必要なもの、それは愛の証。
「こちらへどうぞ」
案内された部屋で待っていると、
「アリア!久しぶりね。元気そうで何より。」
アリアさんに似てはいるけど、30代くらいだろうか?大人な感じの女性が入ってきた。
「お姉様。お久しぶりです。あ、こちらは、エリカさん。勇者様の御息女ですわ。」
「初めまして、エリカさん。アリアの姉のミリアですわ。」
「エリカです。初めまして。」
と一通り挨拶をした。
アリアさんのお姉様で公爵家長女のミリアさんは、この修道院で、シスターをしておられるそうだ。年の離れた姉妹ではあるが、とても可愛がってくれたとアリアさんが話してくれた。
20年位前、まだ10代前半だったミリアさんは、婚約者を魔王との戦いで亡くし、シスターになったらしい。
「ローザ様からの手紙は、読ませていただきました。ただ、そのような法衣は、残っていないかもしれません。ローザ様が着ておられた法衣はこちらに用意してみましたが、どれも、そのような特別なものではないように思いますわ。」
何着か法衣を見せてもらったけど、確かに特別に優れたものは無いように思う。
「これは?」
なんの変哲もない白いローブ。でも、魔王討伐の時、ローザはこのローブを着ていた気がする。
「私たちには、よくわかりませんわ。…白いローブとしか…」
「お姉様、私もそのローブが気になります…」
アリアさん、一度試着してみることに。
やはり美少女には、白が似合います。ローザが着ていたときは、膝丈くらいのワンピースだったのだけど、小柄なアリアさんだと膝が隠れるくらいかな。
「アリアさん。綺麗です。」
「エリカちゃん。ありがとう。」
シンプルなデザインではあるのだけど、胸の辺りに、模様があり何か嵌め込める様にみえる。昔、ローザが着ていたときは、石が嵌め込まれていた気がする。強力な魔法を使うときにその石が光っていたようにも思う。少し記憶が曖昧なんだけど。
「ここには?」
ミリアさんは何か知っているだろうか。
「あっ。それはローザ様が、石を抜いていかれました。この石は私の大切なものだから。と」
そうか、多分、持ち主の大切なもので、何らかの効果が発揮されるのだろう。
「アリアさん。ここに、アリアさんの大切なものを嵌め込めると、良いと思います。」
「大切なもの?何でしょうか?」
「アリアさんが今一番大切にしているものって、何でしょうか?」
アリアさんは、迷わずに真っ直ぐに答える。
「それは、…それは、リュウ様への想いですわ。」
おぉ。すごいな。お兄ちゃん!
「それで、あの、一つご相談があるのですが…」
ミリアさんが口を開く。
「近くの山に魔物が住み着いてしまいまして、冒険者に退治を依頼しているのですが…」
かなり手強く、退治できていないらしい。
「多分、それ今お兄ちゃん達が行っている魔物退治だと思います。修道院には、協力していただいてますので、お兄ちゃんが戻ってきたら確認します。」
「とりあえず宿に戻ってリュウ様達を待ちましょうか?」
「「お姉様。ありがとうございました。」」
アリアさんと声が被った。アリアさんのお姉様ということは、私にとってもお姉様だからね。
その白いローブは、そのまま頂けることになり、宿に戻ってきた。
夕方頃、リュウ達が帰ってきた。
「ダメだった。僕たちだけじゃ、前衛だけでバランス悪く、戦いを維持できない。加えてかなりの強敵がいる。」
魔王が復活して、魔王軍が活発化しているのだろうか?
封印中ではあるが、影響は強いのだろう。
「明日、エリカとアリアを加えてもう一度行こう!」
「「「了解!!」」」
アリアさんが、席を外した隙に
「お兄ちゃん。やること一つ増えたよ!」
「やること?なんだい?」
「アリアさんに、心を込めて石を贈ること。お願いね!」
妹からの、おねだりですよ。宜しくね。




