第百十三話 山田圭太と言う男
物心ついた時には幼馴染みが居た、おっちょこちょいで、いつも泣いてばかりの女の子だった、俺は男の子だからこの子を守らなくちゃ行けない、別に誰かに言われた訳じゃないが、そう思っていた
小学校の時、幼馴染みの愛生と一緒に神隠しにあった、あれは夢なんかじゃない、そう思う、確かに現実だったんだ、街の見た目は変わらない、だけど色々とおかしな世界だった
おかしな世界で迷った俺達は1人の女性と出会った、名前はリリア、彼女はとても優しく、俺達を歓迎してくれた
神隠しに合ってリリアと会って、愛生が流石に帰りたいと泣きだしてしまった、するとリリアは帰る前にお土産と不思議な石を渡してくれた。
リリアは帰りも送ってくれた、別れ際、どこか寂しそうだった。
高校生になったとある日、リリアに再び会った、だけど、あの頃のような優しさは全く無かった、ただ冷酷に、愛生が危ないと教えてくれた、そして祐希達と同じパラレルワールドから来た愛生が助けを求めて来た、パラレルワールドの俺を救いたい、そんな話だった
後から聞くとリリアは暴食の悪魔で安全の為に愛生を隔離していると言ってた、でも、信じられなかった、利用するだけ利用して愛生を助けよう、そう思った
愛生がいる部屋に来た、暴食は何か言ってるが、正直信じられない、だから聞いてみることにした。
「おい、暴食、ほんとに愛生を開放するんだろうな?」
すると、暴食は笑いを含めたように言い放った
「勿論、ちゃんとやってやるわ」
やはり、信じて良いのだろうか?明らかにあの頃のリリアじゃない、愛生が俺に気づいた
「けー君!」
「愛生!今助けるからな!」
愛生を助けられた、良かった、でもなんだ、何かおかしい、体がだるい・・・暴食の方を振り向くと、にこやかに、さも計画が上手く行ったかのように、笑っていた
「けー君、怖かった、いきなり女の人が・・・けー君?」
ちくしょう、騙された、騙された騙された騙された騙された!何でだ!なんでなんでなんでなんで!
「くぞ、ナンで!ヤグゾグドちがああぁぁアア!」
「嫌!やめて!けー君!」
意識が、黒く塗りつぶされていく・・・愛生・・・ごめん、俺はお前を・・・助けられなかった・・・
つづく