第百五話 消えた生徒会長
「さて、これで全て揃ったか」
「いよいよなんだね」
「大変だよ！」
「愛生？」
「私が消えちゃった！」
「はあ？何言ってんの？」
「早くこっち来て！」
「もしかして、あっちの世界の？」
「違うよ！私はこっちの世界の愛生！」
「で、消えたと言うのは？」
「私が、けー君を連れて、あっちの世界に・・・」
「そんな、有り得ないよ、私達は今こっちに戻って来たんだもん」
「いや、あり得るぞ麻紀、我々の世界移動は若干のタイムラグがあるからな」
「またあっちの世界に帰るって事？」
「だな、めんどくせぇが、それしか無さそうだ。」
「よし、戻るぞ」
〜崩壊した世界〜
「来たわね、裏切り者」
「一体何の話だ？」
「愛生ちゃんの言う通りだったね、やっぱり騙してたんだよ」
「だから、一体何の事なの？」
「白を切っても同じよ？そっちの世界の私」
「何があったの？」
「まさか、残りの生存者まで襲うなんて、銃死刑しかないよね？ねぇ、私、ゾンビなんでしょ？一体何発まで生きてられるか、試させてよ？勿論、拒否権なんかないよ？」
「話を聞いてよ、麗奈！麗乃！」
「それは無理ね、元々貴女達が計画していたんでしょう？そして、残りの生存者をも・・・」
「大変だよ！ゾンビがこっちに来てる！」
「なら私が！」
「麗乃！？」
「お姉ちゃん、大丈夫、私ゾンビだから・・・」
「なら私も！」
「なに言ってるの？貴女は感染してないんでしょう？」
「してるとか、してないとか、関係ないよ、だって、大切な妹だもん」
「貴女・・・」
「なら仕方ないかなー、銃死刑は後回しにしてあげるよ。」
「麗乃！？」
「お姉ちゃん、やっぱり、私は別の世界でも私なんだよ、それに、そこの悪魔さんが嘘ついて騙してるようには見えない、だから信じてみる」
「仮に裏切ってたらどうするのよ！」
「その時はお姉ちゃんが私を殺してよ」
「そんなの・・・出来るわけないじゃないバカ！」
「あはは、ごめんね？」
「麗奈、一応これを」
「なによ、これ」
「ワクチンだ、感染してないうちに投与すれば感染を遅らせることが出来る。」
「・・・そんなの信じるとでも？」
「信じられないならそれでもいい、だが、元通りに戻す約束もワクチンを作る約束も必ず守る我は、私は君達を信じる」
「・・・好きにしなさいよ」
「それよりさ、ここから出ないとヤバイかもよ？」
「生き残っている人達は何人いる？」
「14人ほどだよ、その、悪魔さん」
「リアでいい、それと、少し時間を稼いで欲しい、私がワクチンを作る」
「わかった、任せて！」
「ゾンビを1人捕まえましたわ」
「ベルゼ！」
「1人くらいどうってことありませんもの、お姉様に出来て私に出来ない訳が無いですわ！」
「・・・そうか、わかった、それと、すまない」
「お姉様？謝らなくていいんですのよ？」
「・・・そうだな」
「では、参ります！」
「あう、うえ？こ、ここは・・・生徒会室、だよね？」
「オタクちゃんでしたの！？」
「えっと、誰かな？」
「あ、そうでしたわね、私はベルゼ・グラトニル、暴食の悪魔でしてよ」
「そうなんだ、私は秋元優菜周りからはオタクちゃんって呼ばれてるよ」
「オタク！大丈夫なの！？」
「え？なにが？」
「貴女、ゾンビに・・・」
「そういえば、なんで？」
「私が治しましたの、ですが、１日2〜3人が限界ですわね」
「とてもじゃないけど間に合わないわね・・・」
「リアさん、貴女に頼みがあるわ」
「なんだ？」
「愛生を、探して頂戴」
「ここに居ないのか？」
「ええ、貴女達が帰って、暫くして1度席を外したわ、その後、死んだはずの山田君を連れて来て私達に貴女達は私達を騙していたと話したあと、ちょっと席を外すって言って、それっきり」
「もしや・・・」
「何か引っ掛かりが？」
「私の前の契約者だ、あの時は分からなかったが、愛生なのか？いや、しかしこの世界は私が・・・」
「もしかして、記憶改変？」
「優希さんの事件と今回の事件、もしかしたらつながっているのかも知れません、１度優希さんの場所を再確認しに戻った方がいいのでは？」
「そうだな、済まないが、生存者を集めてくれないか？」
「避難するの？」
「ああ、私達の世界に」
続く
