女王との謁見(3)
「ゴホンッ………話を戻すが」
「はい…」
少し笑い疲れた顔をする女王とリオーレに少しだけジト目してしまったが仕方ないだろう。
横では恥ずかしそうに少し頬を膨らませてるルーアの姿が。
「お前には明日、ラビニスにいるロッタに会いに行ってもらう」
「その、ロッタ、さんに会いに行く理由というのは…?」
「ここは私が」
そう言って女王からうむ、と返答するのを確認し、ルーアはアレクに向き合うと話し出す。
「アレク様。
私がアレク様と初めてお会いした時、あの場にいたのは何故と思いますか?」
ルーアと初めて会った時。
そう言われれば。
あの時お互いに初めて会ったはずなのに、彼女は救世主だと言った事もそうだったけど。
何故あの場にいたのだろう?
表情にも出ていたのか、ルーアはくすっと微笑むと言う。
「実はあの場所にアレク様が現れると、未来予知があったんです」
「未来予知?」
「はい、ロッタ様は未来予知の魔法持ちでして。
『救世主たる存在、トランプの国の森にて現る』、そう予知されました」
未来予知………女王もさっきの話で言っていた魔法持ち。
ルーアは言った。
ロッタという眠り鼠は予知をした後に彼が先程いた森の場所を指し示したそうだ。
実際 救世主なのかどうかも不明だと言うのに、彼女はロッタの言葉を信じあの場所へ赴き、そしてアレクと出会ったという理由だ。
「地図で確認しただけでしたので、実際は示した場所の周辺を探していたら不思議な光を見つけてアレク様に会えたのですが…」
不思議な光というのはきっと鍵の光だろう。
だとしてもあの広い森の中見つけ出せた彼女はすごいとアレクは思った。
そしてルーアからの話でなんとなくだが彼は理解した。
つまり未来予知の魔法持ちのロッタに、アレクが本当に予知した救世主であるかを確認してもらおうということだろう。
「ロッタに会いに行けと言った理由、少しは理解したか?」
「なんとなく…、はい」
「今日はもう遅い。
城の部屋を用意するからそこで休み、明日ラビニスへ向かうと良いだろう」
女王は言った。
確かにもう夜になってしまった以上、暗い中で移動するのは危険かもしれない。
アレクは女王の言葉に甘える事にした。
そして数刻後。
「……………………ルーア?」
「はい、何でしょう?」
「えっと…もしかして…………一緒の部屋で寝るの??」
「?………はい、そのつもりですよ?」
何故か一つだけ用意された部屋の中にルーアと共にいる。
………何故?
とはいえ、先程それについては彼女から説明があったのだが…。
「私はアレク様の護衛も兼ねて一緒にいます。
だから女王様もそれを考慮して同じ部屋にしてくださったのだと!」
笑顔でそう言われた。
……いや、分からなくはないのだが………。
(あの……これでもオレ、男なんですけど………)
笑顔で言われたのもあり、言葉にするのは躊躇われるのだが…。
これでもアレクは中二の男の子である。
年頃の子が女性と共にというのは中々恥ずかしいのだ。
きっと彼女は救世主だからという以前に、彼を弟のような気持ちで接してる気もする。
だからあまり本人は気にしてないようで。
彼もまぁルーアが気にしてないなら気にしないように……などは思うものの、
(やっぱり…………女の人と一緒にって…………は、恥ずかしいって…!!)
救いと言うべきか、ベットは二つに分かれているので良かったが、だとしても…だ。
今日はゆっくり寝れないかも…と彼は思いつつ、ベットの中に入るとルーアにおやすみと声をかけ、そして掛け布団で顔を隠したのだった。
短めですみません…!
そしてまだ続きます…!




