決して落ちない城
ドーゼンバルフ伯爵領。
土地は痩せ、ソーディアムができるまでは魔族領と接していて、幾度となく侵攻を受けた。
決して裕福とは言えない領地である。
だがその領地の真ん中にあるドーゼンバルフ城は、今だかつて魔族の手に落ちたことはない。四方を堀で囲まれて、高い城壁がある。そんな、強固な作りとともに、歴代の城主が城ごと防御フィールドを張るという規格外の能力を受け継いできた。
城に籠っているうちに、キングダムや周辺地域からの援軍により敵を撃退という歴史を繰り返してきた。キングダムを始めとした周辺地域も盾となっているこの城への援助は惜しまなかった。
援軍が来れば、伯爵自ら伯爵家秘宝の盾を持って、全軍の盾となり戦況を有利に導く。そんな役目もあった。
前魔王が、この城を攻めたとき、バラックやエリスも援軍で参戦。城北の平原で大規模な会戦があったらしい。
この戦いで、人側は大敗を喫し大半の戦力を失い敗走した。バラックもこのときに負傷したらしい。魔族側も将軍を失ったり小さくない損害を受けたらしいが、城を包囲した。
ドーゼンバルフ城は籠城を続けたものの、魔族は城の包囲を最小限に留め、さらに侵攻し人類を恐怖と苦しみのドン底に落としていく。そんなときに、私が異世界よりやって来た。
勇者として、世界を救ったのです。
という歴史がある。
堀にかけられた橋を渡る。
「おかえりなさいませ。ラウル様」
お、さすが城主の息子。
「ご苦労様です。」
丁寧なラウル。貴族の御曹司なのに、威張ったところがなく、性格が良い。もっと人気が出ても良いのにって思う。
ドMじゃなければ…
まぁ、かわいい彼女のいるから良いのか。
いや、最近別れたんだっけな。趣味が合わなかったのかなどうでも良いか。
伯爵とはすぐに面会できた。
「ラウル、久しぶりだな。どうだ調子は?」
「はい、バラックさんに鍛えられております。」
「ほぅ、あのバラック殿から!!。うむ、儂も一撃を受けてみたいものじゃな」
伯爵がニヤッとする。
あー。遺伝なんかー。じゃあ、しゃあないか。
「意識がなくなり、なにも覚えておりません。強烈です。」
「ほほう。…して、用事とは、あの盾の残骸のことか?」
「はい、素材にして加工すればスキル強化の恩恵は得られるかと。」
「うむ、エリスさん…今はカイ殿か、にも聞かれたが、ラウルが取りに行くべきと思ってな。」
「と言うことは、ここには無いのですか?」
「あぁ、盾は先代の当主、つまりお前の祖父が戦い倒れたときに破壊された。だが、それで何万人という兵士が退却する時間を作り、儂が当主を引き継ぎ、籠城することができた。その後、父上は間もなくなくなった。そして盾は、父上と供に埋葬してあるのだ」
ラウルの表情が少し陰る。
「お墓参り?」
小声で聞いてみる。
「うん、でも、あそこ、でるんだ。」
ラウルが答えてくれた。
えっ、何が?
伯爵が続ける。
「お前が心配するのもわかるが、最近、本当に出るらしく儂らも墓参りに行けず困っている。」
マジか。でるんですか。
「大方レイスなどのアンデットなんだろう。討伐してくれれば、そこで拾ったものを持ち出してくれても構わない。これでどうだ。もちろん通常の報酬も出そう。」
「だそうです。皆さん、どうしますか?」
ラウルが振り向いて、私たちに聞いてくる。
「答えるまでもないっ」
リュウが言おうとしたんだけど、
「いやっ、やめよう。先に私の武器を探そう!」
ロゼが被せる。えっと、つまり怖いんかな。
あ、だから良く添い寝してくれるん?私のためじゃなかったのかなぁ。
「いや、盾の欠片は必要なものだ。…あ、ロゼ、怖いのか?」
「いやー、怖くはないんだけどぉー」
声が裏返っているし、口調が変だよ。
「じゃあ、決まりだ。行くぞ!!」
リュウが締める。
お、お兄ちゃん?
女の子の気持ち読んであげないと…
そんなことだと、アリアさんに嫌われちゃうよ!
ノース.バルフ平原の戦い。
人側:バラック、エリス、先代のドーゼンバルフ伯爵等
魔族側:前魔王、シャド、ガフク将軍(ロゼの祖父 )、アーシャ等
が入り乱れて戦いました。
いつか書きたい戦記もの。




