第八十三話 波乱に満ちた文化祭準備6
〜第一渡り廊下〜
「美術室に?」
「はい、ですがこちら側ではありません」
「こちら側って?」
「簡単なことさ、ズバリ霊界だろ?」
「はい、その通りです」
「でも、どうやってこっちに連れてくるのよ?私達魔族は別として、優希ちゃんは?」
「私霊界行けますよ?」
「あ、そうか、一度行ってるんだっけ?」
「はい、それに、るぅちゃんの冥界乃扉がありますし」
「なら、行きましょうか」
〜旧校舎三階・特別教室〜
「なんと言うことでしょう、まさかあんな能力を持っていたとは・・・」
「生贄が一人だけでは足りないのではなくて?」
「だが、現に我々は危機的状況に陥っている、これを打破しなくてはなるまい?」
「でしたら私が行って差し上げてもよろしくてよ?」
「貴女が?冗談なら他所でしてください、少なくとも我々の目的は文化祭、更にはこの学園の占領なのですから、貴女が行ってしまったら私の計算が狂ってしまいます」
「あら?貴方はこの状況が計算内だと仰るのかしら?」
「それは・・・」
「なら、私がいくよ」
「あら、いましたの?ごめんあそばせ?気付かなくってよ?」
「それは私に喧嘩売ってるの?」
「さあ?どちらかしらね?おほほほほ」
「とにかく、お前が行けば万事解決だ、頼んだぞ?"麻紀”」
「仰せのままに」
〜旧校舎一階・廊下冥界〜
「もう冥界なのか?」
「はい、そうです」
「あれ?麻紀じゃない?」
「優希さん、お久しぶりです」
「どうしたの?こんなところで?」
「ええ、迷ってしまって」
「迷う?それはおかしいな」
「あの、どちら様で?」
「ふん、敵に教える名前なんてないね」
「ちょっと!ディアさん!麻紀ちゃんは仲間ですよ!?」
「あーあ、ばれちゃいましたか、そうです、私は優希さん達を倒しに来ました」
「麻紀ちゃん、なに言ってるの?」
「すみませんが、私達の邪魔をしないで貰えますか?こっちには文化祭をぶち壊しにするという使命があるので」
「使命って、そんなくだらないことが使命って!おかしいよ!」
「くだらない?よくそんなことが言えますね、それはそうですよね、何せあなた達は主人公で、いつでもスポットライトを浴びていられますから・・・でも、私は主人公じゃないんです!所詮、忘れられる為に生み出された存在なんですよ!」
「だからって」
「いいですか?これは下剋上です!宣戦布告です!だから!私は意地でもあなた達を倒して!この小説を終わらせるんです!」
「この小説を、終わらせる?そんなことが許されるわけないじゃない!麻紀ちゃんはそれでいいの!?」
「・・・特別に教えてあげます、この計画の首謀者は山城祐希さんです、彼は、優希くんのチートを手に入れ、この小説を終わらせるつもりです」
「何故教えてくれるの?」
「・・・それは、私の”エゴ”ですよ、私は、スポットライトを浴びたい、でも、今の自分にも満足しているんです、優希さんが、気付かせてくれたんです」
「麻紀ちゃん・・・」
「今の祐希さんは、優希くんと同じ力を持ってます、私には、止められ無いんですよ、下手したら、優希さんにも、止められるかどうか分かりません、ですから、私を倒してから先に行ってください!早くしないと!紗季ちゃんが!」
「・・・解った、戦うよ」
続く