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金髪巨乳エルフ

 みんなはもう恋をしたことがあるだろうか?

 僕は生まれてこの方1度もない。普通18なら恋の1つ2つ……、なんて思うかも知れないが、僕はしたことが無いのだ。

 僕の当面の目標は女の子と恋人つなぎ、なんて言われるものをやってみたい!


 そんな僕、橘ケイスケは異世界に来ている。理由など分かるはずがない。なんてったって朝目が覚めたらここにいたのだから。

 澄み渡る青い空。眩い陽の光。そして、その光を反射する緑の草たち。

 ベッドの上で寝ていたはずの僕は、パジャマ姿のまま、こんな所に来ていたのだ。


「ここは……どこだ?」


 分かってはいるが声を出す。うん、やっぱり返ってくるのは鳥のさえずりだけ。

 何も無い草原のど真ん中に放り出されている僕は、どうすることもできずにただただ立ち尽くす。


「しょうがない、歩くか」


 ため息混じりに、この訳分からない場所から脱出する。

 まぁ、それにしても暇だ。1人だとこんなに暇なのか。

 いつもなら隣にいるはずの男友達すらいないのは寂しいな……。まぁ、だからといって隣に女子が来るのもあれなんだが。


「あの……」


 その後も何事も起こらないままであったが、遂に声をかけられた。かなりか弱い小さな声だ。あちゃー、こりゃあ女子だな。

 この時、まだここがどこか分かっていなかった僕は、どうせ普通の女子だろうと思い適当に、いつも通りに返事をした。


「何っすか」


 何とも思わず顔を見た僕は、息を呑んだ。

 目の前には、耳が横に伸びたエルフ族がいたのだ。更にその子は、金髪で肌白で、きょ、きょ、巨乳で……。


「うわぁ〜、僕いま、一生分の幸せ使ったな〜」


 ゆるゆるになった顔を戻すこともできず、エルフ族の子を見つめる。てか、女子相手にこんなにテンション上がるのって生まれて始めただ。


「どうかなさいましたか?」


 エルフ族の女の子は、ゆるゆるのどっから見ても気持ち悪い僕に嫌な顔1つせず、そう訊いてくれた。ん〜、ウェルカムトゥハッピー!!

 頭の中は、もうマックスハイテンションだぜ。


「何故か気がつ……じゃなくて、街を探してるんです」


 本当のことを言って怪しまれたり、気持ち悪がられるのは嫌だな、なんて悪知恵が働き咄嗟に嘘を着いた。

 優しい嘘もあるのさっ!

 漫画とかならここで確実に『キラッ』とかついてるな。


「そうなのですか。では、(わたくし)がご案内致しましょうか?」


「えっ!? い、いいのですか?」


 おっと、柄にもなく喜んでしまった。


「ええ、私もちょうど隣街に行くところでしたので」


 優しく、暖かさの詰まった笑顔を僕にくれる。おぉ、これこそマイエンジェル……。


「あ、ありがとうございます!!」


 マイエンジェルなんて思ってもないような様子で、僕は頭を下げた。


「いえいえ。私はホワイトエルフのルイネです。よろしくおねがいします」


 そう言うとルイネは、深々と頭を下げた。

 うぉぉ、む、胸が揺れてる。ちょっと頭下げただけなのに、この胸はやばいな。


「こちらこそです!」


 鼻の下はめいっぱいに伸びている。そんなやましい気持ちが悟られぬように僕も頭を下げ、顔が見えないようにした。

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