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不思議の国の救世主  作者: ほしよる
プロローグ〜
1/19

〜プロローグ〜



ーーーー『アリス』



その名を聞いて浮かぶのはきっと少女が冒険をする、あの童話であろう。



だが、これから始まる物語は


"童話"であって"童話"ではない物語。



一匹の不思議な白うさぎと不思議な鍵がとある世界へと一人の少年を導いた。


そこは彼の住んでいた世界とも違うとある世界『メルフェリーネ』。


何も分からないままに導かれたこの場所で、


少年は世界を、


人々を救った、



………そう、これは童話ではない

一人の少年の不思議と冒険の物語ーーーーー







* * * * * * * * * *





ーーーー○○年✕✕月△△日


雲もあまりない、空は快晴でとても清々しい日。

チュンチュンと、まるで会話でもしてるかのように鳴く鳥達が電線に止まるその下を、一人の少年が歩く。


青いキャップのツバを後ろにして被る金髪の少年。

その少年の後ろから、「おーい!」と徐々に近づく誰かの声がした。

その声にやっと気が付いた少年が後ろを振り向けば、手を上げてこちらへ向かってくる黒髪の少年がそこにはいた。


「よぉ!お久〜!」


「あぁ、良樹!お前だったのか!」


やっと気づいたかと良樹と呼ばれた黒髪の少年はニッと嬉しそうに笑い、少年の元へとたどり着く。

少年も久しぶりに会った彼に嬉しそうにして笑った。


「休みに制服を着てるって事は部活だったのか?

また焼けたなぁ」


「まぁそりゃ、俺今サッカー部だし?

お前と違って外での部活だし?

そりゃ焼けるさ」


「ぅぐっ」


肌が以前会った時よりも焼けている事を伝えれば、良樹からは当たり前の事を言われる。

自分は彼と違い部活はしておらず、強いて言うならば帰宅部である。

というのもあって彼の言葉に少しグサッときた。


少年も実の所、きちんと部活へ入ろうとは思っていたのだが、……ある事情で止めたのだ。


「そんで?」


「ん?」


「お前も休みだろ?こんなとこでどうした?」


「あー、えっと……」


口をもごもごさせ、少し気まずそうにする少年。


「ほら、今日は…"あいつ"の命日でさ」


「あいつって」


少年の様子、そして彼の言った"あいつ"というワード。

良樹はうーん…と考える。

彼の言う"あいつ"といえば………、あぁ!


「お前の大好き、愛しのうさ子の事か!」


「うさ子じゃなくて、『メイ』だって!」


思い出したように言えば、少年は何回も言ってるだろ!と頬を膨らませて突っ込みながら怒った。

そんな様子にあーそうでしたねー、と特に気にもしないで笑っている良樹に、更に少年の頬はプクッと膨らんだ。


うさ子…否、メイというのは少年が飼っていた白い毛並みをしたうさぎの事だ。

2年前まで飼っていたそのうさぎは、良樹も会った事がある。

何があっても何をするにも常に一緒で、その時に見た少年のあまりにも愛しまくる姿が今でも思い出せる。


からかうようにまた笑う良樹だったが、それからすぐ、どこか心配そうな声で、


「なぁ、アレク。

お前うさ子の事、「だ・か・らー!メイだってば!」……あーはいはい。


それでアレクはさ、まだ"あいつ"の事…


やっぱ忘れられねーのか?」


「……」


その言葉は、今の彼には………ただ辛い言葉だった。


「まぁ…そうだな。

後悔がないと言えば嘘になる、かな。

今でも『もしあの日』俺がメイと一緒にいたら、なんて考える事もあるし」


言葉にはすれど、それは叶う訳がない。

『もし』なんて事は、考えた所で意味がないのは……分かっている。


分かってるけど…。


………。


「アーレクっ!」


「!」


良樹が突然少年の肩をがっと腕を乗せる。


「んーなしけた変顔するなって!」


「んなっ!変顔…っ…!?」


「おうよ!

アレクにゃーらしくねぇ変顔!

んな事より、俺部活後だから腹減っちまった〜」


そこのコンビニで何か買うの付き合えよ!と明るいその声で誘う。

その誘いがどういう意図でしたのか、少年は理解した。


そんな彼の言葉に、その優しさに、ただただ申し訳無さと………そして嬉しさで心が温かい。


ならばと少年はじゃあ良樹のおごりな!と先程の暗かった表情が嘘のように笑顔で答えた。




少年の名はアレク。

本名は『来栖川アレックス』。

○✕△中学校の2年生の男子である。

アレクは先程の少年、親友の良樹が長くて呼びにくいという理由で呼んでいた為出来た愛称だ。

勝手に呼ばれてきた愛称ではあるが、でも今では気に入ってる。


彼は2年前まで白うさぎを飼っていた。

俗に言う一目惚れ、というもので、たまたま公園に遊びに行った時に捨てられたのか、そこにいた一匹の白うさぎ。

それが自分の母親に無理を言って飼い始めた、大好きで大切な白うさぎ『メイ』である。


二人…一人と一匹は常に傍に居て、何をするにもどんな事をするにもずっといつも一緒にいた。

メイに似合いそうと思って、自分で使うのを我慢して貯めたお小遣いを使って買ったピンクのリボンをしてあげたりもした。


毎日が楽しかった、毎日が幸せだった。


…でも、『あの日』に限ってメイの傍から彼は離れてしまった。

ほんの少しだけだった。

なのに…。


だからこそ今でも彼は思い出す。

だからこそ彼は願ってしまう。


『もしも』という幻想を、

それはもう遅いのだという現実と後悔を、


今もずっと…。






ーーーーーーーーーー






そんな事を考えていたからかもしれない。


「……。」


「♪(ニコニコ)」


…。

………、…………こ。


「ようこそ!我が国へ!


"鍵"を持つ救世主・アリス様!」


……………、…ここ、これ。


(何が一体どうなってんの!?

というか、ここ………どこっ!?!?)


見知らぬ場所、見知らぬ人(?)が目の前にいる。

そんな状況に、……アレクは今、ただただ混乱していた。


* * * * *


初めまして。

ほしよると申します。


この作品は昔に練って、別の所で漫画を描こうと思って書いてたものなのですが、そちらで描いて投稿するのが厳しくなってしまい、それでも物語だけは書きたいと考え、こちらで小説として書くことにいたしました。(完全に趣味ですが…)

投稿は鈍足なのですが、一ヶ月に一回くらいは出せたらなと思ってます。

趣味としてとなる為、言葉回しとかうまくできないこともあるかと思いますが、のんびり楽しく書いていきます。

よろしくお願いします。

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