お友達ができました。。。
更新遅くなりました。
とりあえず、魔法を強化する魔法の杖を持って、外に出た。温泉がある滝壺とは逆方向へ30mほど進むと開けた草原に出る。いつもなら、この草原で迎撃する。魔法の特訓や試し打ちなんかもこの草原でやる。
遠くの空のほうで、3つの空飛ぶ何かが見えた。ワイバーンか?どちらにしろ飛龍の一種だろう。今の魔力だと、足止めするのが精いっぱいだろう。真空波の魔法を使えば、羽を傷つけることができそうだ。3匹のうち、一匹に人が乗っているように見える。そして、別の2匹と小競り合いをしているようだ。
100mほど離れた場所まで近づいてきて、様子がはっきりしてきた。竜に乗っている人は、女の子だ。多分ロゼだろう。ということは助けないとだめだな。
見たところ、2匹のワイバーンと互角の戦いをしている。これは11才の少女としてはあり得ない。ソーディアムの4人の隊長達ですら1匹を倒すので精いっぱいだと思う。そんなことは置いておいて、今2匹の飛龍と互角なら、そのバランスと崩してやればロゼは勝てるだろう。
2匹の飛龍に向かって左手で持った杖で、風魔法の魔方陣を描く。少し距離があるが届くだろう。杖を右手で持ちかえて、魔力を魔方陣に向かって込める。すると2つの真空の刃が2匹の飛龍に向かって飛んで行った。
この世界では、魔方陣を空や地面に描き魔力を込めることで、魔法が発動する。火、風、雷、水、土等の属性と種類の分だけ魔方陣があり、魔方陣に応じた魔法が発動される。威力などは込めた魔力にも影響されるが、限界がある。例えば火玉魔法で最強の威力でも、爆裂魔法の威力を超えることがない。火玉はあくまで火玉なのだ。エリスの火玉は、直径1m位あるけど・・・
真空の刃は、100m離れた飛龍の羽に見事ヒットし、飛行能力のおちた飛龍の止めをロゼがバッサリ刺していた。ロゼは、かなりの使い手になっているようだ。2匹の飛龍を仕留めたロゼが、そのままの勢いでこっちに向かってきた。
飛龍が近づいてくる。ヘリコプターの近くはこんな風圧なのだろうか。軽い体なので吹き飛ばされそうなのを必死にこらえていると、飛龍が地面に着地し、ロゼが降り立った。今の自分の体より一回り大きい。12才だけど普通の女の人より大きいかも。それよにアーシャに似て美形だ。バラックに似ないで良かった。心からそう思う。。。
「はじめまして、ロゼです。さっきは危ないところを、ありがとう。」
「あ、はじめまして。・・・エリカです。ロゼさん、強いので余計なことかもって思いましたけど・・・」
自己紹介すると、ロゼの目がキラキラしてきた。俺の手をとって話し出した。戦士の手にしては柔らかい。やっぱ女の子なんだな。
「ロゼって呼んでくれて良いよ。それより、あんな距離魔法が飛ぶなんて初めて見た。すごいね。飛龍の羽ぼろぼろになってたしね」
魔法は、一般の魔法使いで30m位が射程。高位の魔導士でやっと100m届くくらい。俺やエリスは、目の届く範囲ならどこまでも魔法を飛ばせるけどね。
「それほどでも、お父様の魔法は、もっと凄いし」
・・・自分のことだけど。。。
「そういえば、エイタさんは?」
「何か用事があるって、旅に出てしまいました。しばらく帰ってこないと思います。それで、ロゼって女の子がそのうち来るから、友達になってもらえって言ってましたが・・・」
少し残念そうな顔をするロゼ。
「そうなんだ。稽古を付けてもらおうと思って急いできたのに・・・。あ、でもエリカと会えてうれしいわ。私もお父様からエリカって娘と友達になってもらえって。そしたら、こんなすごい魔法の使い手だったなんて」
「私も、ロゼが強いのでびっくりです」
「言葉づかい。普通で良いよ。友達なんだし」
「えっ。でもロゼはお姫様なんでしょう?」
「そういうのウチの国関係ないでしょ?」
・・・確かに。
というわけで、お友達ができました。勇者の家で、お茶を振舞いました。強くても女の子だけあって甘いものが大好きで、お菓子を肴に、自己紹介や、前回の討伐の話など盛り上がりました。
ロゼは、バラックに似て竹を割ったような性格。素直なのでここまで強くなれているのだろう。良い友達になれそうだ。ただ、話の内容が、魔物との戦い方とか、なにか違う気がする。女の子ってもっとなんか違う話題で盛り上がる気がするが・・・
まぁ、良いか。ロゼちゃんカワイイし。。。