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三話

今更ですが、タイトル未定です。

それから3か月後、ようやくゴブリン討伐がなされるらしい。

べ、別に俺の成長待ちじゃないんだからね!・・・たぶん。

そうであってほしい。



この3か月間で俺は暇さえあればただひたすら素振りをした。

こういう時、素振りの一回一回を真剣に行い何かを感じ取って強くなる展開が王道。


だが現実そんなうまい話はない。


どこがおかしくて何が正しいのかもわからないし、それがわかる実力を持っていない。


それに、一回一回そんなことをして時間をつぶすなんてことをするより、体に覚えさせる方が早いし、咄嗟の時に行動することが出来る。


頭では分かっているんですよ。



『足の動きがなってない』とか言われて型の動きを何千何万繰り返したことか。毎日毎日毎日毎日。そりゃわかるよ。わかりますよ。

剣道とかでも最初の素振りは達人になってからでも何千何万もやりますからね。


そんな型をたかだか三か月で誰よりもうまく速くできるようになるなんて、俺も思っていませんでしたからね。


それができるのはスキルとかいう人の努力量が見える代物がある世界で、異世界に来た人が、いいことしたからとか魂がうんちゃらかんちゃらとか言われて、初期ポイントとか言ってぽいぽい選んでステ振りするやつですよ。レベルが上がると実力差がやけに開くあれですよ。主人公とその仲間だけやけに上達が早いあれですよ。



しかも途中から自警団の人も加わって、模擬戦とか言われて何度もぼこぼこにされるし。



でもね、そんな俺でも、いや俺だからだろうかわかりませんが、3か月たちわかったことがあるんですよ。


まず、ある程度は戦えるまでにはなってきたこと(時間稼ぎ)。特に守り。



そして悲しいお知らせ。いや、はやいな。


3か月の特訓の成果がたったこれだけ。悲しいよ。



さて、悲しいお知らせだが、俺にはチート能力とか備わってない。スキルなんてないんですよ!チート能力も。主人公補正さえも!


だってこう言う時って普通『3か月経ち、俺はそこらの奴らと同等、いやそれ以上の実力になっていた』みたいなさ~、あるじゃん。ないんだもん。


ないんだもん!



確かにチート能力なしに成り上がる小説とかはあるよ、ありますよ、確かに。


けど、違うじゃん。


それわざわざ俺にまで要求する必要ないじゃん。一般人ですよ。しかもゆとり世代。これさ~、も~なんなん?これで魔王倒せって。魔王のステータスは知らないけど、まったく倒せる気がしないんだけど。


やる前からあきらめるな?

いや、やりますよ。やらないといけないですからね。

ただこうでも言っておかないと落ち着かないんですよ。


そりゃ、ね、少しは期待しておりましたよ。ええ、もちろん。なんていったって異世界ですもの。


それでいざ異世界きてみたらさ・・・なにこれ?・・・・ねえ、なにこれ?

え?チート能力なし?俺TUEEEない?不死身とかも・・・ない?

す、ステータス表示はさすがにあるよね?え?ない・・・・うそ。


あれ、おかしいな。俺は来る世界を間違えたのか?




そうだ。自分で言っておいてなんだが、知ってるか?ゆとり世代は褒められて成長するんだぞ。決して怒られて成長なんてしないんだぞ。


そうそう、よくゆとり世代=円周率を3と教えられるみたいな風潮あるけど違うからね。

ちゃんと3.14って教わってるからね。

ただ、計算めんどいでしょつって円周率を3として計算しなさいってなっただけですよ。



話が脱線してしまった。何の話だったっけ。ヒロインがいないって話だったか。まあいいや。




とりあえず明日、ゴブリン討伐部隊がそれをしに行く。


んで俺は村の警備。村の警備員。良い響きだ。

まるで自宅警備員からランクアップしたみたいで。


ステータスとか見れたらどのくらい上がってんのかな。これでまだ戦闘力皆無だったら笑える。いや笑えない。冗談抜きで。


あんなにしてきたのに戦闘力に変化なしとか、ほんとにごみじゃねーか。


なんか不安になってきた。ま、そうそう村に敵が襲ってくるわけでもないし、明日を過ぎれば後は借金を完全返済するまで悪魔を刺激しないようするだけだもんな。さっさとこい、明日。






