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13皿目 死神の誘惑。バァバの負の感情と記憶

「えぇ!? あの集落にいた人たちって上級のアンデットに殺さてしまったんですか!?」


「そう…ムラサキの育ての親の老婆が残してくれた呪石が教えてくれた」


 アンデットの集団を蹴散らし森の奥へ入る。まだアンデットが残っており、襲いかかってきたアンデットを雷で焼き殺しイースを守りながら進むイエロー。


(まずい…カツカレーの効果がそろそろ切れそう…保険で食べた紫芋カレーも多分私のはもう切れてる。けど、イースとムラサキが食べた分はまだ効果が持続しているはず!!)


 さっき食べた活力と力を与えるカツカレーの効果が薄くなっていく。

 イエローのカレーは特殊な効果があるが、複数のカレーを短時間の間に食べると効果が薄くなる。


 だが、今はカレーを食べ直している暇はない。

 

 イエローの手には村長の家に日記と共に置かれていた呪石が握られていた。


「ここの呪術師たちは全ての呪術を記録させて呪石の完成を焦ってたんだ…長い間、先祖から受け継いだ術を残したい一心で関係ない人の命を使って、大量のアンデットを生み出してしまった…」


 日記に書かれてはいない、長の呪石が語ってくれた。


 森の奥にある巨大な呪石を作るのに多くの犠牲者を生み、そこからアンデットができてしまった。アンデット達を倒しながら術の研究を続けていたが島の閉ざされた世界しか知らない呪術師たちは知らなかった。


「大量のアンデットが一つ場所に集まると、上級のアンデットが生まれる事を知らなかった…しかも、そのアンデットが死神とは知らず自分達の手で倒そうとしたけど、多くの命と怨念を吸収して生まれた死神は強力で、残った大人達は倒すことができず死神に吸収されてしまった。…ん?」


 森の中を駆けると、小さな証を見つけ拾う。

 傍には祠への入り口があり、中からムラサキの悲鳴が聞こえた。


「この中かぁ!!」


「あ、主様!! ま、まってぇぇえ!!」


 ムラサキの悲鳴が聞こえイースを置いて祠の中に入る。

 

「くっ、くるな!! 化け物!!」


 巨大な鎌を持った死神がムラサキに近づく。アンデットの上位種で他の魔物や実力のある騎士や冒険者がもし同じ場所にいたら、味方を置いて逃げてしまうほど死神から圧があった。


 圧の正体は生命を狩られる「死の恐怖」だった。


「ちぃ!! ムラサキ!! ふせてぇ!!」


 イエローは放電を死神に向け放つ。一瞬、感電して動きを止るが死神は大鎌をイエローに向ける。

 

「…けてぇ…」


「な、なんの声だ…?」

 

骸骨から聞こえるうめき声にムラサキがおびえる。

 だんだんと声が大きくなり

「助けて、苦しい、殺して」

「あぁ、早く。早く、呪石を、もっと生贄を…」

「いやだぁ…術の生贄なんていやだぁ…島の外に、自由を…」

「あの、呪術師ども、よくも、私たちの家族を殺して…」

「呪ってやる、呪ってやる」


 と子供から大人のあらゆる者の怨念の声が大きくなっていく。


「あ、主様、な、何か言ってますよ、あの死神…」


「あの死神が言ってるんじゃないよ…言わせてるんだよ…この島で自分の命を生贄にささげた呪術師と、島に来てしまって呪石を作るために生贄になった人たちの魂…怨念があの死神の中に閉じ込められてる…死神の食糧(餌)として…」


「そんな…ひどい…」


「あぁ、あぁ…アタシを馬鹿にした、やつらが、いる…」


 イエローの説明を受けてイースとムラサキが悲惨な表情を浮かべた。

 

「あぁ、ムラサキ…なんで、おまえだけ、生きてるんだよ…」


「村長の、お気に入りが…本当は魔法も呪術も、つかえるくせに…馬鹿なやつだ…」


「力があるから、村長に嫉妬されて…何もできないって、嘘を信じこまされて…本当に馬鹿なガキだ…自分が愛されているのでなく、島での生活に暇を感じた老婆の潰しのために生かされているなど知らず」


 死神の腹からいくつかの魂が見えムラサキに向け冷たい言葉と視線を向けた。


「何を言って…アタシが魔法を…バァバが、嘘ついてた…? 嘘だぁ!! 」 


「まって!! ムラサキ!!」


 住民たちの負の感情に当てられ死神に向けムラサキが叫ぶ。。

 上級のアンデット達は生物の負の感情を利用し獲物を誘い出す力がある。

 そして、誘い出された獲物は戦意喪失しそのままアンデットに食われる。


 だが、ムラサキは正気を保てていた。イエローの紫芋カレーには毒や呪いに対して抵抗効果があり、もしカレーを食べていなかったら正気を保てず無防備のまま死神に魂を狩られていた。


「ライジング!! 」


 雷を身にまといムラサキと死神の間に入る。


「ムラサキしっかりして!! あなたのおばあさんは、ちゃんとあなたを愛していた!! 死神はあなたの魂を食らうために、おばあさんの負の感情を利用してるだけよぉ!! 」


「邪魔をするでない、小娘…ムラサキ…ほれ、私の元においで…」


 死神の顔に老婆ことバァバの顔が出た。


「こいつ、いつまでもおばあさんの魂を…!!」


「さぁ、ムラサキ…おいで…バァバを一人寂しくするつもりかい? 赤子だったお前は確かに魔法の才能どころか呪術の力まで受け継ぐ才能はあったさ…あの船の旗とお前の持つ証から、おそらく才能ある貴族か王族の生まれだろうと予想はできたさぁ…」


 老婆の顔がどんどん歪んでいく。死神は食らった人間の魂だけでなく記憶を取り込む。それは、親兄弟に負の感情をぶつけ餌を多く得るための子狡さを超えた最悪の能力だった。




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