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陽介は安全地帯を完成させた後、草原エリア全体を見渡しながら次に追加すべき機能を考えていた。
「さて、安全地帯はこれでいいとして……冒険者たちがもっと快適にダンジョンを攻略できるようにするには、他に何か工夫が必要だよな」
陽介はディスプレイを操作しながら、しばらく考え込んでいた。ふと、あるアイデアが頭に浮かぶ。
「そうだ、クリアした階層までワープできる機能を付ければどうだ?一度クリアした場所を再度歩くのは面倒だろうし、新しい挑戦者が入ってくるときにもスムーズに進めるようになる」
陽介はディスプレイ上にワープ用の魔法陣を追加した。それは各階層の入り口に設置され、全員がその階層をクリアしていれば次の階層へ一瞬で移動できる仕組みだ。ただし、仲間の中にまだその階層をクリアしていない者がいれば、ワープ機能は利用できない。
「これなら、クリア済みの冒険者と新たなメンバーのバランスが取れるな」
陽介は魔法陣の輝きを調整し、各階層の雰囲気に合わせたデザインを施した。
「それと、もう一つ……死んでも復活できる仕組みを作っておくべきか」
陽介は画面に映るダンジョンの入り口を拡大しながら考えた。ダンジョンが完全に安全な場所ではない以上、リスクはつきものだ。しかし、ただ死ぬだけでは冒険者たちが恐れを抱きすぎてしまう可能性がある。
「ダンジョンの中で命を落としても、入り口に戻されて復活する……ただし、持ち物はすべて失う。そして、簡素な服を着た状態で戻る仕組みにしよう」
陽介はディスプレイを操作し、復活の機能をダンジョン全体に組み込んだ。これにより、死亡した冒険者が入り口に戻される際に、一瞬光に包まれるようなエフェクトを追加した。復活した際の姿は装備を失い、最低限の衣服だけを着た状態となる。
「これで、初心者でもダンジョンに挑戦するハードルを下げられるはずだ。命の危険はないが、それでも失うものがあることで、緊張感を保てるだろう」
陽介は最後に全体をもう一度確認した。ワープ機能、復活の仕組み、安全地帯――それぞれが冒険者にとって挑戦と楽しみを両立するための仕掛けとして機能するように見える。
コアが再び嬉しそうに輝きを増した。
「陽介、本当にすごいよ!こんなに色々な仕掛けを考えられるなんて、君の想像力は無限大だね!」
陽介は苦笑しながらディスプレイを閉じた。
「無限大かどうかは分からないが……これだけ自由に作れるなら、もっと色々なことに挑戦してみたくなるな」
そして、陽介は次に作るべき洞窟エリアや迷路の調整に向け、再び手を動かし始めた。彼の頭の中には、さらに広がるアイデアが次々と浮かび上がっていた――。