第十話 入れ替わるということ その2
前回の続きです。それではどうぞ。
一時間目は、国語の授業であった。
(古文………苦手なんだよな)
裕人は国語が苦手であった。
特に古文は、まるで呪文を唱えているようにしか聞こえない。
裕人の頭の中で古文は全く意味不明なものであった。
教師「はい、じゃー99ページの文を………牧野、読んでみろ」
(え!?マジかよ!?よりによって俺!?)
教師「どうした?牧野。早く読め」
裕人「は、はい………」
裕人は教科書の99ページを開く。そこには、ケンコウとか呼ばれる人が書いた話の序文が書かれていた。
(全くわかんねぇ………。取りあえず読むしかないな)
裕人「えーっと。………つれづれなくままに、ひぐらし?なんじゃそりゃ。
んですずりにむかひて………」
教師「ストップ!!
牧野、どうした?調子悪いのか?」
裕人「いえ………」
教師「まあ、いい。取りあえず他の奴読んでくれ」
裕人「はぁ………」
その後の授業も上手くは行かなかった。
優等生である涼子のイメージのせいか、裕人は毎時間問題を答えさせられた。
しかし中身は裕人である。答えられないことも多く、学校が終わる頃には完全に落ち込んでいた。
そして放課後。
裕人は涼子と愛絵と三人で下校していた。
裕人「………」
愛絵「ま、まあ元気出しなって。
始めはそんなもんだって」
裕人「でも………牧野と同じようになんて全然………俺には………」
涼子「いいって。気にしてないし。
今度あたしが勉強教えてあげるから。
少しずつ頑張ろう。ね、ゆーと」
裕人「うん………」
そうは言われたものの、入れ替わるということの厳しさを今さら感じ、本気で悩む裕人であった。
裕人「はぁ………」
家に帰った裕人は、ベッドで横になっていた。
(最初は戸惑いもあったけど、牧野の体になって、牧野の生活も知ることが出来て、正直嬉しかった。
でも今は牧野に迷惑掛けてばっかで、牧野に申し訳ねぇよ………。
俺、本当にこのまま上手くやっていけるのか………)
本気で悩む裕人。しかし、問題はこれだけでは無かったのだ。それはまた、次回………。
続く
やはりこういう場面は苦手だな………と感じる作者です。次回は打って変わって色んな意味で大変な話になります。それではまた次回………あ、エクストリーム・昔話もよろしくお願いします。