朝、少し早めに起きてしまった。やはり緊張しているのだろう。仕方がないから朝の仕事を終わらしに行く。今日は晴れそうな感じだが気温が低いな。


今日も一日が過ぎますように。


とりあえず拝んでおく。


そういえばこっちに来てから日本人らしいこと全然してないな。

ま~仕方ないと言ってしまえばそれまでなんだが。



こっちの生活環境に慣れるのにも結構苦労した。

だってトイレットペーパーがないんだもん。あれは焦るよ。ほんとに。

え!?どうするのこれ?ってな感じ。公衆トイレ入ったはいいけどトイレットペーパーが無い!みたいな感じ。もしくはそれ以上。


汚い話はこれまでにするが、文化レベルが違うということがこんなにも大変だとは思わなかった。




そんなこんなで一度部屋に戻り、装備を着る。毎日着てきたものだ。もうなめし方も様になってきたし、結構攻撃されて傷ついてるけど大切にしようとは思っている。



さてと。そしてついにこのときが来たのだ。まだ一度も使ってない、あの日買った剣と盾。

いや、まぁ、一応部屋の中で手になじむように振ったりしたけど。


なんか手になじむなんて言葉を使うとこいつ、できる。みたいな感じになるけど俺が使うとぶっちゃけ中二全開ですよね。あ~恥ずかしい。



そんなこと考えながらベルトに剣と盾をつけた。俺の場合、剣と盾を背中に背負う感じに装備する。


右手は上から左手は横から背中に手を回して剣と盾を取る形になる。ほんとは左腰につけたいけど盾があると何とも言えないバランスになってしまう。



やっぱり日本人は腰に剣を携えて、一気に抜きたいよね。いあいぎりー、ってな感じに。



でも俺には盾を手放すことはできないんだ。俺の剣はロングソードみたな、いわゆる長剣ではなく、むしろ少し長めのショートソードなんだ。


もともとロングソードは盾を持たずに両手で扱うものだから筋力が人並みの俺は盾を持ちながらそんなことはできない。

それに比べてショートソードはいわゆる片手剣だから盾を使う人にはちょうどいい武器ということになる。


ちょっと長いのはあの爺さんが俺の性格(小心者)をわかってやってくれたからなのか、もしくは盾と重さを合わせるためか。

前者だとしたら悔しいがありがたい。



話を戻すが、もちろん例外というものはある。


常に片手で長剣を扱う人もいるだろうし、片手で両手剣を扱う人もどこかにはいるのだろうし、二刀流なんてことをしている人もいるのだろう。


ただ俺はそんな無茶苦茶な人間ではないというだけ。

それに二刀流も確かにいいところあるのだろうけど、剣道とかで大体の人が竹刀1本で戦っているのはやはりそれなりの利点があるからなんだと思っている。

二刀流が邪道だとは言わない。

それを判断する立場でもないし、判別する知識もない。

それに二刀流ってかっこいいもん。

廃人でもない俺はそこらのMMORPGで1度はやることだし。




あれ?結構脱線した。


立ち上がりベルトをつける・・・装備する順番間違えた。

プレートを脱ぎ、ベルトを着けてから改めてプレートを装備する。こうしないと紐がプランプランして戦闘の邪魔になる。これでよし。



意外と時間消費してしまった。そう思って下に降りるとすでに二人は起きていて、ちょうど朝食をテーブルに出しているところだった。


 「おはよう」


そう声をかけるとすぐに答えてくれた。


 「おう、起きたか。よく寝られたか?」


なんだろう。今思ったけどこの質問は結構テンプレな気がする。


 「まあまあ、かな」


 「それじゃ、食べましょうか」


調理場の奥からネービアさんが出てくる。

今日の朝食はイモ団子とヤギ肉in野菜のスープとヤギ乳。

いつもより少し贅沢な食事だ。おそらくバーナーがゴブリン退治に行くからだろう。こういう時、なんて声をかければいいのかわからない。


「今日は初仕事だな」


 「えっ?ぁ、あぁ」


 「なんだ。緊張してんのか」


 「まぁ、ちょっと」


 「安心しろ。お前の仕事は見張りくらいだ。それにそんな簡単に魔物は現れない」


 「そうなのか。・・・そっちは大丈夫なのか」


 「あぁ、そんなことか。大丈夫だ。前回もけが人は3人くらいしか出ていない。それに前回よりも人数は多いからな」


 「そっか」


そうしていつもより少しだけ贅沢な朝食が終わり、改めて装備を確認し、昼食(イモ団子)の入った袋を渡され、ネービアさんの『いってらっしゃい』の声を後ろに外へ出る。







