第六十八話 朽ちてゆく肉体
「お兄ちゃんおかえり」
「ただいま」
「兄さん!」
「おお!我が弟よ!」
「魔王さまが息を切らして来るのでなにかと思えば、こういうことだったのですね」
「ああ」
「ですが魔王さま、感動の再開もよろしいですがまだ仕事が残っているのでは?」
「感動の再開だからこそ来たのだよ、仕事はあとでもできる」
「・・・仕方ないですね、では話が終わったら仕事に戻ってくださいよ?」
「うむ、了承した」
「にしても弟よ、二時間ぶりの再開だな」
「そうだな!思えば」
「魔王さま」
「なんだ?ヴァリア?」
「事情が変わりました、今すぐ帰って仕事に戻ってください」
「なぜ?」
「いいから仕事に戻ってください」
「だからなぜ?話が終わったら仕事に戻るんじゃないのか?」
「・・・たかが二時間程度の再開に時間かけるより仕事に時間をかけた方がよっぽど有意義だとおもいますが?」
「なんだと?」
「・・・わかりやすく言い直しましょうか?」
「なんだ?言ってみろ」
「・・・では、仕事に戻りやがれこのダメ魔王、あとさっきからセクハラしてんじゃねぇよ、奥さんに言いつけるぞ?分かったらさっさと帰って仕事に戻りやがれこの単細胞生物!」
「・・・ほう、言うようになったではないか、だがな、私も一言言わせてもらう!もっと罵ってください!」
「うわ!きも!」
「さすが弟!わかっておる!ヴァリアさん!私も罵ってください!」
「・・・あんなのが俺の親だなんて信じたくねぇ」
「お兄ちゃん、身体は戻らないの?」
「そうだな、まだ何か足りないのか?」
「おお!そうだ!私はそのために来たんだった!」
「本当ですか?」
「本当だ」
「で、父さん、その方法は?」
「ああ」
「・・・え?」
なんだ?一体、何が起きた?脇腹に衝撃?
「ぐああぁああ!痛てぇ!痛い!」
「優希君!そんな!ウプッ」
「腹が!裂ける!ぐっうわあああ!」
「嘘、嘘よ!これは夢、そう、夢よ!だって、だってお父さんがこんな・・・」
「紗季、よく見ておけ、肉体を男に戻すにはな、こう!内蔵を抉り出してなァ!」
「痛い!痛い痛い痛いぃ!こんなだったら!俺は女のままの方がいい!」
「オイオイ、優希君よォ、それが!人に!モノを頼む!態度か!」
「ごめんなさいぃ!痛いの!もう許してぇ!許してください!お願いします・・・」
「ははははは!ひはは!ひゃぁっはははは!聴いたか?紗季ィ!優希ィ!いいか?これが天下の次期魔王様の悲鳴だぜェ?サイッコーに可愛い叫び方だよなァ!」
「貴様、魔王さまじゃないな?」
「今頃気づいても遅せェんだよ、ヴァーカ!」
「いやあああ!」
「俺が!お前に!取り込まれた時!霊力を糧に魔力で自分の存在を保ち!この時を!今か今かと!待っていたんだ!暴食や傲慢より弱いだァ?ざけんじゃねぇぞゴラァ!」
「イギャアアアアア!」
「俺が!俺こそが!頂点に!ふさわしいんだよ!ボケどもが!」
続く