第百十四話 山田圭太と言う男2
鈍い吐き気で目が覚める、最悪だった、気づけば保健室にいた、俺は・・・どうなったんだ?
「よう、気分はどうだ?目覚めのところ悪いが、いくつか尋問させてくれ、いいな?」
理解が追いつかなかった、目が覚めたら目の前に俺がいたんだ
「愛生は!愛生をどうした!?」
「まあ、まずは落ち着け、愛生は2人とも無事だ」
良かった、無事なのか・・・2人とも?ああ、こっちの世界の愛生か、ってことはこいつは俺か、こっちの世界の・・・
「済まないな、色々混乱してると思うが、その結晶、まあ、ラトが言うにはリリアの魔力の塊らしいが、それはいつ手に入れた?お前を騙した相手は?」
「えっと、これは小学校の時に変な世界でリリアから貰ったものだ、だけどリリアは騙してた、さすが暴食の悪魔だ、俺を愛生の目の前でゾンビにしやがった!!」
「暴食?それはおかしいな、ラトに報告しよう、お前は体力が回復するまでそこで寝てろ、それと、お前の使い魔と愛生がお前に会いたがってたぞ?」
「オックトンと愛生が?」
「それじゃあな」
そう言って俺が保健室から出ていく、暫くすると少しおどおどした女の子と愛生が入って来た
「ま、マスター大丈夫ですか?」
「え?あ、ああ、大丈夫だ・・・オックトンか?」
「はい!オックトンです!正式名称はアスモデウス!種族はクラーケンです!」
え?は?クラーケンってあの?海にいる船壊すってあのでかいイカ?ってかアスモデウスって色欲の悪魔だったよな?聞き間違いか?
「けー君、あの時は騙しててごめん、私ね、こっちの世界の住人なの、どうしてもこっちのけー君を助けたくって、でも、けー君だったんだね・・・」
「こら!人の彼氏を犯人扱いしないの!あんたも助かったんだし、結果として救えたんでしょ?」
「ごめんね・・・彼氏取っちゃうような真似して、しかもゾンビにして・・・」
「いいよ、麗奈も治ってるし、治せることは分かってたし、そ・れ・に!ちょうどお灸にもなったでしょ」
「どうしてえっと・・・愛生でいいか、愛生は助かったんだ?」
「この結晶が守ってくれたの・・・」
「あ!それ私の!失くしたと思ったら!・・・まあいいわよ、結果として役に立ったなら」
「ごめん・・・」
「それで、体調は良くなったの?」
「あ、ああ、何とか、あーちゃんには迷惑かけたな・・・申し訳ない」
「良いの、お互い様でしょ?それに、今は優希君を助けなきゃだから、力を貸して欲しくて」
〜sideリア〜
「ふむ、これは間違いなくリリアの魔力じゃの・・・」
「ですがなぜリリアはこれを託したのでしょう?」
「恐らくじゃが、お守り替わりに渡したんじゃろ、全く、未来に戻って来て正解じゃったな」
「こっちの愛生曰く突然女の人に襲われ、気づけば空き教室に閉じ込められ、山田圭太と共に現れたと・・・」
「うむ、そして山田圭太に襲わせたんじゃな・・・更にリリアの結晶で暴食愛生は助かったと・・・にしてものう、孫とは思っとらんかったぞ、しかも完全に魔物の力を失っておるとは・・・」
「だが、なぜ虚栄の悪魔が暴食を・・・」
「もしや、リリアは間違ってベルゼブブを取り込んだのやもしれん」
「ベルゼブブ?」
「わっちの姉じゃ、かなりの過激派での、追放され、死刑となったんじゃが・・・今回の事件、ようやく確信に繋がってきたのう・・・これも因縁かの?」
「因縁?」
「わっちが追放した本人じゃからの、あながち間違いじゃああるまいて」
「しかし何故優希が攫われる?」
「もはや餌じゃろ、狙いは、暴食家と、お主、リアじゃ」
「ベルゼ、どうした?」
「私の、祖先ですのね・・・」
「そうか、養子だからな・・・気にすることは無い、ベルゼに罪はない、姉を信じろ、な?」
「お姉様・・・」
「さて、行き先は決まったのう、急ぎ支度せよ、魔法界へ飛ぶぞ」
「・・・皆に伝えてきますわ」
「リアが言ったとおり、お主は悪くない、あまり深く考えぬようにな・・・」
続く