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宇宙版シンデレラ

作者: 七宝
掲載日:2026/06/25

いま! いま! シンデレラという女の子がおりました。


シンデレラの体は地球と火星と木星に点在しており、それぞれの星に継母、義姉、義姉2号が一緒に住んでおりました。


こいつらがまぁめちゃくちゃいじめっ子気質で、継母はシンデレラの顔と右腕を、義姉は胴体と左腕を、義姉2号は下半身をいじめていました。


いじめの詳細は継母が腕相撲で、義姉は乳引っ張りで、義姉2号がキン肉マンでした。


継母は踏ん張る手や足のないシンデレラ相手に毎日腕相撲勝負を仕掛け快勝し、義姉はかれこれ30年乳を引っ張っているので、シンデレラの両の乳はババアのそれよりも長く垂れています。

そして義姉2号は、筋肉質なシンデレラの下半身を「キン肉マン」と呼んでいます。本人には聞こえていません(下半身には耳がないから)。


そんなある日、地球と火星と木星の中間地点でイケメンとのオフ会が開かれることになりました。


継母は「イケメンに会うのだから乳丸出しで行こう」と言いました。


シンデレラはそもそも動けませんし、乳丸出しで行ったら妖怪と間違われてイケメンビームで焼かれるに決まっています。


義姉は相変わらずシンデレラの乳を引っ張っていました。30年も引っ張っていると、本人もなぜ引っ張っているのか分からなくなる時期がありましたが、それをなんとか乗り越えて今があります。彼女の目に迷いはありません。私はシンデレラの乳を引っ張るのだ、それこそが使命なのだ、という目をしています。形で言うとかなり四角い。


義姉2号にも葛藤の時期はありました。近所の小学生に「ムキムキの下半身にキン肉マンって、あだ名のセンスなさすぎだろ」と言われてロープを買いに行ったことがありました。結局クビは吊らず、キン肉マンにくくりつけて、タイヤと繋いでトレーニングさせました。


おそらく読者の皆さんは「木星の小学生こわ」と思ったことでしょう。でも安心してください。火星のほうが怖いです。火星の小学生は全員サングラスしていて、全員指がとんがっていて、全員口の中にテレビがあって延々とMステが流れています。


シンデレラは泣きました。


私もイケメンのオフ会に行きたい。でも、こんな体じゃロケットに乗れない。人の目に触れたらまず警察を呼ばれて、事件として扱われて、そのあとNASAとかに連れていかれていろいろ実験されるに違いないと、そう思っているのです。そりゃそうだと思います。


「私がオフ会へ連れていってやろう」


どこからか声がしました。地球には幻聴という概念があるので、シンデレラはそれだと思いました。


「さぁシンデレラ、オフ会前にひと試合やるわよ」


継母との負け戦が始まります。

とはいえ、シンデレラの腕もかなり鍛えられていて、最近はわりといい勝負をするのです。30年やってますからね。まぁ継母も同じだけやっているわけですが。


2人が手を組んだその瞬間、シンデレラの体が浮かび上がりました。


「なに? なにこれシンデレラ」


継母は困惑しながらも、手を離すことはありませんでした。手を離したら棄権したことになるからです。


次の瞬間、2人は光速で打ち上げられました。屋根を突き破り、宇宙へと飛び出したのです。


同時刻、火星と木星でも同じようなことが起きていました。


義姉は乳をつまんだまま打ち上げられ、義姉2号はタイヤに座っているところでそうなったので、必死にしがみついていました。


17分後、ついに3組のシンデレラ家族がひとつになる時がきました。


光速でオフ会会場へ向かうそれぞれの体といじめっ子1人ずつ。


ガッチャンコ!


シンデレラが初めてひとつになりました。

生まれつきの病気(体がそれぞれ別の星で生まれる病気)でしたが、それを克服したのです。


3人はドッキング時に衝突した衝撃で、霧みたいになって宇宙の塵となりました。魔女の魔法はシンデレラの体のみのサポートだったのです。


「これが私⋯⋯?」


偶然そこにあった全身鏡に写る自分を見て驚きを隠せない様子の完全体シンデレラ。

それもそのはず。彼女の体は右腕と下半身がムキムキで、左腕は貧弱で、乳房が大縄跳びのようになっているのです。


そこにイケメンが来ました。


「そこの可愛い君、お名前は?」


「シ、シンデテラといいますっ」


「いい名前だね」


「で、お前は?」


「僕は王子」


「えっ、それ名前?」


「名前。苗字は水戸黄門」


「フッ、おもしれー男」


「苗字も名前も僕由来のおもしろさじゃないけどね」


「じゃあおもしれー親」


「苗字は誰が決めたか分かんないけどね」


「キムタクおもしれー」


「テレビ見てる?」


「ようつべ」


「キムタクYouTubeもやってんだ」


「で、オフ会ってなにす」パヂョーン!


突然爆散するシンデレラ。時間で魔法がとけたようです。


「え、死んだの?」


困惑する水戸黄門王子。


煙が晴れると、そこにはロープみたいな乳首が1本落ちていました。魔法の不具合で、片乳分だけ取り残されてしまったのです。


「なんだこれはでし」


王子は震えています。


その時、乳首が喋りました。


「タスケテー」


「しゃ、喋ったァ!!!」


さらに乳首は続けます。


「実は私が本体です」


「嘘だろ!?」


地球の顔から通信が入りました。


「嘘です」


火星の胴体からも入りました。


「嘘です」


木星の足からも入りました。


「嘘です」


それを聞いた王子は照れくさそうに言いました。


「結婚しよう」


乳首は泣きました。


「私、うれしい!」


「ところでなんで顔以外が喋ってるの?」


「それはそれぞれに口がついているからです」


「耳はないのに?」


「はい。下の口や傷口が喋ってくれているのです」


「あーね」


それから王子は、乳首と仲良く暮らしましたとさ、めでたしめでたし。


となると思いましたが、いつもご飯を作ってくれていた継母がいなくなったことで、シンデレラは餓死してしまいました。体も足もやがて腐り、王子のところの乳首もだんだんと黒くなっていくのでした。


そんな形の愛も


あるんだべ

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― 新着の感想 ―
また来てしまいましたʕ•ᴥ•ʔ 七宝様、私下の長々感想欄で漢字、間違いました。 叶いません←敵いません でした。m(_ _)m 私、作品の誤字報告も沢山お世話になっているのです。それはそれで嬉しいので…
 ナイス、読者サービス。(笑)
七宝様……私はある意味モーレツに感動しております。 宇宙規模の感動です。、 前の作品で私が地球代表でʕ•ᴥ•ʔ、感想欄で"次は宇宙規模シンデレラ"と提案してしまったのです。七宝様がその感想返信を私にく…
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