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「ただ?」
陽介はコアの声に少し不安を覚え、問い返した。
「うん、ほら、せっかく君が初めて作ったダンジョンだし、もう少し広げてみるのはどうかな?ほら、今のままだと迷路とゴーレムだけで終わっちゃうから、なんていうか……全体的にちょっと小さいかなって思って」
陽介はディスプレイの設計図を改めて見返した。確かに、自分が「完成だ」と思ったダンジョンは、それほど広いものではない。冒険者が訪れる場所としては、規模が小さいのかもしれないと感じた。
「なるほどな……確かに、これじゃすぐに終わってしまうかもしれないな」
陽介は顎に手を当て、考え込んだ。
「それと、どうかな。草原とか広がる開けたエリアを最初の階層に作るっていうのは?」
コアが提案を続ける。「例えば、そこに弱いモンスターをたくさん配置して、冒険者がダンジョンに入る最初のステップとして、少し気軽に戦える場所を作るんだよ。ほら、史上初のダンジョンだし、みんな最初はモンスターと戦いたいと思うでしょ?」
陽介はその提案に目を見開いた。確かに、ダンジョンの最初の印象が重要であることは間違いない。冒険者が楽しめる場所を作るなら、最初に彼らを引き込む工夫が必要だ。
「なるほど……まず草原を広げて、その中にモンスターを配置する。そうすれば冒険者も満足するかもしれないな」
「それにね、宝箱の件ももう少し考えようか。ハズレの宝箱を入れるのも悪くはないけど、何も入ってないのはちょっと……うーん、寂しいかな。たとえハズレでも、ポーションとかちょっとした小さなアイテムを入れておくと、それだけで冒険者は嬉しいと思うよ」
陽介は苦笑いを浮かべた。「そうだな。確かに何も入っていない宝箱を見つけたら、ガッカリするだけかもしれない」
「うん。ダンジョンって、大勢の人が押しかける場所だからね。規模ももっと大きくていいと思うんだ。これから作るダンジョンが、多くの人を受け入れられる場所になるようにしよう!」
陽介はその言葉に頷き、ディスプレイを再び見つめ直した。「よし、わかった。草原のエリアを第一階層として追加してみよう。弱いモンスターを配置して、次の階層につながる構造にする。ゴーレムの広間はそれを二階層目として位置付ければいいな。宝箱も見直して、中身を充実させるようにしよう」
コアは満足そうに輝きを放ちながら、陽介を見守っていた。「うん!それならきっと素敵なダンジョンになるよ!」
陽介は小さく笑みを浮かべながら再び設計に取り掛かった。ダンジョンが少しずつ完成に近づく中、彼の胸には不思議な達成感と楽しさが芽生え始めていた。