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勇者と少女と変化の指輪  作者: 山口瑛史
変化の指輪と勇者
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まぁ、自己紹介などしてみたい。

・・・自己紹介?が遅れました。


 名前は、佐藤瑛汰。日本人です。正しくは、中2までは日本人でした。飛ばされたときに最初に会ったのが、のちにパーティーを組む賢者のエリスだった。今考えると、俺はエリスに召喚されたのではないだろうかと思う。あいつならそれくらいできるような気がする。


 身長はこっちに飛ばされた時155㎝だったけど、今は15㎝位は伸びたと思う。平均的な日本人な感じかな。ただこっちの世界では、かなり大きいほう。155㎝だったときに、だいたいこちらの男の平均的な体格だった。地球では平均的な中2だったけど、こっちでは大人と同じ力を持っていた。15㎝成長する間、魔物との戦いに明け暮れていたせいもあり、こっちでは腕力的にも、普通の大人と比べてもかなり強い。


 それと勇者専用の魔法が何個か使える。主なものは、移動魔法と戦闘力補正魔法だ。戦闘力補正魔法は、筋力を魔法で補助しスピード、パワーなどが増強されるもので、普通の魔法使いには使えない。強敵には魔法でフル補強して戦うのが俺の戦闘パターンとなっている。

 

 こっちでは、サトー・エーター(ほとんど本名だね)と名乗り、勇者エーターとして全世界的に有名人になってしまった。各国の王などの代表者からは、英雄として国を起こすことなど提案されたが、とにかく一人になりたかった俺は、仲間のバラックが作った国の中の人里離れた険しい山の中に家を建て静かに暮らしていきたいと思った。


 英雄として、ちやほやされるのは悪くなかったが、みんなが俺のことを知っているのは何か居ごごちの悪さを感じ、ストレスになっていたんだよね。その時は、変化の指輪のことなんか忘れててとにかく人のいないところに行きたくなったんだ。逆にさみしくなれば、移動魔法があるしね。

 

 

 こっちでの第一遭遇者エリスは、2才上のお姉さんで、この世界のことを教えてくれた恩人であり、姉であり、戦友であり、初恋の人でもあり、夫婦でもあった。

子供が出来てから、浮気したこともあって、振られてしまったけどね。でも、恩人と戦友には違いない。あのまま地球にいても、いたって普通だった俺に、英雄としての人生を与えてくれた。勇者としての魔王討伐の旅もおっかないことばっかだったけど、今となっては楽しかった。戦士のバラック、司祭のローザ、シーフのピーター達かけがえのない仲間もできたし。その時の話もできたらいいなぁ。でも、長くなるのでまた今度にしよう。


とにかく、俺は、まだエリスのことを引きずっている。夫婦としてやり直したいけど、自分からは言えないっ。みたいな。

 


エリスはその人間離れした魔力で、幼い時から恐れられ、施設で半分幽閉されていたらしい。そのため親の顔は知らないと言っている。魔王討伐の切り札として鍛えられ、14才で特殊魔法以外のすべての魔法を習得し、史上最年少で賢者となった。賢者は優秀な魔導士が30年以上修業を積み、50歳くらいでなれるものと聞いたが・・・。

 その後、バラックを含む当時の人類最強メンバーで魔王討伐をするが、魔王の手下相手に全滅。逃げることができたのは、バラックとエリスだけだったという。そんなとき勇者である俺と出会い、再び魔王討伐の旅をするようになった。

 


 バラックは、旅の初めからの仲間だった。会ったころは、まだ魔王の手下から受けた傷が癒えずにいたが、それでも普通の男より強かった。戦いながら治していくと言って、一緒に旅をすることになった。

回復魔法の効かない呪いの傷であったために、その傷は刻一刻とバラックの体を蝕んでいたが、旅の途中呪いを解くイベントがあり、結果的に旅をすることが、バラックの命を救うこととなった。


 身長は190㎝位あり、この世界では破格の大男。素手でも魔物の大熊とも互角の戦いをする。得意な武器は戦斧、大剣。ちまちましたことを考えないでとにかく力技で解決するタイプ。魔力でフル補正した俺とほぼ互角。回復魔法がある分俺が有利のはずだが、真剣にやると、一発でやられる恐れもあるので、勝てない気がする。

