第百十六話 山田家の大黒柱達
「おい、暴食、娘達は無事なんだろうな?」
「確かにワシは暴食じゃがきちんとした名前があるんじゃぞ?それにゾンビと化しておったお主を救った張本人じゃ、無礼者」
「うぐっ・・・だが信用しろと言われても目の前で妻が別人になってしまったんだぞ?魔法も使えず、ただ見る事しかできず!」
「まあまあ、落ち着けよ、少なくとも娘達は無事だから」
「お前は・・・」
「山田家の大黒柱だ、それに美香はそんなヤワじゃねぇ、お前だって知ってるだろ?あの肝っ玉ぁ痛て!」
「あら?誰が肝っ玉ですって?」
「俺・・・に美香、お前なのか?」
「残念だけど、私はあなたの知ってる美香じゃないわ」
「お父さん!」
「優希!それに紗季も!いや、どうやってここに?」
「お父さ・・・別世界の傲介さんが守ってくれてたの」
「それよりもじゃ、少し厄介な事になっておるようじゃの」
「ベルゼブブの肉体は魔法世界の美香さん・・・」
「大方、別世界の美香とは知らずに憑依したようじゃなっと、噂をすればか・・・」
「傲介さん!騙されちゃだめよ!その人達は敵なのよ!」
「美香・・・お前なのか?」
「そうよ、私、何とか防衛魔法で助かったの・・・」
「そうだったのか・・・」
「お父さん!行っちゃダメ!」
「大丈夫だ優希、あれは母さんじゃない」
「なにを、言っているの?」
「良いか?私の妻はな、魔法具の扱いは天才だが、魔法は点でだめでな、大学では落ちこぼれと優等生のデコボコカップルと言われたくらいなんだ・・・」
「・・・おかしいわね?そんな記憶、何処にも無いのだが?」
「なぁに、カマかけただけだよ、化け物」
「ククク、クハハハハ!やってくれたな紛い物め!ならもう一度ゾンビにしてやろう!」
「おいおい、俺達を忘れちゃあ行かんでしょうよ、なあ?ゼブ?」
「傲介・・・貴様何故居る?」
「何故って俺がお目当てなんだろ?」
「ククク、貴様なぞもう要らん、もう少しで完成するのだ、究極の術式が・・・」
「まさか、お兄ちゃんを!」
「美香でおびき出すのに失敗し、息子を代わりにしようとしたが、思わぬ収穫であったぞ?」
「ところで愚姉よ、リリアはどうした?」
「ククク、今我輩は気分がいい、特別に教えてやろう、お前の娘は我輩を吸収し、既で手放した様だが、我輩を復活させるに至った、そして我輩はリリアの能力を利用し、全ての属性を統合する機構を創り出したのだ!」
「なんてこった・・・そんな事したら世界の均衡が崩れるぞ!」
「崩れた方が喰いやすいだろう?」
「ベルゼブブ貴様!」
「な、なんじゃあれは!」
「クククク、クハハハハ!どうやら術式が最終段階に入った様だな!さあ、大罪の虚獣よ!この出来損ない共を喰らい、その力を奪うがいい!そして!世界を喰らい我輩は唯一無二の頂点となるのだ!」
「皆!ここに居ては危ない!原初の世界に帰って立て直すのじゃ!」
「待って!私たちの世界に帰らせて!」
「ダメだ!あの身体は美香の身体、俺達の世界が容易に干渉出来るだろう・・・」
「そういう事だ、済まないな、ここは父さん達の言う事を聞いてくれないか?」
「そうだな、なんてったって俺達は山田家の大黒柱だその位させてくれ」
「・・・解った」
つづく
皆様、お久しぶりです。お待ちしていた読者の方約6年振りの投稿になりまして申し訳ないです。仕事にも慣れ、少し余裕が出て来たのでゆっくりと投稿を再開します、それにしても約6年ともなると、考えていた展開をさっぱり忘れてしまい、読み返して内容を一から考え直す形になってしまいました。もはや自分の書いた小説の二次創作していると言っても過言では無いのかも知れません(^_^;)