第八十話 波乱に満ちた文化祭準備3
「今・・・なんて?」
「先生?どうしたんですか?」
「優希、私の名前は?」
「グラトニル・ヴァリアノイドですよね?それに、私の名前は優希ですよ?」
「なら、貴女の性別は?」
「女です。」
「男じゃ無いのか?」
「先生!酷いです!私、先生にそんな事言われるなんて思いませんでした!尊敬してたのに、がっかりです!」
「ちょっとまて、なら貴女の召喚獣は?」
「私の召喚獣は、るぅちゃんですよ?」
「御主人様!確かに私は御主人様の使い魔ですが、リアも御主人様の使い魔なのです」
「嘘、だよね?」
「本当の事です」
「先生は、悪魔で、私は、人間で、私は、誰?私は何者なの?ねぇ、答えてよ!答えなさいよ!先生!るぅ!」
「落ち着いて!」
「私は、私は、私、私私私私わたしわたしわたしわたしわたしわたしわたしわたし」
「優希!」
「呼びかけてもそいつは治らないぜ?」
「貴方は・・・」
「久しぶりだな、リア」
「グランディア・・・」
「ちょっと見せてみろ」
「ちょっと!?」
「お前は誰だ?」
「わたしはだれ?」
「お前は何処だ?」
「わたしは何処?わたしはそこ?わたしは、わたしは、わたしは・・・あれ?リアさん?るぅちゃん?それと、えっと、どちら様?」
「優希か?」
「はい、あの、状況が上手く掴めないのですが、優希さんは何処に?」
「多分、何者かに"誘拐された"んだろうよ」
「一体、どういうこと?」
「誰かが優希の能力と優希自身を奪った、としかわからねぇ、だが、これは並みの人間に出来るようなものじゃねぇことはたしかだぜ?」
「そんな、優希さん・・・」
「なぁに、気にするこたぁねえ、それに、お前が残ってるってことは取り返せるチャンスも残ってるってことだぜ?」
「産まれながらにしてチートなのは紛れもなく優希の能力だ、だからこそ本気を出す時は女になる必要がある、まあ、確かに男の方にもチートはあるが、お前には傲慢がついてる。」
「でも、暴食はリアさんの、優希さんの能力です!幾ら傲慢と怠惰があるとは言え、暴食と強欲と色欲の三つには叶いません!それに、優希さんが敵に回ったら・・・」
「心配ねぇよ、おい猫、優希は今どこにいる?」
「冥王の所です。」
「なら、敵は優希と一緒にいる訳じゃねぇんだな?」
「はい。」
「そういうこった、それに、暴食なら、此処に居るぜ?リア程じゃねぇが、所詮盗んだ能力だ、俺に敵うわけがねぇ。」
「貴女は・・・」
「ああ、お前には話してなかったなぁ、俺はグランディア、暴食を司る双黒龍だ、ちょっと前まで、リアの気を引くために世界を喰うことを目論んでたが、まあ、気にしないでくれ、今は俺たちの故郷の長をやってる、よろしくな。」
「リアさんの幼なじみですか?」
「まあ、そういうこった。」
「あの、何故男装してるんですか?」
「優希!?それ、禁句・・・」
「おい、嬢ちゃん」
「は、はい」
「俺は男だ」
「え、ええええ!?」
「ディアが、キレない?」
「俺だって成長するさ、まあ、成長しても、見た目が女みたいなのはかわらねぇが」
「昔は良く女装させられでたもんね、それに「怖いよぉ、リアお姉ちゃん」なんて目に涙貯めて女の子の格好して抱きついて来るんだから」
「やめろ、俺の黒歴史を語るな」
「しかも、お姉ちゃん、おねしょしちゃったよぅ〜なんて、毎朝・・・」
「やめろ、やめ、やめてぇぇぇ!!」
「なんか、変わりました?」
「ディアはね、感情が高ぶると双子の姉と入れ替わるのよ」
「ちょっとリア!?またディア君虐めたの!?」
「ごめんごめん、ちょっと紹介したい人が居て」
「あの、優希です」
「・・・ふぅん、貴女、私達と同じ環境下に居るのね」
「な、なんでわかるんですか?」
「貴女、美味しそうね、ちょっと弟に嫉妬しちゃった」
「ディナ、そこまでにしなさい」
「分かってるわよ、私はラディナ、一応、弟と同じ異変種よ」
「異変種?」
「魔力を複数持つ魔族の事、って、リアもそうじゃないの」
「え!?リアさんも異変種なんですか!?」
「まあ、一応、暴食のほかに傲慢を持ってるが、優希や優希くんのに比べたらほんの僅かだ」
「説明すると、ディアが暴食と強欲、私が色欲、暴食、嫉妬ね」
「そうなんですか」
「さて、じゃあ、貴女と契約してあげる、安心なさい、私とディアは一心同体、黒龍の中でも珍しい双黒龍だから、私かディア、どちらかと契約すればもう片方とも契約した事になるわ」
「多重契約は、三年の選択科目だからな、まあ、後々分かるだろう」
「それじゃあ、いきましょうか、優希を取り戻しに!」
「おい、姉さん、置いてくなよ!」
「え!?出れるんですか!?」
「ん?当たり前だろ?双黒龍なんだからよ」
「お前らだっていつかは出来るようになるさ、それより行くぞ?」
続く