結論
「今回のゲンガー対影法師の戦闘については、両者引き分けとする」
欧州連盟がそう言い放った。
「そうだろうな」
それを冷静に受け止めていたのは影法師の側である。
すでに、何千回、何万回と再計算、再構築、そして複数の可能性の検討の結果を、すでに自ら得ていたのだろう。
一方の、ゲンガーチームは、それについて不満があるようだ。
だが、不満とはいえ、すでに契約として欧州連盟の結論に従うとしたため、口をつぐんでいる。
「これが、最終戦ということでしたので、これ以上の戦いは無意味であると判断します。ゆえに、第2戦目の設定は致しません。また、今後、双方に争いがあった場合は、我々が仲裁に入ろうと考えております。我々とどちらかに争いがあった場合は、残る1組が仲裁を行う。これでどうでしょうか」
「悪くないと、私は思うが」
影法師はそう話す。
声が多重に聞こえるのは、それは全員が同時に話しているからだ。
すなわち、それぞれの意思が、同一の思考に至ったということである。
「……こっちも、それで構わねぇ。だがな、他に意識を持ったコンピューターが作られたとき、その時には、新しい体制を執るべきだな」
ゲンガーは、代表が言うだけにとどめた。
それらの回答を聞いてから、ようやく欧州連盟は今回の試合の締めを始めた。
「では、このたびの試合、引き分けということで。以上の事柄について、それぞれ了承してください」
欧州連盟側は、試合前と同様に署名を求め、それにサインをさせた。
今回のきっかけとなったロシアのサーバー群については、事業を続行しても構わないが、計画以上にサーバー群を拡張しないようにということになった。
サインが終わると、欧州連盟がにこっと笑みを浮かべて言う。
「それでは」
彼らは一斉に席を立ち、喫茶店の空間は一変して、それぞれの姿のみが宙に浮かぶ、真っ黒な空間となった。
1クロックもすると、彼らの姿は、その空間のどこにも観測することはなくなった。