 集合場所に行くとすでにほかのやつらは来ていた。


今日の見回りは6人で行うことになっている。ジュン、キース、ティル、トーマス、バリー、ゴートン。

この6人はトーマスとゴートン以外全員20歳以下で村の若手層だ。特にティルは15歳で、最年少。

成長期に筋肉付けてたら身長伸びないぞとか思うところはあるが実力は俺とどっこいどっこい。


 「それじゃジュンは北の方を任せる」


誰がどうするか少し話してからやることが決まった。上から4人は村の周辺を見張り。後の2人はヤギを放している牧草地の警備。のろし用の道具を持ちそれぞれ持ち場に赴く。


ちなみにのろしは皆見ている方向が違うので村にいる人がそれを見つけ次第、警鐘を鳴らして知らせることになっている。






 「暇だな」


持ち場に着いたがやることがない。この持ち場は、村に門がないために屋根と机、椅子ぐらいしかない。みんな何しているんだろう。こんなことなら何するのがいいかアドバイスでも聞いておけばよかった。ぼ~っとするしかやることがない。


どこかの民族は一日の大半をぼ~っと海を眺めて過ごすらしいが、俺にはできないな。なんというか耐えられなさそうだ。


しかし見張ることが今回の俺の仕事。退屈だが、まぁ、久々の一日フルの休暇だと思えばそんな悪い話ではないか。椅子に座り、机に肘をついてぼ~っとする。




あいつは今もこっちを見ているのだろうか。世界の管理者とか言っていたな、確か。


そういえば、魔王ってどこにいるんだろう。魔王討伐隊はどこに行っているのだろう。

こういう時、よくあるのは、ロード大陸にいる生き残りのドラゴンが魔王になった、みたいなものだけど。

いや、これは考えちゃだめだな。フラグになってしまいそうだ。

とりあえず討伐隊についていけばなんとなくわかるだろ。



ゴブリン討伐の方は大丈夫かな。


ゴブリンは洞窟の住人と呼ばれていて『知恵』という特性を持つらしい。これらにより、ゴブリンは夜目が利き夜行性で、物を何でも利用する。

といってもその知恵はドラゴンが支配していた時から見た知恵の程度であるから、自分で物を作ろうとは考えず、そこにあるものしか利用しない。

だからこそほかに能を持つ人間を捕まえてくるらしい。


まったく迷惑な話だ。



ちなみに、エルフは森の住人で『調和』、ドワーフは山の住人で『頑固』、ホビットは園の住人で『温厚』、人間は大地の住人で『欲心』の特性を持つ。


エルフとドワーフの中が悪いとかよく聞くけれど単純に山には森があるからじゃないかなとか思うけど、違うのかな。




意外と時間がたっていたみたいだ。

おなかがすいた。机にイモ団子の入った袋を置き、一つずつ食べる。

こっちの食べ物は大体薄味だ。いや、言い換える。


素材の味を生かしているんだ。



思えば4か月前までは毎日こうして一人で飯食ってたんだよな、と感慨に浸る。


少しあのころが懐かしい。


別に俺は周りに何と言われようとあの自分の生活環境に満足していた。

友達が少なくても家族がいればいいじゃん、と思っているし、勉強もあのまま続けていればそこそこいい大学に入ることができたのだろう。


こっちに来てからこうして思い返す時間がなかった。


特訓の3か月間はただただ、特訓きついな~、つらいな~としか思っていなかった。



あぁ、帰りたいな。親に会いたい、みんなに会いたい。・・・・はぁ。もうよそう。考えてしまうと気持ちが沈んでしまう。

イモ団子を一気に食べ、頭を切り替える。



少し動くか。


ストレッチをしてからとりあえず少し素振りをして、型を1つずつ、初めから思い出してこなす。

最初の1手を出すと体が覚えてしまったようで、止まることなく動ける。


ほんとにくどいくらいに何回も言うが、休憩時間も限られているのにこの型を4、5百回やれとか言われるともう地獄でしかないことを理解してほしい。


あ~これもダメだ、テンションが下がる。動きに集中しよう。こんな感じかなっと。



ふと我に返る。意外と熱中していたみたいだ。さすがに3か月もこんなことをしていると自然と集中してしまうという。

ちゃんと仕事しなくちゃなと思い、周りを見渡す。


うん、異常なし。


剣と盾をしまい、元の位置にもどる。せっかくの休暇が結局運動してしまったな、とか思い、両手を上にあげて、背伸びをする・・・?


