したとはいえ苦手範囲は苦手範囲である。そう簡単に克服されるものではない。
しかし、今日の裕人は違った。
なにせ今は涼子の姿。自分のテストの成績がそのまま涼子の成績になるのだから、全力でいい成績を取らなければならない。
しかも、涼子はクラスでトップクラスの成績を取っている。並大抵の努力では涼子の成績に追いつけるものではない。
だからこそ、このままでは終われないという気持ちが裕人の心にはあったのだ。
(絶対良い点数取って………牧野に………)
その熱意が脳に通じたのだろうか。
突如として裕人の脳は眠気を吹き飛ばしフル回転を始める。
(わかる………少しずつだけどわかるぞ………)
そして裕人は一つ一つ問題をクリアしていった。
それはゆっくりではあるけれど、確実なものであった。
そして、テスト終了後。裕人と涼子は下校の途中にあった。そして今日は愛絵も一緒だった。
涼子「ゆーと、テストどうだった?」
裕人「うん、なかなか出来たと思うぞ」
愛絵「あれ?裕人は国語苦手じゃなかったっけ?大丈夫だったの?」
裕人「俺をナメちゃ困るな。これでもやるときゃやるんだぜ」
愛絵「じゃ私と点数で勝負する?」
裕人「や、それはやめとく………」
愛絵も涼子ほどではないが成績は良いので、裕人が勝てるレベルでは無い。
愛絵「あーら、でもりょーこの体なんだから、私に成績で勝てるくらい点数取らなきゃだめよ」
裕人「うっ………」
涼子「かなたん、今回はゆーとも出来る限り頑張ってくれたからあたしはそれでいいわよ。
次はあたしが明日音楽のテストを頑張る番ね」
愛絵「でも、りょーこはホントに音痴だからなぁ」
涼子「ちょっ、ちょっと!
これでもあたしゆーととたくさん練習したんだから、絶対大丈夫なんだから!」
愛絵「はいはい。明日楽しみにしてるわよ」
涼子「むぅ………」
裕人「ま、まあ牧野、明日は頑張れよ。俺も頑張るから」
涼子「うん………ありがと。
あたし、精一杯頑張るね」
愛絵「ホントにあんたたち仲いいわね………。
付き合っちゃえばいいのに」
(はぁ!?)
裕人「え、えっと………」
裕人が答えに困っている横で涼子は即答した。
涼子「べ、別に、ゆーととはただの幼馴染みだから、付き合うなんて、そんなことは………」
愛絵「りょーこはホント鈍感ねぇ。
まあいいわ。とにかく明日もテストだし、今日はそろそろ帰りましょ」
裕人「あ、ああ………」
(やっぱ牧野、俺のこと………)
そう落ち込む裕人をよそに、涼子は明日のテストに向けて気合を入れ直すのであった。
続く
涼子の鈍感さはしばらく暴走しそうです。裕人もそれに振り回されるでしょう………。ではまた次回