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勇者と少女と変化の指輪  作者: 山口瑛史
変化の指輪と勇者
33/75

勇者はお兄ちゃんと呼ばれたい


試合の次の日が卒業式だった。


1日では、完全に回復とはいかず、まだちょっとだるい。

リュウやロゼもそのようだ。


「兄さん。卒業おめでとうございます。」

リュウに話しかけた。父ちゃんは嬉しいよ。

「お兄ちゃんって呼ん、」

「えっ?」

「いや、何でもないよ」

えっ、お兄ちゃんって呼んでほしいのか?どうしたんだろ。

覚醒してから、コイツおかしいよ。


「リュウっ。おめでとう。」

エリスがいた。

「用事もあったんだけど、愛する息子の晴れ舞台だからね。戻ってきたよ。」


エリス。カイじゃないけど、私の恋人には違いないよね。

「エリカ。リュウをありがとう。上手くいったみたいね。」

「うん。」

言葉が上手く出ない。

エリスがエリスでいるなら、私はエイタに戻りたい。



エリスが私だけに話しかける。

「シャドが、やはり魔王化したみたい。」

「えっ。」

「バラックとピーター、できればローザにも来てもらって、魔族領に様子を見に行こうと思う。」

「大丈夫なの?」


エイタの時、魔王を倒したものの、シャド達魔族全てを殲滅させることは出来なかった。魔族が人の国に現れると被害が出るので、バラックが国を作って魔族領を監視するという形ととっている。


「今ならまだ、シャドを押さえ込めると思う。時間稼げれば、リュウとあなたとロゼ達が、成長して魔王と戦えると…」



卒業式は、リュウが挨拶を行い、つつがなく終了した。


「兄さん、進路について相談があります。」

「エリカか?卒業後は、一度旅に出るつもりなんだ。」

キングダム騎士団の誘いを断っていたな。

「ところで、エリカ。気になっていたんだけど、僕達、兄妹なんだから敬語は要らないよ。」

「えっ。でも」

「夢を見てさ、エリカが僕のことを、お兄ちゃんって呼んで普通に話しかけててさ。普通兄妹ってこんなだよなって思ったんだ」

勇者装備になにか見せられたんだね。


「うん。…わかり、分かった。努力するよ、お兄ちゃん!!!」

「うん、良いねっ。それで、相談ってのは?」

それから、魔王の話をしようとしたんだけど。



「城の外に、魔物の群れがぁー。避難するんだー。」

誰かの叫ぶ声が聞こえた。

魔物の群れ?なんで?


外が見えるよう、学園の屋上に移動して確認した。

まだ遠く、点くらいしか見えないが数は結構いる。

「くっ、戦いになるとキツいな。やるしかないが」

リュウが言う。昨日の試合の影響で本調子では無いのだ。

ゴートにロゼ、アリアさんやラウル達も屋上に上がってきた。


「俺、目が良いんだ。この距離でも大体見えるよ」

ゴートが言う。やはり斥候とかできそうだな。

「数は結構いるな。1000体とか?あ、先頭に地竜に乗った魔族がいるな」

そいつがボスかな?ゴートが続ける。

「その魔族なんだけど、女?男?気持ち悪っ、なんかケバい感じ。」

隣にロゼがいる。

「わからないけど、それってエリカの知り合い?なんじゃないん」

あー、ケバい魔族っていえばシャドか?

魔王化したシャドが攻めてきたのか?



「魔王となりました。シャドですわー。挨拶に来ましたのよ。よっろしくお願いしますぅー。」

魔法で拡声したのかわからないが、その気持ち悪い声は、キングダム中に響いたのだ。


「早すぎる。こんなはずじゃ無かったのに。」

エリスが呟く。


「エリス。ここかっ。不味い状況だが、俺たちがいる。ピーターとローザもいる。俺たちならなんとできる。行くぞ」

バラックだ。


「母さん。僕達も。」

リュウが言うが、エリスが遮る。

「ダメ。戦える状態じゃないでしょ?」

「それは。でも」

「私たちの戦いを見てなさい。あなた達も、一緒にいるから好都合ね。」

エリスはそう言うと、私たちの周りに結界を作動させた。

…出れない。

「これで魔族からも見えないはずよ」


エリスとバラックが魔物の群れに向かっていった。




エリスをエロスとタイプミスするこの頃…

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