87.踏破者、また召喚に失敗する。
王城で魔族の拠点設営の話を聞いた翌日、俺とシファは王都の北にある平原へ来ていた。
この平原は昔から強い魔物の出現報告のない地らしく、人も寄り付かない場所との事だった。
あまり人目に付きたくない行動を起こすにはうってつけという訳だ。
「ジーク、フレンブリード領へ行くんじゃないの?ここからだと【天翔】の全速で移動しても3日くらいかかるよ?」
「ほんと段々と喋り方変えて行ってるんだな。まぁ呼び名はそっちの方が良いが。【天翔】での移動は最終手段だな。シファも【天翔】使い続けるのしんどいだろ?今考えている方法が上手くいかなかった時にはそれでお願いするしかないけどな。」
「どんな方法?嫌な予感しかしないけど…。」
『我も同感だ、そしてこのやり取りは過去にも記憶があるぞ。』
シファに乗っかってシュラまで不安を訴えてくる。
「お前等な…。これからやるのは幻獣召喚だ。最近全く見てなかったんだが、ステータス確認すると召喚術Lv.1ってのが追加されててさ、これは鍛えなきゃってなったんだよ?」
「い、いや、主殿、それは鍛えない方が良いんじゃないかな…?」
「呼び方戻ってるぞ。」
「正直、ジークが使う召喚は危険な香りしかしないよ。拙い技術に反して膨大な魔力を流し込むから変なのしか召喚しないし…。」
「だから技術を鍛えるために召喚術を使うんだろ?使わなきゃ育たないしな。」
「それは…そうなのかな?いや、でも…。」
シファは何かぶつぶつ言っているがもうやるってことは決定している。
早速闇魔法で生み出した靄を使って陣を形成していく。
「ちなみに、何を召喚するつもりなの?」
「【有翼獅子】だな。まぁ俺たちを乗せて高速で飛び回れる足代わりになる奴なら何でもいい。」
「…何かオチが見えてきたわ。」
「行くぞ?召喚!!」
「ちょ!?魔力量多い!!学習してよ!!」
と言われてももう遅い。
俺が魔力を流し込むことでまたしてもその模様を変化させた召喚陣が白煙を吐き出す。
やがてその煙が空中の一カ所に集まると、人型を形どる。
そこに現れたのは、一言で言えば天使だった。
背には一対の純白の羽、片手剣にラウンドシールドを持った戦士然としたものだ。
『神の御使いである天使を呼び出すとは…いかな要件か?』
天使が出てくるとはこれまた予想外だ。
俺達の目的を達成するにはこのサイズ・フォルムでは困るのだが。
まてよ?パズズみたいに動物の形態を持つことが出来るやつもいるかもしれないな。
「実は離れた場所まで送ってほしくて召喚を行ったんだ。あんた、俺達2人を乗せて移動とかできるか?」
『天使たる私に何という口調を…。それに移動手段としてだと?不遜にもほどがある。その後ろの者ともども、神罰を…。ん?その後ろの者、どこかで?』
見るとシファは俺の後ろに隠れるようにしていた。
そう言えば自称元天使だし、こいつとも知り合いかもしれない。
「シファ、知り合い?」
「あれと関わり合いになりたくない。」
シファは首を横に振って俺だけに聞こえるくらいの小声で話しかけてくる。
なんかめんどくさい奴なのだろうか。
「知らないってさ。」
『いや、その気…。まさか堕天使ルシフェルか!?であれば見逃したりはせん!!主神に変わり我が貴様を滅する!!』
「人違いじゃないか?それより俺たちを乗せて移動とかできないんだな?」
『主神に仇なすものには死を!!』
ダメだコイツ。
話を聞きゃぁしねえ。
直後、凄まじい勢いで突っ込んでくる天使。
剣を振りかぶり、その剣を俺目掛けて振り下ろしてくる。
俺はシュラを抜き放ち、その剣を真っ向から受ける。
と思ったら勢いが付きすぎて相手の剣を弾いてしまった。
大きく体勢を崩す天使。
俺は一歩踏み込み、首目掛けてシュラを一閃する。
頭と体を分離させた天使はそのまま力なく後ろに倒れた。
天使が沈黙したのを見てシファがため息をつく。
「こいつは下級天使よ。特に名もない雑兵ね。まさか私の同族を呼び出すなんて…。」
「やっぱ知り合いなんだな。」
「知り合い…とはちょっとニュアンスが違うかもね。でも、同族からすれば私は裏切り者だから、今後も合う度こういう事があるかも。」
「その同族の中には強い奴もいるんだろ?楽しみにしとこう。」
「目的が変わっちゃってるわよ。」
言われて今回の目的を思いだす。
そうだ、フレンブリード領へのアッシーが必要なんだった。
「うーん今回のは失敗だな。」
「でしょう?だからこんなことはやめて馬か何かで移動しましょう。【天翔】と併用すれば無理なく行けると思うわ。」
「よし、次のを召喚しよう。」
「え?」
シファが信じられないという顔でこちらを見てくる。
むしろ何が不思議なんだと言いたい。
一回失敗したくらいで何故諦める必要がある?
俺は再び【有翼獅子】召喚の魔法陣を描く。
「召喚!!」
召喚陣から飛び出した白い靄は再び天使を顕現させた。
『神の御使いである我に何用か?…む?そこの女、この気は…まさか。』
俺は問答無用でその天使を切り飛ばす。
「よし、次だ。」
その後、平原には天使の亡骸が無数に転がることとなった。
ある意味目的は達しているのでこれは召喚失敗なのか?と悩みながらタイトル付けました。
センスがなくて絶望しています。
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