新入生対抗試合です。
授業も座学だけでなく、午後は実技となり実践的なものとなるなど、興味深いカリキュラムが進んでいた。
魔法科としては、卒業までに魔方陣の制作を行うらしい。
まったく新しい魔法を作るなんて、今からワクワクするね。
そんなこんなで一月が過ぎた。
新入生の対抗戦である。1組はシードになっていて2,3組の勝ち残ったものたちとの対戦となる。
1対1での対戦で、ダウンするか、降参するかで勝負が決まる。校長のローザ初め優秀な回復魔法の使い手が控えており、ガチでの勝負になっている。
クラス入れ換えの意味もある試合だけど、回復魔法や補助職の生徒は、レポートの提出や課題作成で免除になる。
1組から14人が出てる。2,3組から18人に絞って、ベスト32から1組も出始める。
初めての対決は、2組から勝ち上がってきた剣士の男子学生。
「「よろしくお願いします」」
間合いは絶妙の距離。一般的に、魔法対戦士だと間合いが広いと魔法が有利だが、この距離だとどっちが優れているか単純に判りそうだな。
「はじめっ。」
レフリーは講師が勤めるようだ。
この間合いで魔法を発動、戦士が間合いを詰めるのが早いか、魔法が間に合って倒すのが早いかの勝負。それで決まらなければその後の引き出しが多い方が勝つ。
…まぁ、今回は勝負にならず快勝しました。
対決は進んでいき、準々決勝。レポートが面倒と出場しているゴート含めみんな残ってる。そんな中、3組の生徒が残っていると言う。
先日、講師に直談判していたラウル君だった。
試合出てたから、実際に見てないけどどうなんだろうか
「あの、ラウル君って?」
試合を見ていたであろうゴートに聞いてみた。
「攻撃は大したことはないんだけど、守り切って相手が疲れたところで勝負決めてる。」
「次カイとだよね?どう思う?」
「カイの攻撃が入るかどうか。だね」
うーん。準々決勝からは1試合づつ行われる。観戦出来るので、ラウル君の実力がわかるはず。
「それより俺達の試合、手加減は無しでいくよ」
「望むところだよ。」
私の試合が先だった。今話していたゴートとの試合。
この体だと、身体能力は雲泥の差。一発の威力は上だけど、勝てる気がしないですっ。
「はじめ」
最初に飛ばした真空魔法は、やはり避けてきた。間合いを詰めてくるが、身体強化して下がりながら、地面の魔方陣を作動。
泥で動きを鈍くする作戦!!
ぬかるみに足をとられている。よし、もう一度間合いをとれた。もう一発真空の刃を
「えいぃ」
決まったかな。と思ったんだけど
「そりゃ。」
どうやったのかわからないけど、足下の泥だけが固まっていてジャンプしてきた。
でも、空中だと身を避けることはできないはず。
発動時間の短い、火玉をぶつける。今度こそっと思ったんだけど。
空中に30四方くらいの透明の足場みたいのができて、それを蹴って向きを変えてくる。
ーあれは、エアーピーターじゃん。ピーターが使っていた怪しげな術の一つ。空間を固めて足場にして空飛べるやつだ。あのバスケットボール選手にちなんで、私が名付けた技…
そして空中から一気に間合いを詰められて、喉元にナイフ。
「参りました」
うぅっ。負けちゃいました。
泣いちゃうかも、だって女の子だもん。
カイに負けたけど頑張ってねって言おうと思ったんだけど。
「カイ様、頑張って下さい」
「カイ様が3組の方に負けるはずありませんわ」
取り巻きがいて近付けない。
ぜんぜんっ、おもしろくない。
泣いちゃうかな。涙を止めることができなかった。
あーぁ、泣いちゃった。
泣かせるつもりなかったのにな。
 




