魔王について
皆に説明をするカイ。カッコいいなぁ
と、今はそんなこと考えている場合ではないか。
「その何かを取り込んで魔王となった魔族は、魔力が上がり強くなるようです。」
「確かにシャドはかなり強くなっていたな。」
バラック口を挟む。カイが頷く。
「それだけではなく魔王になれば、ほぼ完全な不老不死になってしまいます。」
「だから魔王は倒せなかった?」
今度は王様が、口を出した。
「そうです。前魔王の前の魔王があまり侵略を好まなかったために、100年以上もの間平和でした。そのことが、魔王に対する対策を、我々人間側が失っていく結果となったのです。そして平和だったがゆえに力を貯めていた魔族の進攻は凄まじく…」
「もう思い出したくないな。」
「エイタが魔王を倒した後、私達は、魔王に対する対策を考えてきました。」
私達?
「あの、私達って、わたしっ、いや父のエイタからはそんなこと」
思わず発言してしまう。そんなこと聞いてない。
「そう、あの時の私達には、あな…エイタに対して後ろめたい気持ちがあった。この世界の問題に、異世界から来た少年を巻き込んでしまい、一番大変な思いをさせてしまった。だからせめて、エイタが作ってくれた平和な世界を、エイタには自由に楽しく生きてもらおうと…」
「その事は、王家も理解していた。魔物退治等もしてもらったりしたが、こちらから依頼したことは一度もなかった」
王様が、私にに向かって話してくれた。皆、水くさいな。でも、確かにあの時は、とにかく休みたかった。それでも、温泉付の家作ったり、プロレスラーの真似したり、楽しく過ごさせてもらった。
カイが話を続ける。
「そう、この学校作ったり、魔族領との境界に国を作ったり、それぞれの国々にも防衛体制を整えてもらったりしました。」
みんながそれぞれ神妙な顔で頷いている。
「僕、エリスは、この10数年魔王を異世界の勇者に頼らずに、倒す方法をずっと考えて、研究してきました。」
「その1つは、僕のこと?」
リュウだ。カイが頷く。
「そう。エイタの子供であるリュウが、勇者の装備を扱える可能性に気付いた時は、感動しました。結果はそんな簡単ではありませんでしたが、あの装備は、この世界の人間にとって、持つことさえ難しいものです。
リュウ。よく頑張りました。あなたが勇者となることで、この世界の人間は、希望を持つことができます。
もう1つ。僕は、封印の魔法を研究していました。。
この世界では、魔王を封じると言う発想はありませんでしたが、エイタのいた世界では、割りと一般的だったようです」
一般的というか、魔王が出てくるストーリーでは定番というか…
「魔王となったシャドは、簡単に言えば封印魔方陣のなかに封じ込められています。封じ込めていられるのは丸2年かと思います。
封印魔方陣の不完全な点は主に2点。
まず、封印期間は2年のみということ。100年単位での封印を目指していましたが…」
「もう1つは?」
「封印される対象が、封印魔法の使用者より魔力が低いこと。
シャドは魔王となり、僕の魔力と同じくらいあったと考えられますが、戦いによる損耗と変化の指輪に干渉したことで、一気に魔力が低くなって封印に成功したと思います。」
確かにあれ魔力半端なく消費するからね。
「シャドが復活するまで2年。この姿ではもう封印魔法は使えません。だから、リュウを中心にした戦力を整える必要があるのです。」
「で、魔王はどこに出現するのだ?」
王様聞く。
「2年後、この封印した場所です。」
カイの声が響き渡った。