 魔王戦では、重騎士となり壁役に徹した。「俺が奴の攻撃すべてをうけてやる」と言って。実際、ぼろぼろになりながらも魔王の攻撃を受けることで、俺とエリスが攻撃に専念できた。壁役の確立が魔王戦勝利の最大の勝因と言って良い。

 裏表のない性格は、皆からの人気も高く、魔王討伐後に国を作った時も、大勢の志願兵や開拓民が集まった。魔物の多い土地にもかかわらず、数年でバラックの作った国は、立派な国家となった。彼は、剣の国ソーディアムと名づけ国内最強の者が国を治める法律を作った。現在の最強の男は、当然バラックであり彼が国王である。俺は、そんなバラックの国にお世話になっている。



 シーフのピーターは、魔王討伐の時に集めた秘宝を元手に商売を始めた。俺と出会う前にピーターは、修道院に盗みに入ったんだけど、シスターだったローザに一目ぼれし盗賊家業から足を洗い、ローザの護衛のようなことをやるようになっていた。


 回復役としてローザを、パーティーに入れた時にいっしょについてきた少年が、ピーターだった。入れてみると、罠解除、情報収集など戦闘以外のことでかなり役に立った。最終的には、戦闘力もかなり高くなり、怪しげな術も会得し、忍者のような上級職になっていたけど。ローザに求婚するために堅気の商売を始め、商人として一財産を築くまでになっている。



 ローザは、キングダムの学園長になっている。結局ピーターの猛烈な押しに耐えられず結婚することになったが、3人の子供をもうけ幸せにやっているらしい。

 聖職者らしくまじめな性格。俺とエリスを攻撃に専念させるため、回復役としてパーティーに途中から入った。修道院お墨付きの能力で、回復魔法は10年に1人の使い手だといわれる。

修道院にずっといたせいか、世間知らずな一面もあり、世間にもまれていたピーターは新鮮な存在だった。いつしか恋心を抱いていたが、聖職者としてその気持ちを抑えていたようだ。

ピーターの気持ちを受け入れるときに、聖職者を辞めて、学園の教師となった。


 

 そんなことを回想しながら、お茶(紅茶だと思う)を入れ、日が暮れるのを待っていた。明日には、元の姿に戻りやることがある。その段取りを今考えておこうと思う。

 やることというのは、バラックに会い、バラックのソーディアムの戸籍を作るんだ。この体の戸籍を。


 ソーディアムで俺は、ムタという名前で戸籍を持っている。勇者ではなく普通の一人の男として暮らすためだ。バラックに頼んで一人の男の戸籍を作ってもらった。

領内の魔物退治を手伝うという条件で。こんな条件がでたのも、この国は北の荒れ地、魔族領と接していて、魔王を倒した後も、相当数の魔物の巣が領内には存在していた。バラックは、王でありながら頻繁に魔物討伐に兵を連れていく。


 ムタっていうのは、地球の俺のお父さんが好きだったプロレスラーだったと思う。ムタと名乗った俺は、プロレスラーだから素手で戦う。素手だと、バラックより全然弱いけど、そこは元勇者。強者揃いのソーディアムでも5本の指には入る位の強さにはなる。飛びひざ蹴りを武器に傭兵として戦い、それなりに活躍してしまい多少有名にはなったが、勇者とは違いあまり干渉されることはない。

 そうだ。この体の名前は、ムタの娘、ムタ・エリカということにしよう。


 こっちの世界では、苗字のある人は、貴族に限られる。普通の人は、苗字を持っていないが、名前が重複したりして、どこそこの誰というのが必要な場合があるため、父親の名前を苗字のような役割にすることが多い。他にも、村や町の名前を付けたりする。ムタ・エリカっていうのは。ムタの娘エリカという意味がある。結婚すると、夫の名前を名乗ったりもするが、父の名前をずっと名乗る人もいるし、その辺は自由らしい。


 元に戻って、移動魔法で城の屋上に乗り込んで、と思ったが、変身すると魔力を使い果たすので、魔法が使えなくなる。明日行くのは無理か、明後日にするかな。


 とにかく近いうちにバラックに会いに行こう。戸籍が手に入ったら、キングダムへ入学手続きに行くんだ。そのときは、ローザに何とかしてもらおう。うん。持つべきは戦友。だねっ。

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