一度言ってみたかったの。
リュウを中心としたパーティーに、必要なもの。
「まずは、ラウルの盾だね。強いだけじゃなく、あの防御スキルを補助してくれるやつが良いと思う。」
カイが、話始めた。
「ドーゼンバルフ家の盾?あれはもう無いんじゃ?」
強いだけじゃなく、ドーゼンバルフ伯爵家のスキルが強化されるという、伝説の武具の1つ。前魔王との戦いで、破壊されたと聞いた。
「ここに来る途中、伯爵に会ってきた。盾は壊れてしまったが、素材は残っている。ラウルが行けば、素材を譲ってくれるはずだ。」
まぁ、他人には預けられないか。
「素材?盾にはどうするの?」
「大切なのは、スキル補助だから、アクセサリーにするなり、盾に埋め込むなりで効果はあるはず。」
「そうなんだ。ねぇ。ところで、私に会いたくて帰ってきたって言ってたよね?」
カイが戸惑った感じになっている。
「うん。そうだよ。急いで来たんだよ。」
「…でも、寄り道してる…」
「寄り道って、ラウルの盾のことだよ。勝つための…」
一度言ってみたかったセリフがある。
「私とラウルの盾。どっちが大切なの?」
「なにそれ…世界救うために必要なものだから。」
「じゃあ、私と世界救うの、どっちが大事なのって?」
はやく、エリカと言いなさい。
「いや、その、世界が無いとエリカもだなぁ」
だからぁ。
「もう知らない!!」
これも言ってみたかったやつ。拗ねてみました。
「大切なのは、エリカ。大事なのはエリカ。愛してるから。」
言われてみたかったの。
「エリカが大事。僕には君だけしか…」
「何回も言うと嘘っぽいよ!」
仲直りして、また、仲良しこよし。
…いったい何回いけるんだろ。
二人で横にならんで寝転びながら、続きの話をした。
「エリカの杖もいるかな。」
「貴方の使っていたものは?」
「あれは、氷結魔法にはあわないと思う」
「そっか。他には、ロゼの剣とアリアさんの法衣、ゴートの刀かな」
カイが少し考えて答えた。
「アリアの法衣は、ローザがいた修道院に行けばなにかあると思う。ロゼには、火山でドラゴンが守っている剣があると聞いた。その火山なんだけど、1ヶ所とても冷えている箇所があるらしい。」
「そこに、何かあると?」
「そこまでは、調べられなかったけど。冷えてることから、冷却する何かがあって、エリカの氷結魔法に何らかの影響があるかもしれない」
というわけで、パーティーを際結集させて、ドーゼンバルフ伯爵領に行く。それから、素材を加工してラウルを強化。修道院で、ローブを手に入れて、火山で武器探し。その後東方へ行ってゴートの刀を探す。ってところか。
「とりあえず、旅をしているリュウを探さないと、ドラゴンとバトルありそうだしね。何処にいると思う?」
リュウ兄さんは何処にいるんだろうね。カイならわかるんだろうか?
「これでも僕は、アイツの母親だからね見当ついてるよ。勇者装備使いこなせるようになってから、移動魔法もかなり自由に使えるようになったはず。エイタならどうしてた?」
私?
「私なら…」
過去のゲスい記憶が甦る。冒険して、ご飯食べて、休んで、いや休まずに…女か。
「あの子は、誰かさんと違って一途なんだけどね。僕に似たんだと思うけど」
ううぅ、反撃されました。
良く喋る口は塞いでしまおう。
目には目を。口には唇を。
違う気がするが、まぁ良いでしょ。
底無し沼のよう。
はまってしまったみたい…
イチャイチャさせんで、はやく冒険に行かせたい。
 




