第百八話 虚栄と傲慢
「ふふふ、うふふふふふ、そうじゃ、わっちこそ、初代にして暴食の頂点じゃ!長い年月を魔力だけの存在で暮らしたが、それももう終わりじゃ!今こそ9つの魔物を束ねる王になるのじゃ!!」
「9つ?」
「そうじゃ、お主の持っている"虚栄"もそうじゃろう?」
「待て、私は傲慢を・・・」
「なに?ふふふ、そういう事か・・・わっちは、とんだ無駄足をしたのじゃな、これは愉快じゃ!」
「何がおかしい!」
「ふむ、お主の記憶しかと見た、なるほど、そこの娘は傲慢じゃが、もう片方は"虚栄"じゃの、今じゃどちらも傲慢じゃがの」
「お主、器ではなく、純粋な暴食の代表として認めてやるわ、その代わり、早くせねば間に合わんぞ?あの小娘、何をしでかすか分からんでな」
「お前は敵なのか?味方なのか?この世界を崩壊させた理由は?」
「理由は簡単じゃ、わっちの子孫の魔力が爆発寸前で、その魔力を貰いに来ただけじゃ、しかし、お主は拒絶した、故に魔力は爆発、収拾がつかん、少なくとも、"この時間のお主は"の・・・」
「だから、器と?」
「今の時代の魔物はものすごく効率の悪い魔力の使い方をしとる、何故か、それは、制限が魔法自体に掛けてあるんじゃ」
「制限?」
「何言ってますの?、昔みたいな膨大な魔法使ったら世界がハチャメチャになりますわ!」
「使い方次第では・・・じゃな」
「まさか、今それを使うと?」
「いや、現時点でやった所でなになにが変わる?未来に飛ぶんじゃ」
「だが・・・」
「お主は、わっちに似とる、きっと、わっちの魂が輪廻転生したんじゃろうよ、今のわっちはほんの少しの破片に過ぎん、だから、わっちの娘を、助けてやってくりゃれ?」
「娘・・・」
「なぁに、夫が虚栄の悪魔だったってだけよ、双子の姉弟が綺麗に魔力別れしての、弟は姉を追い越そうと、暴食の悪魔として小さな集落を作った、じゃが、弟の頑張りはいつしか姉を追い込んでおったのじゃ、気づけば未来から子孫を呼び出し、体を乗っ取ろうとしとる」
「何の為に・・・」
「魔族の王になる、そんなわっちの願いを叶えるためじゃろう、自分の体をわっちの器にしようとしたのじゃ」
「そんな・・・」
「じゃが、過去を変える前に未来を変えねばの」
「わかった、だが、時空間の雫はもう・・・」
「安心せい、あれはわっちの魔力の集まりじゃ、未来を変える時に2〜30個は出来る」
「そ、そんなに要らないのだが・・・」
「そうか?なら魔力にするが良いわ、皆を助けるのじゃろう?」
「しかし」
「お主なら出来る、わっちが保証しよう」
つづく