魔族の事情
コレが飾りじゃ無かったことがわかるのは、まだまだ先のお話なのです。今じゃ、無いのね。
なので、仕方ないか。
と落ち込んでいると、お出かけしていたアーシャさんとロゼが帰ってきた。
「ただいまっ、エリカちゃんありがとうね!」
「お帰りなさい。ミック君、お腹が空いてきたみたいで。私じゃ…」
「うーん。行く前あげたから、まだ大丈夫なはずなんだけど。ちょっと待っててね。ん、エリカちゃん元気ない?コレ食べて元気だそ!」
チュロスみたいな甘いおやつを、買ってきてくれてました。この身体になると、こういうのが美味しい!
だって女の子だもんね。
ミックは幸せそうに、アーシャさんのミルク飲んでる。いいなぁ、なんか。
そしてミックは、お腹が一杯になると寝てしまった。
良い機会なので、アーシャさんに魔族のこと聞いてみた。
「2代前の平和を保っていたころの魔王は、私のおじいさまなの‼️」
えっ、初耳です。
「前の魔王軍の総司令官は、私のお父様。」
それは、聞いたことがある。
「シャドに殺されたと私は思っている。証拠はないんだけどね。」
「シャドのこと許せないですよね?」
「ううん。お父様のことは残念だったけど、証拠もないし。でも、あんなことがあったから、旦那様と知り合えて、今幸せだし。」
抱いているミックに目線を落とす。寝顔が愛らしい。
「可愛いですよね!」
「うん、ロゼもちゃんと育ってくれたし。彼氏もできたのよね?」
ロゼが慌てる。
「彼氏って。ゴートとは…」
「好きって言い合ってたよね」
私が対抗戦のことをバラす。
「へぇー、そうなんだ?ゴート君良い子だし。ロゼっ良かったね!」
「…はい。…良かったです。」
照れてるロゼは、やっぱりカワイイっ!
話が逸れました。
「シャドの部族は、今では力のあるの部族のひとつだけど、元はとるに足りない、魔族でも最弱の部族だったの」
えっ、そうなんだ。知らなかった。
「いくつかの特殊な魔法が使える。ちょっとずる賢い。魔力は大きいけど力が弱い。そんな部族だったの」
そんな部族がどうして?
「大きな強い部族に攻められては、空間魔法で逃げる。そんな生活を繰り返していたらしいわ。」
なんかちょっと可哀想だな
「とうとう魔族領の隅までおいやられて、人間と接触したそうなの。」
そこでなにかがあったということか。
「人間の使う魔方陣を、使えるようになったらしいの。それまで、空間を歪めたり、幻覚を見せるしかなかった彼らの魔力の使い道に、強力な攻撃手段ができた。」
それから、紆余曲折あったものの魔族の有力な部族になっていったということらしい。
「魔族達の王が魔王なんだけど、多分シャドは、他の魔族からあまり支持されていないと思う。」
「どうしてですか?」
「魔族には、平和に暮らしたい部族と戦いが好きな部族がいるんだけど、性格的にあの王だとね」
「気持ち悪い。ですよね?」
オネェだし、化粧濃いし。
「それもあるんだけど、旦那様みたいな思考回路の人が多いの」
……要するに、純粋で単純なんだね。それだと、あのややこしい性格はちょっと受け入れられないか。
「エリカちゃん。シャドのこと、憎からず思っているのでしょう?」
「そんなこと」
あるかもしれない。あれだけの好意を受けて、嫌いになれないと言うか。面白いし。
「その優しさが、私達からしたら堪らないというか…旦那様程じゃないけれど、大きくてカッコいいし。何より魔力がキレイなのよね。」
あ、それエイタのことだよね?でも、やっぱりアーシャさんにはバラックが良く見えるのね!
「…とにかく、私は、今の魔王対勇者、魔族対人間と言うのが……」
アーシャさんが涙を浮かべている。アーシャさんは魔族だ。人間の愛する人がいて、その人との間に子供がいる。仲よくしたいよね。
女性の涙には…エリカになっても、弱いのよね。
「わかった。俺が何とかしてみるよ!」
一瞬だけエイタに戻った気になった。
「エイタさん…。あ、ごめんなさい。こんなことエリカちゃんにお願いするなんて…」
はい。今の私は、か弱い?少女で…
ロゼは顔を少し傾げている。今は、理解しないで良いよ。
あまり考えたことなかったんだけど……
魔族と人間ってなぜ戦っているのだろう?
魔王軍が侵略してきたから?魔王が攻めてくるから、人間側も反撃して魔族が大勢犠牲になったから?
考えても、わからないな。
とにかく、シャドが魔王として攻めてくるんなら、人間に被害を出すなら、戦うしかないよね。
でも、アーシャさんみたいな魔族もいる。
それにロゼやミックみたいなハーフが普通にいて、彼らが生きやすい世界にしたいな。
いつか、アーシャさんみたいに本当の使い方をしたいなって思うエリカちゃんなのでした。
…何を?
知らないよ!




