最後の戦い!
歪んだ空間からは、数人の魔族があらわれた。
アーシャさんは、魔族達に支持されてないと言ってたけど、シャドにはこうやって付き従ってくる部下がいっぱいいる。
まぁ、人間も魔族もイロイロってことだろう。
魔王城にも、おそらく相当数残っているのだろう。
リュウの到着は遅れるかもしれない。
「あら、ダーリンじゃないの。…待っててくれたの?うれしいわ!」
何か言っているけど、私がここにいることが、予想外なのか動揺は隠せていない。
「ええ、エリスさんから言われて、あなたがここに来るからって待ってましたよ。」
シャドは、策士だ。逆に策にかけられたことは、プライドを刺激するだろう。
シャドは、魔族領にエリスとバラックを誘い入れ、手薄になったキングダムに来た。キングダムを占拠して王様なんかを人質にして、何か要求するか、単純にキングダムを破壊するか。そんな狙いだったのだろう。エリスは、それがわかっていたから私達をキングダムに待機させていた。
「くぬぅ!あのオバサンっ。腹立つわ!」
あ、ダメだよ。エリスにオバサンなんて言っちゃぁ!
「まあ、いいですわぁ。あなた達子どもに、アタシ達が負けるとでも!」
もう、子どもじゃ無いもんね!
強さも、…身体も!
私達は、ラウルを先頭に戦闘の体制をとる。
「ゴート。お兄ちゃんが来たら、結界を作動させて、シャドを逃がさないようにしてね!」
「わかった。作動中は、魔力を流しておかないとダメだから、戦闘補助は、ほとんど出来ないと考えてくれ!」
「わかった。」
何度かの、魔物討伐で深まった絆と連携。ドラゴンだって倒せたんだ。
負けないよ!
「アタシのかわいい部下達。ルド、ラド、ミド、ムド!」
オネェさんの、ルドさんとは会ったことあるね。他のお三方は、まぁ、普通の方々なのね。
「「はい。では!」」
4人の前に、大きな魔方陣が描かれる。協力して大魔法を使う気か?
「ラウル!お願い!」
「おう。ドーゼンフィールド全開!」
私の全開の爆裂魔法に匹敵するほどの威力。
スキルでは完全には防げないけど、ラウルの盾で威力は更に半減して、彼らの魔法は私たちにはほとんど影響無い。
学園の制服は優秀なので、それくらいならダメージにはならない!
「あの魔族達は、私がやる!」
ロゼが言った。ロゼは、あの戦闘狂の娘、血は争えない。戦闘の中で、自分の立ち位置がわかる。そして、そこから最適な答えを出す。それでロゼは、この魔族達を自分が引き付ける事を選択したんだ。
ロゼが、踏み込んだ。ロゼの一撃で、一人の魔族の腕が地面に落ちている。凄い、ほとんど見えなかった。
魔族達は、瞬時に距離をとる。腕を再生させながら
「ちっ、魔力を使うんだがな」
魔族の一人が呟く。
ん、
魔力使って腕を再生している。後で話聞きたいな!
…今はそんな場合じゃないか!
ロゼに一撃必殺の威力があるとわかり、魔族達は、距離をとり魔法で牽制する。だがロゼが悉く打ち落とす。
「ムド、前へ」
魔族は4人。今度は、陣形を取ってロゼに対抗する。ムドと言われたやや大柄な魔族が前に出てロゼと対し、他の二人が魔法でロゼを牽制して、残る一人がロゼの攻撃で傷ついていくムドを回復。
ロゼの方はほとんど傷つかないので、時折アリアさんの遠距離回復で十分間に合っている。
4対1で戦闘は、ロゼ有利だけど拮抗していた。
…戦闘状況だけみると。魔族達が、勇者パーティーの戦い方をしていて、ロゼが魔王のように振る舞っていだ。
ロゼが、ラスボスみたいに魔族達に暴虐な攻撃をしている中で、私たち残りのメンバーは、シャドと相対していた。
「むむむ、上手くいきませんわね!でもアタシは魔王!無敵ですわぁ!」
小手調べとばかりに魔法攻撃をしてくる。
ラウルが防ぐ。やはりタンクが安定していると戦闘が上手くいく。
「魔王が無敵ってことは、無いと思うよ!」
何もなかった空間から声がして、
リュウが、あらわれた。




