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勇者と少女と変化の指輪  作者: 山口瑛史
変化の指輪と勇者
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対ルド戦


ルドが言う用事は済んだと言うのは気にはなるが、迎撃の一手だろう。


森のなかに潜んでいた、多数の魔物達を従えて襲ってきた。

こちらとしても、陣形はできている。十分に反撃は可能だな。


ヒュン。


時おり飛んでくる石つぶてのような魔力弾に阻まれて、魔方陣が描けない。やはり、向こう側も、爆裂魔法で殲滅されることを警戒しているな。


だが、全体的には、パーティーのバランスが良く、こちらが押している感じだと思う。私も、溜めのいらない魔力弾で援護できるし。


爆裂魔法がなくても、リュウとロゼの剣とゴートの術の威力は十分で魔物達の数は減り、精鋭数体が残るのみとなり、ルドと向かい合う形になった。


「なかなかやるようですね。シャド様に報告しなければ。」

ルドが言うのが聞こえた。

ん、シャドに報告?封印されてるのに

「シャドはエリスさんが封印しているのでは?」

「あ、うるさいですわ。黙りなさいっ。」

この魔方陣は、不味い。爆裂魔法の魔方陣!味方の魔物達まで巻き込むつもり?


「ラウル!不味いよ。アレ全開にして!」

「わかった。ドーゼンフィールド全開!」

防御の幕がパーティー全体を包む。

私も爆裂魔法を展開。相殺を狙う。


「この魔法、人間だけが使える訳じゃ無いことを教えてあげる。」

ルドの魔方陣が発動。私も魔力を込める。

二つの爆裂魔法が重なりあう。僅かに私の魔法の方が上回っていたみたい。向こう側に、爆発の跡が延びている。

爆風はこちらにも来たが、ラウルが防いでくれた。


「今日のところはここまでね。悔しいけれどここまでね。またね。」

爆発の煙が去った時には、ルドの姿はなくなっていた。



用事が済んだと言うことと。

シャドに報告と言うのが気になる。

封印中のシャドと連絡ができると言うことなのか?


「それでは、修道院に戻りますか?」

焼け野はらで小休止を済ませた後、アリアさんが提案した。

「その前に、聖石の状況を確認しておきたい。」

リュウが言った。

アレだな。うまくいけば石プレゼントの妹からのミッションクリアしようとしてるな…


聖石の原石は、山の頂上付近の洞窟の中にある。


「こ、これは、何だ?」

聖石の原石の回りに、結界が張られているようだ。

ためしに指を近付けると、バチっと弾かれる。

ダメージバリアか?向こう側に行けないことは無いかもしれないが、かなりのダメージを受けそう。


「結界のようですね。ダメージバリアかと思います。」

ゴートの分析も同じだ。リュウに言ってみる。

「残念だけど、聖石の欠片なら何処かで買えると思うよ」


「あそこにちょうど良さそうなのが転がっているな。ゴート。解除できそうか?」

「難しいですね。あの魔族が簡単に去ったのも、人間には解除出来ないと思ったからでしょう。」

「うーん。仕方ないか。ダメージバリアだよな?」

「はい。普通の人間には致命的って何を…」

リュウがバリアを通り抜けようとする。

「ぐわっ。」

「リュウさん。直ぐ出てください。結界内は、ダメージ継続するようです。」

結界から出てきたリュウは、そのまま倒れこんだ。

「リュウ様!」

アリアさんが駆け寄り膝枕して、回復魔法をかける。


…アリアさんのお膝。柔らかそう。良いなぁ。

てか、別に膝枕する必要無いんじゃ…


「リュウ様!何故そんな無茶を…」

「いや、この石がさ、アリアにちょうど良いかなと思って」

「私のため…ダメですわ…」

アリアさんが泣き始めた。

「わたくしは、リュウ様のために生きていますの。リュウ様がわたくしの為に傷つくなんて…耐えられませんわ。」

「そんな顔するなよ、僕はアリアの為なら何だってできるんだよ!」

リュウがアリアさんの涙をぬぐう。

「リュウ様…」

「それにさ、この石はアリアの身を護ってくれるんだよ。そうだろ、エリカ。」


えっ、私?いきなり振らないでよ。ラブコメは二人でどーぞってみんな見守ってるのに…






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