第五十九話 憤怒とは
「そろそろ来る頃かしら?」
「ラーシェルナか?」
「多分ね、あの人真面目だから」
「おはようございます、リアちゃん、ねぇさん、色葉さん」
「おはよう、ラーシェルナ」
「久しぶり、ラーシェお姉ちゃん」
「よぉ、ラーシェ」
「ねぇ、ねぇさん、熱でもある?いつもがさつで髪がボサボサなのに…」
「すまんな、がさつで」
「ま、何だかんだ言ってすごく女の子らしいところもあるけど…」
「例えば?」
「持ってるパンツが全部かわいい動物の絵のやつだったり」
「ラーシェ!なぜそれを!?」
「他にも、酒豪の癖につまみ作るとか言いながらシフォンケーキ作ってたり」
「…」
「服が脱ぎっぱなしのわりにはちゃんと翌日には外に干されてたり」
「いや、それは女の子らしいところとは違うだろ」
「ヘアピン用のケースを常に持ち運んでたり、お風呂が好きだったり」
「それはリアもそうだぜ?」
「え?ええ、まあ」
「がさつなようでがさつじゃないのよね、マリ姉」
「あら?でも結局がさつじゃない?」
「総合的にみるとがさつなのよ、ねぇさんは」
「それより、優希達の修行はどうした?」
「今やってますよ?」
「いつの間に?」
「それは秘密」
「…は?」
「それより私はラーシェルナとマリアの関係をもっと詳しく知りたいわ」
「簡単だぞ?」
「たしかに」
「言っちゃえば孤児だった二人を私の母が引き取り、ラーシェルナが成人すると共に養子から外した」
「なるほど」
「ねぇさんって呼ぶのは名残ね、」
「なるほど」
「リアは?」
「ラースと同い年よ?」
「ええ!!18だったの!?」
「まあね」
「そう言えばお兄ちゃんが歴代の悪魔の中で最年少で幹部になった子がいるとは聞いたけど…」
「そもそも私、不老不死だから」
「え?なにそれ初耳」
「18って言うけど、518年間生きてるわよ?」
「ええ!?」
「ベルゼはいくつ?」
「私は正真正銘ぴちぴちの16歳ですわ」
「そうなんだ」
「…なんかリアのこと敬語で話をしてしまいそうだ」
「従姉なのに!?」
「まあ、しないけどな」
「そう言うとこががさつなのよ、ねぇさんは」
続く