第十四話 パラレルワールドの俺、そして紗季
「ねえ、お兄ちゃん」
「なんだ?」
「私が来たかった世界じゃ無いのに何でこんなに頑張るの?」
「なんだよ、紗季らしくねぇじゃねぇかよ」
「ちょっと、ね」
「ん?アンタウチに嫉妬してんのか?」
「そういうのじゃ、無いけど…」
「なあ、紗季…」
「何?」
「パラレルワールドはな、その先にどんな世界が広がってるのかわかんねぇんだよ、だから、どんなに辛い現状でも切り抜けないと駄目なんだ」
「分かってるよ…」
「じゃあどうしてそんなに暗そうにしてんだよ」
「…」
「…わかった、この話しはここまでだ」
「…うん」
「話しは終わったか?」
「ああ、」
「なあ、アンタさ、どうしてそんなに明るく居られるんだ?」
「俺なら解るはずだぜ?」
「…よく、解らないな」
「んな訳ねぇじゃねぇかよ、本当は分かってる筈だ、それにどんなに強がっても限界はあるんだ、本当はキツイんだろ?押し潰されそうで怖いから明るく、そして男勝りを演じてる、本当は優しい人間だ…違ったか?」
「…甘えても、いいのかな?もう、強がらなくていいのかな?」
「ああ、」
「…泣いていい?」
「ああ、時が許す限り泣け、今なら許される」
「う、うん」