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83.踏破者、研究所と協力関係を結ぶ。

「侵入者は屋上から入って、この建屋の構造に迷うことなくこの部屋まで来たようです。…正直、どうやってという事は分かっていません。そして、なぜこの部屋にということも分かっていません。物が取られたという事はありませんでしたので、情報が目的だったとは推測できますが。」


正直驚いた。

侵入がバレていただけでなく、経路や目的地まで完璧に押さえられている。

一体どうやってと聞きたくはあるが、まぁ今はそれを言うタイミングではないだろう。

俺に求められている回答は一つだ。


「では腹を割って。確かに先日侵入したのは俺たちだ。経路も合ってる。驚いたよ。目的は納品した魔道具の情報だ。…侵入なんてマネして悪かったな。」


「…匂いですよ。犬人の獣人の研究者がいるんですが、彼が建屋内に嗅いだことのない人の匂いがするというので、匂いのする場所を調べてもらったんです。」


「なるほど、匂いですか。それは盲点でしたね。」


「そして納品リストにその匂いが濃くついていることも確認しています。【魔素抽出機】の頁にその匂いがより強くついていることも。」


匂いってそんなに正確にわかるものなのか。

俺は驚きというより少し感心していた。

エレオノールの口ぶりからは、俺たちの目的まで当たりがついているようにも感じる。

だから『腹を割って』なのだろう。


「実はその【魔素抽出機】が悪意ある者に使用されている現場に遭遇してな。その出所を探っていたんだ。」


「…やはり。そう言えば、先日お戻りになられた第二王女殿下はコウナードにて溢れ出しに遭遇したと聞きます。なんでもそれは魔道具が原因で人為的に引き起こされた可能性があるとある筋から情報を得ています。さらに言うと、その問題を解決したハンターたちの中で突出した力を発揮したB級が2名いたとか…。」


「…犬人の研究員よりそのとある筋の方が危険だな。」


溢れ出しが魔道具により引き起こされたなんて情報はトップシークレットだ。

関係者とギルド上層部しか知らない情報だぞ。

魔道具研究所の所長ともなると凄い人脈を持ってるんだな。


「確かにその魔道具は弊所で製作したものです。申し訳ありません。ですが信じて下さい。我々はそのように使用することを知っていて魔道具を作ったわけではありません。」


「…知らなければ許されるとでも?」


俺の圧を含んだ言葉に気圧されるエレオノールとジルオール。

調査の為とはいえ、犯罪(不法侵入)を働いた男の言葉なのだがそこは勘弁してほしい。


「まぁこの研究所がヴァン侯爵とグルではないってことは信用するよ。そこまで情報を得ているのであればグルだった場合俺にそれを言う必要はないだろうしな。そっちも困ってるから俺にその話をしたんだろ?」


俺は圧を解いて話の続きを促す。

今のやり取りでマウントは取れたと思う。

相手の罪を表面化させて、下手な取引を持ち掛けられないようにだ。

俺も犯罪(不法侵入)を犯していることは棚に置く。


「…ええ、実はそのヴァン侯爵からまた魔道具製作依頼が来ていまして。一度断ったのですが、『魔物を操作する魔道具』を製作しろと…。【魔素抽出機】もそうですが、悪用されると困る類のものですので、ヴァン侯爵が何の用途でこれを欲しているか調査したいと考えています。」


「なるほど、その調査を俺たちに依頼したいと。」


「端的に言うとそうです。こちらで持っている侯爵家の情報はお渡しします。近々、定期納入している魔道具の納品がありますので、それに護衛として同席していただければ侯爵家の敷地内に入る手助けも出来ます。」


「…良いだろう。どのみち、ヴァン侯爵の調査は行うつもりだったしな。あんたたちの協力を得られるなら心強い。」


「ありがとうございます。我々も知らぬ間に悪事の片棒を担がされるのは嫌なので助かります。」


こうして協力関係を結んだ俺達とアルカディア魔道具研究所はお互いの情報を交換し一旦分かれた。

かなり話し込んでしまったので時刻はもう夕刻だ。

拠点までの帰りの道すがら、今後の事を考える。

定期納入している魔道具は2週間後の納入という事なので少し時間がある。

その間は準備に充てるべきだろうか。

拠点関係でもやっておくべきことがあるかもしれないし、一旦落ち着いたら皆に相談でもするか。




◇◇◇◇◇




拠点に戻ると、もう夕食の準備が出来ているとの事だった。

相談事もあるので皆に同席するよう言って食卓へ向かう。


ほどなくして全員が食卓に揃う。

料理も既に食卓に並んでいる。


「じゃあいただこう。」


俺の言葉で食事がスタートする。


「おお、これは旨いな!!まさか魔物肉を使っているのか?やはり体作りは食事からという事だな師匠。」


「なんでお前がここに居るんだよ!?」


俺は立ち上がりレクシアを指さす。


そう、何故か食卓を普通に囲んでいるのだ。

俺だけに見えている幻の可能性が捨てきれなかったので言葉を発するまでスルーしてしまった。


「ん?師匠に弟子入りすると言ったではないか。もちろん身の回りの世話もするつもりだ。」


「弟子にした覚えがないわ!!」


「いや、私は弟子になるのだ!!もう王族専属騎士(ロイヤルナイト)も辞してきた。家も失ったがここに住むので問題ない。」


「猪突猛進過ぎる!?」


「必ず師匠を落として見せる!!この操も捧げる所存だ!!」


「…そう。やはり貴女も私の敵となるのね?」


なんかシファも入ってきた。

凄まじい殺気を放っている。


あぁ、なんか相談とかできる雰囲気じゃないわ。

もう全部無視して飯だけ食ったら寝よう…。


ティアから連絡が入ったのはそんな事を考えているときだった。

レクシアさんファミリーインしました。

口調は以前のシファさんと同じ感じですね。

キャラの書き分けって難しい…。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんて図々しい女だwwwwww でもどこか憎めない ハーレム化してきてしまったな
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