第六十六話 霊力
「優希君が男に戻る方法?」
「ああ、リアなら何か知ってるんじゃないかと」
「ごめん、分からない、ただ、原因は考えられるよ?」
「原因?」
「うん、魔力維持値が高くなって、男の精神で女の子に戻った可能性」
「魔力維持値?」
「そう、言うなれば魔力を保持する容量みたいなもの、つまり4GBのメモリーに6GBの情報は入らないでしょ?でも入る容量を上げて8GBのメモリーにすれば6GBは簡単に入る、それでいうと今まで3GBの男の人格を入れて圧縮して1GBにした元の人格も入れてたとするよ?すると容量は二つ合わせて4GB丁度になる、さらに今回の修行で2GBの外付けハードディスクをつけたら・・・」
「片方には男の人格、もう片方には解凍した元の人格が入る、って事か?」
「そういうこと」
「なら、元の人格をまた圧縮すれば・・・」
「元に戻るかもね、でも、私は人格を圧縮する方法を知らない」
「成る程、じゃあちょっとやってみるか」
「やるって、どうするんですか?」
「まず、手を握って念じてみる」
「こう、ですか?」
「・・・何も変わらないな」
「はい」
「ご主人様?手を繋いで何をしているんですか?」
「お!るぅ!いいところに!」
「はい?」
「・・・ってことなんだが」
「そんなの簡単ですよ?」
「え?」
「契約です」
「つまり、キス?」
「いえ、今回は魔力維持値をくっつけないといけないので、高度な霊力の共鳴が必要です」
「霊力?」
「はい、普通の悪魔や天使は魔力及び天力を高めて返信、シンクロしますが、私などの転生者ご主人様のような憑依者には魔力、天力と同時に霊力を使います」
「霊力をマスターするにはどうするんだ?」
「簡単です、一度あの世に行けばいいんです」
「つまり、一度死ねと?」
「いえ、精神、または霊体が行くだけです、強いて言うなら、意識不明の状態ですかね?」
「つまり、生死を彷徨えと?」
「いえいえ、寝るだけですよ、ご主人様」
「分かりました、やりましょう」
「流石お嬢様」
「・・・仕方ないな」
「ではご主人様、お嬢様、ご武運を[デスドアー]」
続く