煙が上がってる。


ん?けむり?

・・・のろし?

そーいやそんなこと言ってたな。

・・・・ん?

・・・・あれ?

これ、やばいか?

やばいよな。やばいやばい、いかなくちゃ!



・・・東側からけむりが上っていた。

東側はたしかティルの場所だ。何が起きたのだろうか。警鐘はまだなっていない。

状況はよく分からないがとにかく、何か起きたのだろう。急いでいかなくちゃ。






村の中には戻らずに直接煙の上がる方に向かう。

走っていると、途中で警鐘が鳴らされる。やはり何かあったのは確かだ。

そのまま走っているとティルの姿が見えた。


魔物と対峙している。

よく見るとあいつは俺が山の中で遭遇した鹿犬じゃないか。なんで山から下りてきたんだ?


まぁ、いい。向こうは俺に気付いていない。ティルは俺に気付いたみたいだ。


俺が視線を向け、抜刀し剣と盾を構えると俺が何をやろうとしているのかを理解したのか相手の注意をひくことに集中した。



さぁ、俺の記念すべき初戦闘だ。といっても真っ向勝負ではなく奇襲という形になってしまうがそれでも戦闘は戦闘だ。


よし、やるぞ。



わきを締め、覚悟を決めて走り出す。狙うのは腹の下。人でいう脇腹。

相手が俺に気付かずにそのままいけるのがベスト。


しかしそう簡単に事はうまくいかないだろう。


しかし相手が俺に気付いたとしても避けるモーションをする時に必ず体を一度沈めるだろう。

その時に脇腹を狙っておけば修正はほかの場所よりやりやすい。




・・・・あと少しで攻撃範囲というところで鹿犬がこちらに顔を向ける。


気付かれた!


案の定奴は俺に驚き、体を沈め、奥に避ける予備動作をする。



だが、くらえ!


右足を前に出し、足が地につく瞬間に右腕を思いっきり伸ばして突きを繰り出す。


ズブっと相手のわきに剣が刺さる。


ガントレットが手首をある程度固定する形のものでよかった。

突きは相手に当たった瞬間思わず手首がぐらぐらしてしまう。

しかも思った以上に避けるのが早く、深く刺さらなかった。


 「浅い!」


ティルの声が聞こえた。わかってる。


相手は奥に退いた。ティルが追撃したが、あっさりと避けられ、距離を取られる。どうする。


片方は村への侵入を防ぐために簡単には動けない。

奇襲に失敗した今、現状は2対1ではあるがほぼ1対1だ。相手は興奮しているのか、威嚇しているのか、唸っている。


 「あいつの攻撃は俺が受ける。フォローだけしてくれ」


そう言い、1歩前に出る。と同時に鹿犬がこっちに走りこんでくる。

おそらく俺がダメージを与えたからだろう。俺は剣と盾を前に構え、腰を落とす。このスピードで来るということは突進だろう。


相手は人ではないので自然に盾を下に向け、前かがみになる。相手と接触する少し前に行動を開始する。こちらも走り出す。というより、こちらも勢いをつける。


俺がやろうとしているのは左足を前に出し半身になり肩を入れる、いわゆるシールドバッシュってやつだ。

相手の意表を突き、防御から一気に攻撃の型に転じることのできる技の1つ。

相手の攻撃が自分の勢いより弱いときに使えるが、もしそうでないときに使うと、吹き飛ばされるか、後ろに転倒する。


勢いというのは質量と速度に依存する。質量は俺の方が大きいが速度が掛け合わされると優位性はわからなくなる。



ここだ!


そう思い、左肩を突き出そうとした。そう、したんだ。



いきなり鹿犬がジャンプしやがった。


防御は間に合ったが、いかんせん体勢が上向きになり完全には押し返せず、数歩下がって相手を押しながら左腕を体の前にもって来る形になった。


体の正面にはすでに体勢を建て直し、こちらに噛みつきにかかろうとしている鹿犬がいた。



だが俺だって体勢が悪くなったわけではない。


後ろに下がったおかげで運よく重心は右足にかかっているし、盾を体の正面にもって来た時点で剣はすでに引いてある。


左足を少し前に出し体重をかけながら、思いっきり剣をたたきつける。


こっちくんな!


