ビーマストスマイル
私が昨日見た夢を文字に起こした作品です。
主人公=作者の分身と考えていただければわかりやすいかも知れません。
今日見た夢はとても不可解なものだった。
薄暗い場所に数名の小さな子供たちと閉じ込められている夢だった。
まわりには人は居らずあるのは四角い大きな箱のようなものと小さな子供たちが数人いるだけだった。そしてそこに推定年齢からすればとても若いのだと思うのだが何故かとてもやつれた女の人が来て俺達を箱の中にいれこう言ったんだ。
「この箱の中にいる時はずっと笑顔を保ちなさい。できなければどうなるか」と。底冷えするように冷たい声で一人の男の子はそれに泣き出してしまった。
それがためにその子は俺達の目の前で首をナイフのようなもので切られ倒れてしまった。
それから何人の子供たちが死んでしまったのだろうか。最初に見た人数の半分くらいはもうこの世にはいない。
ふと視線を感じあたりを見回してみる。
気づいたらまわりに人がいてこちらを見ていた。嬲るようにそれはまるでサーカスの見せ物のように俺達を見る人たちの目がとても気持ち悪かった。そして俺は大きな箱の中に入ったまま作った笑顔を保ちつつも状況がいい方向に変えるにはどうすればいいのかとずっと考えていた。
そこに一人の学ランを着た男が通りがかった。しかしその男はこちらを全く見ずゲーム機のようなものをしていた。
急に視界が眩んだ。
すると不思議なことに学ラン男に入れ替わっていたのだ。そしてさっきまで自分のいた方を見てみた。すると自分だと思われる人間が暗幕の外に連れていかれるのが見えた。そして自分の身体はこのあと殺されてしまうんだということを悟った。
俺はゲーム機を動かしていた。ゲームをしていたわけじゃない。ゲームをするフリをしてここから抜け出す機会を伺っていたのだ。
すると階段から誰かが上がってきた。そいつはさっきまで自分のいた方を見ている。学ラン男とは違い、さっきの俺達の姿が見えているのだろう。そしてそいつは元きた道を引き返そうと後ろを向き走り出している。そこが出口なのだろうか。
しかし俺は異変に気づいた。そいつは同じ場所で足踏みをしているだけなのだ。俺はその事実に戦慄しながら恐ろしい想像をした。まさかここに入ったら出ることができないのではないかと。
そしてそいつは次に俺の方に走ってきた。そしてそいつに俺は声をかけたがそいつはそのまま素通り。暗闇の中に消えていった。
俺は後を追いかけた。自分と同じ人間だと思ったからだ。一緒にここを出よう。そう思った。その瞬間、意識が薄れ視界が眩んだ。まるで無重力空間に投げ出されたかのように平衡感覚がまったく取れずそのまま俺は意識を失った。
そして目を覚ますと自分の家のベッドの上だった。
あれはなんだったのだろう。そう思った。
しかし目が覚めたという事はやはりただの夢だったんだろうと思う。しかし起きた時の吐き気がするほどの気持ち悪さとこんなにもはっきりと覚えているこの夢を簡単には忘れることはないんだろうなと思う。
意識ごとの入れ替わりや笑顔を強要される場面を書きました。
これは人間誰しも、この現代社会で強要されてしまうことだったり別の自分というものを作ってしまって結果的に元の自分ではなくなって入れ替わってしまうといった事を描いています。
そして括りとして。
学ランの男は本当に見えていなかったのでしょうか?
本当は見えていなかったのではなく明らかに危険なものに対し見て見ぬ振りをしていたのかもしれない。
と言っても階段を上がってきたあいつには嬲るように子ども達を見ていた人達のことが見えていたからこそ逃げたのでしょうけどね。
あなたならどうしていましたか?