約束は守りましょう。
氷結魔法。未完成の魔方陣を発動させた。
魔力をどんどん消費していく。
キツいな。まだまだ魔力は残っていたはずなのに。
そして、ほぼすべての魔力を消費したと思ったとき。
魔方陣の前方、亀の周辺の気温が大幅に下がっていく。
まず、海水が凍っていくき亀の動きが止まる。
「きれい…」
ロゼが呟くのが聞こえる。気温がさらに下がり空気中の水分が凍っていく。
「ダイアモンドダストっ!!!」
だよね、これって。
ラウルのせいで技名を叫ぶのが流行っているの。
あ、でもヤバい。魔力切れで気が遠くなる。
力が抜けて立っていられなくなったんだけど、
力強くて大きな何かに支えられた気がした。
「この前のおかえしだな。」
カイの声が聞こえた。カイが支えてくれる。すごく安心。
どれくらい気を失っていたのか
目が覚めると頭はカイの膝の上だった。膝枕…
「お疲れさま。まさかあんな魔法考えたとはね」
カイが頭を撫でてくれた。
「不完全で、まだまだなんだけどね。」
絶対零度が目標なのです。
今はたぶん-20度くらいかな。完成したら-200度以上下げて空気を凍らせることで、魔王化したシャドに有効な攻撃になるはず。
自分の体は自分で取り戻さないとね。
「エリカちゃん、目が覚めた?」
呼ばれた。もう少し寄りかかっていたかったけど、仕方ない。
「では、お昼にしましょうか?」
アリアさんが準備していてくれていたようだ。
もう昼はとっくに回っていた。
「私が目が覚めるのを待っていてくれたの?」
聞いてみる。
「お弁当作って、亀倒したエリカをおいて先には食べれないよ。」
とリュウが答えてくれた。
「もう腹ペコだよ」
「「頂きまーす」」
「これうまいね!」
「唐揚げサイコーだな」
皆誉めてくれる。うれしいものです。
頑張った甲斐があったな。
「あの3人は?」
いなけりゃ気になるものだ。
「一度キングダムに戻って報告してくるって」
「あれ、片付ける人手がいるしね」
浜辺と海には魔物の残骸が山積みになっている。
波打ち際から10mくらいの浅瀬には氷漬けの巨大な亀がいる。
キングダムから来た船に魔物の残骸を積み込んでいく。
解体は戻ってからやるそうで、ものの2時間くらいで浜辺はキレイになった。亀は明日対処するとのこと。
日も沈みかけ、帰る用意をして、ひと休みしていた。
浜辺で座っていると
「もう皆船に乗ってるよ。あと15分くらいで出航だって」
カイが声をかけてくれ隣に座った。
浜辺で並んで座っている。恋人っぽいな、嬉しい。
カイの方へちょこっと寄って、寄り掛かってみる。
肩と腕、肌が直接触れ体温が伝わって、とてもあたたかい。
「ねぇ。あなたがエイタの時にエリスとした約束って、今でも有効?」
約束ってなんだろう?
「なんの約束か分からないけど、私とあなたの約束だから大丈夫だよ。」
「魔王倒してさ、平和になったら、海に行こうって」
うーん。思い出せない。
「海に落ちる夕日がキレイだから魅せたいって」
「今の景色かな。キレイ…」
日が落ちていき、真っ赤な日が海に写る。
エリスに見せたかった景色だ。約束果たせたね。良かった。
ん、約束には続きがあったような。
「僕は、カイとして、エリスとして、エイタでも、エリカでも、そんなの関係なくあなたを愛してるよ。」
カイが言うと、肩をつかんで見つめてくる。
「私も…」
同じ気持ち。少し顔を上向きにして目を瞑る。
夕日をバックに、エリカとしてハジメテノ
そう初めてのキスをしました。
「海のそばで、夕日に照らされながらキスしよう」
遠い日の約束だった。
カイの気持ちも書きたいけど、ご想像にお任せしようと思います。