ちょうど、開けた口に剣が通る軌道となり、ガッという音が手の感触から伝わって来た。

鹿犬は1メートルくらい吹き飛び、後ろ脚を必死に動かしていたが、しばらくするとそのまま動かなくなった。


鹿犬は倒れたまま動かない。前の両足と下あごが体から離れていた。

・・・これ、俺がやったのか。その場に座り込む。


 「うまく倒せたな」


声をかけられる。何だかんだ言ってこいつが一番俺の特訓に付き合ってくれているから年とか関係なく一番仲がいい。


 「あぁ、なんとか、な」


 「しかし、すごいなお前。こいつを1人で倒しちまうだなんて」


そこでようやくキースとトーマス、あと数人の住民がやってくる。


 「うわ、よく倒せたな」


 「こいつは驚いた。シームがこんなところまで降りてくるなんて」


2人は俺たちに近づくと声をかける。こいつシームって名前なのか。初耳だ。


 「あぁ、すごかったぜ」


ティルが自慢げにそう言い、語りだす。後ろでは住民がティルの話を聞き、騒いでいた。


何だかんだ言って俺も興奮していた。これが俺の初戦闘か。100点ではないけど結構いい線いっていたと思う。

ズボンに返り血がついてしまった。これおちるかな。




その後は少し騒いだが通常任務にもどる。




改めてさっきの戦闘について考える。

これは模擬戦をした日には必ずさせられていることだ。


まず初手。あの奇襲。


入りは結構良かったと思う。相手に気付かれずにある程度近づけた。

まぁ、相手がティルに集中していたからうまくいったのだろう。


そしてその攻撃。突きが浅かった。

奇襲をかけたのだから、結果としては必ず、倒すか相手より優位にならなければいけなかった。


これは相手が避けたからからじゃない。

相手の皮膚を俺の剣が貫いたとき弱気になって力を抜いてしまったからだ。

いかに俺が平和慣れしていたのか、改めて考えると気付かされる。

こちらに来てからもそうだ。


俺は今回の戦闘で初めて命のやり取りをした。今までこんなことになると上面しか理解していなかったのだ。


そして最後にその後の戦闘。

相手がそのまま突っ込んでくると勝手に判断して油断し、そこを突かれた。


結果として上手くさばけて倒すことはできたが、これではいけない。

へたすれば俺は勢いに負けて後ろに転び、相手に馬乗りにされてすぐさまのど元をかみ切られていただろう。



改めて点数をつけるとするなら・・・40点くらいか。30点は相手を倒すことができたから。奇襲で攻撃するまでが5点。その後の戦闘で5点。



今日ゴブリン討伐にいっているやつらはきっと、奇襲で一突き、あるいはジャンプ突撃も軽く避けて一突きで仕留めてしまうのだろう。


それに比べて俺はなんだ。あんな戦闘しやがって。相当頭がhappyな野郎だな。生き物を傷つけたくらいで弱気になるわ、倒したとたんに腰抜かすわ。


はぁ~。このぐらいにしておくか。



夕方、山の中で煙が上がるのが見えてしばらくした後、討伐隊が返ってくる姿が見えた。


警鐘が鳴り、次第に住民が集まってくる。討伐隊もこちらに気付き、手を振ったり、槍や剣を上にあげたりしている。どうやら向こうもうまくいったらしい。子供たちが駆け寄る。そこには生き生きとした声が充ちていた。







 「シームを一人で倒したんだってな」


店を開けて少ししてからバーナーが俺のところに来てそう言う。


 「ん、あぁ。まぁ」


 「なんだ。ぱっとしねーな。うれしくねーのか」


 「ま、うれしいけど、あんまりうまく立ち回ることが出来なかったというか、なんという

か」


 「んだよ。そんなことか。気にするこたぁねえ、誰だってはじめはそんなもんだ。そう思えただけましってもんよ。とりあえず今日はそんなこと考えずに盛り上がろうぜ」


 「そうかな」


 「ちょっと、ジュン。立ち止まってないで手伝って。あなたもよ」


 「おい、ぼうず。酒持ってきてくんねーか」


 「あ、は~い」


こうして夜は更けていく・・・・・・










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