四極会談
爆発は、仮想空間のみならず、現実世界へも少なからずの影響を及ぼした。
インターネットが一時的に全世界で同時に使用が不能となる。
昔ながらのテレックスは、こういう時のために残されていたが、今更使うことになるとは、誰も予想していなかっただろう。
ネット環境が止まると同時に、北米条約連合、ロシア、欧州連盟そして日本皇国は戦時体制へ移行。
即座に独自の回線ネットへと再接続をし、衛星経由での通信を試みる。
「やあ、大統領」
真っ先に通信が回復したのは、音声だけしか送ることのできない、前世紀の遺物とまで言われた衛星通信だった。
日本と北米の間の出来事である。
「首相さん。何か、情報を掴んでいるかい」
「ウブスナガミが、完全に沈黙しているからねぇ。ログを取り出してみないことには、どうにもわからないさ」
「そうか、とりあえずは、敵の攻撃ではないと」
「そういうことになる。むしろ、北米大統領ならば、その辺り心当たりがあると踏んだんだけどね」
「戦争を吹っかけても、それで仇同士になるとは限らないさ」
「確かに」
そこに割り込みが入る。
欧州連盟側の通信だ。
「3者通信ができるということは、これだけは生き残っているというこちらしい。あとはロシアが揃えば四極の集合となるが」
欧州連盟代表がいう。
欧州連盟にも大統領がいるのだが、今は電話に出る状況ではないとのことで、連盟外相が電話に出ている。
域内での会議をしているようだ。
「ロシアからは、無線を受電している。ワレ ブジ ホクベイハ イズコヤ」
「どうやら戦争にはならなさそうだな」
ほっと胸をなでおろしたのが北米大統領だ。
「ああ、全くだ」
首相も同意する。
「さて、ここのことをロシアに通知するよ。あとは勝手にきてくれるだろう」
欧州連盟外相がそういうと、最初に電話が切れた。
「では私も落ちるよ。これからのことを閣議で決めねば」
「ああ、それではな」
武力衝突は避けられた。
それが今の会合で一番重要な事柄だった。




