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8.無才の男、スキルを得る。

「…瞬間筋力強化?」


そういえばルシフェルはボスを倒せばレアスキルをやるみたいなことを言っていたな。

しかし無才の俺がスキルか…。


スキルというのは才あるものが一定の修練を積んだ際に得られるものと言われている。

ポピュラーな所では【剣士】の才あるものが修練を積むと【飛空剣】という斬撃を3m~5m飛ばすことができるスキルを得られるとされている。


通常は才能にあったスキルを得られるものだが、こんなスキルの獲得方法があるなんて…。

それに、さっきの頭の中に直接響く声。いわゆる【天の声】と呼ばれるものだ。

でも、その声が聞こえたという事は…。


俺は心の中で『ステータス』と念じる。

すると目の前に半透明のパネルが出現する。


おお!

才能ある人間が見られるという【ステータスウィンドウ】だ。

自身の才能やスキルの習熟度を確認できる画面で、俺が無才と言われてから何度試しても出現しなかったのに…。


その画面にはこう書いてある。


ジーク

種族:人族

才能:なし

スキル:瞬間筋力強化Lv.1


何ともあっさりとしたステータスだ。

熟練のハンターにもなれば5つや6つスキルを持っているらしいが、それに比べると見るべきところが少ないのは仕方な。


俺が【瞬間筋力強化に】注視すると、説明文が浮かび上がる。


瞬間筋力強化Lv.1

魔力を継続消費することで使用者の筋力を一定割合上昇する。

習熟度が上がれば筋力上昇割合は増え、消費する魔力は減る。


ミノタウロス討伐報酬にふさわしい脳筋スキルだ。

だが、物理攻撃主体の俺には合ったスキルである。


気が付くとボス部屋の出口が大きく開かれていた。

その先は小部屋になっており、下へ降りる階段と青色の魔法陣が浮かんでいる。


ボスを倒すと最初の部屋とリンクされて自由に行き来できるようになると言っていたはず。

この魔法陣に触れればいいのかな?


俺は少し警戒しながら魔法陣に乗る。

その瞬間、真っ白な光に包まれたと思ったら最初の部屋に飛ばされていた。

こちらにも青い魔法陣が浮かんでいる。


安全地帯(セーフティ)に戻ってきたことから緊張が自然に解かれる。


「…さて、この先どう動くべきか…。」


一つは11階層へ進む。

一つは瞬間筋力上昇の習熟度を上げる。


…答えは決まっているな。

このタイミングでレアスキルが得られているんだ。

この先は『そのスキルを有効活用しなければ行き詰まる』に決まっている。

どうせこのダンジョンでは時間が経過しない。

やるべきことをやり切ってからダンジョンアタックが一番生存確率を上げるはずだ。


方針が決まったからには行動あるのみ。

俺は瞬間筋力上昇を発動する。


「おお!!」


力が湧き上がってくる。

同時に何かが体の中から抜けていく感じもある。

おそらく魔力だろう。なんとも不思議な感覚だ。


試しにその状態で刀を振ってみる。


「ふっ!!」


…うん。少し早く振れているような気がする。

目に見えた違いを確認するなら木刀でそのあたりの魔物を殴った方が分かりやすそうだ。


そんな事を考えていると、不意にスキルが解除された。

同時に凄まじい倦怠感に包まれ、思わず片膝をついてしまった。

この部屋の効果かその倦怠感は一瞬で回復したが、おそらく【魔力切れ】症状だろう。


「1~2分か…。このままでは使い物にならんな。」


聞いた話では、魔力は枯渇するまで使ってから回復すると最大値が上がるらしい。

それならこの部屋でスキルを使用しながら鍛錬を積めば最大魔力は上げ放題じゃないか。


「出来るだけスキルレベル、最大魔力値を上昇させる。その後でスキル使用しながら1~10階層を攻略しなおしてスキルを使用した戦闘経験を積む。それが終わったら11階層挑戦だ。」


これも聞いた話だが、目標は口に出してはっきりという事で達成率が変わるらしい。


「ふふふ…。強くなれるというのは嬉しいな。行くぞ11階!!」


そう言うと俺はスキルを発動させて真剣での素振りを始める。


「…1…2…3…!!」




◇◇◇◇◇




あれからどのくらいの時間が経っただろうか。

最初の部屋で修練を積むだけの生活で漸く頭打ちになった。

今のステータスはこうなっている。


ジーク

種族:人族

才能:なし

スキル:剛力Lv.MAX.


スキルは最大まで習熟度を上げると上位スキルに進化する場合があるという事は知っていたが、瞬間筋力上昇がそういった類のスキルだったとは思わなかった。

しかも2回も進化したので相当の時間がかかってしまった。

魔力量も数時間では枯渇しなくなってしまっている。


そろそろタイミングだろう。

1階層から攻略を再開しよう。


そして俺は魔法陣ではなく扉の方からダンジョンへと潜っていく。



ここから(ジーク)よるダンジョンの蹂躙劇が始まる。

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