魔王が変身するのはお約束なのです!
もとの世界では、中学生の男子だった。
だから、大多数の男の子がやるRPGといわれるゲームは、一通りやってきた。
ラスボスは、強かったが大概の場合、あれっ?って感じであっけなく倒せた。でも、プレイヤーをホッとさせておいて、ラスボスは正体を現すんだよな!
そこまで来たプレイヤー達を試すような、ギリギリ勝てるか勝てないかくらいの強さで!
「オーホッホッホッー。やってくれますね。流石はアタシが愛したヒトの息子だわ!」
シャドが変化していく。影が大きくなっていく!
「魔王の力を得たときに、この力も得たのですわ!最強になる力をね!」
現れたのは、年末の歌合戦に出てくるような、巨大なオネェさんだった。
あれ、その胸、本物?
胸元が少し空いたドレスを着ている。無いはずの谷間が出来てる…
結構、グラマラスっ!羨ましいっ!
…どうでも良いか!
「斬ったと思ったのに…」
リュウが少し動揺している。
「お兄ちゃん。しっかりして!」
「うん、でも、ヤツの魔力が凄くて!」
「大丈夫だって、こっちも本気出すよ!ロゼもいるし!」
本気だすって言っても、力が残っている根拠はない。私も絶対零度まで使っている。
リュウの剣戟も100%だったけど。
「そうだな。母さんが言ってた。エイタさんもピンチになったら本気だすって!」
そう言う時って、それまでも本気出してたんだけど、まぁ、そう言って気合い入れ直すのです。
「本気?出すよ。全部防いで見せる」
ラウルの盾、防御フィールドにも力が入る。
「私が、斬るよ!」
ロゼも気合い十分。
「結界は維持する。戦闘のフォローもしてやるよ!」
ゴートも本気だ。
「わたくしが、全部治します。」
アリアさん。頼りにしてる。
「リーダーはお兄ちゃんだよ。」
このパーティーは、リュウが中心だ。リュウは気合いを入れ直す。
「よしっ、いくぞ。先制攻撃だ!」
魔力が減って絶対零度はもう撃てない!
私は、爆裂魔法を連発する。エリスが前の魔王戦でそうしたように。
「邪魔ですわね!えい、鬱陶しい!」
目眩ましが、最強魔法である。効果はあるはず。
ボンっ!
ゴートも足元になにか仕掛けてる。足元が崩れて、隙ができる!
ロゼが斬りかかる。魔王に致命傷を与えられるのは、勇者の剣だけ。でも、傷つけて隙を作ることはできる!防ごうと出したシャドの腕を一刀両断にする。
ロゼっ。やっぱり凄いよ!
私たちが、作った隙をついて、リュウが突っ込む。
「せややややっー」
リュウの剣戟が肩口から、地面に向かって走る。
「お兄ちゃん!やった?」
「いや、ちょっと浅いか?もう一回っ」
「うぅ!」
シャドを包む禍禍しい魔力が拡散され、私達は吹っ飛ぶ。
ラウルの後ろに避難。そして、アリアさんの回復を受ける。
「大丈夫!俺が受け止める!」
「回復させますわ!」
仕切り直しか。私の魔力だと次が最後かな?
絶対零度でいきたいんだけど、魔力がない…
「やってくれますわねぇー。ぬぬぬぬっ!」
衝撃波がくる。ラウルがなんとか防いでくれている。
「おおおおっー、くそっ、キツいな!」
「防がれますか?予想以上に良いタンクをお持ちで!」
シャドの腕が再生していく、リュウの剣の傷は治りきっていない!
「お兄ちゃんの攻撃は!」
「うん、ちゃんとダメージ入ってる。腕再生させるのも魔力使っているし、いけるか!」
でも、私には魔力があんまり残ってない。と、みるとラウルもあまり表情に余裕がない!
「お兄ちゃん!」
「エリカ。どうした?」
「私とラウルの魔力に余裕がないの。次で決めて!」
「…、難しいことをいう。でも、エリカの頼みだ、やってやる。」
「お願いっ!」
こんなときだからこそ、妹のおねだり、上目遣い攻撃です。
「ああ、やってみる。みんな、もう一度、行くぞ!」
次で決める!決意の攻撃が始まった。




