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52.踏破者、半妖の少女を鍛える(2)

レベッカが平原の地面の上にロッドを使って魔法陣を書いていく。

それを遠巻きに眺めているとシファが話しかけてきた。


「【単眼翼幻獣(アーリマン)】を召喚できたとして契約はどうするつもり?まだあの子には早いんじゃない?」


「ん?ああ、そのあたりは考えてあるよ。レベッカを強くするという目的がある以上遠回りはしない。最短で行くためには犠牲がつきものさ。」


「犠牲??」


シファが可愛らしく首をかしげているが、そのあたりは実際にやってみたほうが早いだろう。

まずは召喚に成功しないことには話にならない。


「ジークさん。できたと思います。」


お、いいタイミングだ。


「よし、じゃあその魔法陣に魔力を流すんだ。流す魔力の量によって召喚される幻獣のレベルが変わるから思いっきり流すといい。」


「わかりました。やってみます。」


そういうとレベッカは魔法陣の傍にかがむ。

ロッドで地面を掘って作った魔法陣に手をかざす。


俺は彼女の魔力の流れを注視する。

彼女の体内を流れている魔力は手から地面へと流れ、魔法陣に沿って流れていく。

初めて行う作業なのに迷いも淀みもない。

人族基準からいうとまだ開花前の才能なのだが、確実に適性があるということがわかるな。


やがて魔法陣全体にレベッカの魔力が行きわたる。


「レベッカ。そこからは魔力出力を上げながら対象を呼び出すイメージを持つんだ。やりやすければ言葉にしても良いらしい。」


ギルドの書物庫で得た知識を伝える。


レベッカは魔力を流すことに注力しながらも無言で頷く。


魔法陣をめぐる魔力がひときわ大きくなる。


「召喚!!」


レベッカの発声とともに魔法陣が輝くと同時に黒い靄のようなものが出現する。

その靄は意識を持っているかのように空中の一か所に集まると、次第に形がはっきりとしてくる。


そこに現れたのは間違いなく【単眼翼幻獣(アーリマン)】だった。


『ゲギャギャギャ、俺ヲ呼ビダストハナ!!』


「成功したようだな。あれが【単眼翼幻獣(アーリマン)】か。」


『アン?ナンダ?弱ソウナ奴ダナ?魔力ガ多イダケノガキカ??』


早速レベッカは【単眼翼幻獣(アーリマン)】に舐められているようだ。

普通に契約は難しいかな?

だが、レベッカは果敢に交渉を開始する。


「ボ、ボクと契約してください!!ボクにはあなたの目が必要なんです!!」


それに対し【単眼翼幻獣(アーリマン)】は滑稽だと言わんばかりの表情を表す。


『ゲギャギャギャ、俺ヲ誰ダト思ッテイル?【単眼翼幻獣(アーリマン)】ノ中デモ序列3位ノスカイ・アイ様ダゾ?』


こいつ、性格は悪そうだがかなり高位の【単眼翼幻獣(アーリマン)】だったようだ。

となると益々このまま逃がすのは惜しいな。

俺も交渉に乗り出すタイミングかな?


「お願いです!!協力してください!!」


なお諦めないレベッカに対し、【単眼翼幻獣(アーリマン)】はそのいやらしい笑みを一層深くする。


『…イイゼ!!契約成立ダァ!!』


良いのかよ!!

何だよその前の無駄なやり取り!!

変にもったいぶってんじゃねぇ!!


「本当ですか!?ありがとうございます!!」


『イイッテコトヨ!!俺様ヲ呼ビ出セル才能ガアルンダ。オ前大物ニナルゼ?』


どうやらこの【単眼翼幻獣(アーリマン)】、見た目ほど嫌な奴じゃなかったらしい。

まぁ無事に契約出来たようだし素直に喜ぶべきところだろう。


「契約成立だな。早速で悪いが彼女に【遠視】のスキルを与えてほしい。彼女、それがないと目が見えないんだ。」


『ナンダオ前…ン?オ…オ前ハ…ナ、ナンデコンナ化ケ物ガコンナ所ニイルンダ?』


「俺は彼女の保護者みたいなものだな。あぁ、別にお前が彼女と契約を交わそうとしなかったら拷問して眷属化してでも契約させようとか思っていないからフランクに接してくれていいぞ。」


『コイツヤベー!!』


さっきまでいやらしい笑みを浮かべていたその顔は今、恐怖に引きつっている。

俺の隣ではシファが何やら頷いているが、それは何に対する同意だ?


『ト、マズハ【遠視】ダナ。』


単眼翼幻獣(アーリマン)】はその大きな目を見開き、レベッカを見る。

瞳が怪しく輝くとレベッカ自身もそれに呼応するかのように光を帯びる。


『付与完了ダ。』


レベッカを見ると目を見開いていた。

その瞳は、以前は光を灯していなかったものの今は赤く光っている。


「…見える。見えるよ!!スカイちゃんありがとう!!見え…えええ?ここどこ!?」


レベッカはせわしなく視線を動かしている。

【遠視】は意識を向けた先をかなり遠距離まで視認することが出来る能力だ。

おそらく無意識に意識を集中させてしまったせいで視界が飛んでしまったのだろう。

こればっかりは慣れてもらうしかないな。


しかしスカイちゃんか…。当の【単眼翼幻獣(アーリマン)】は気にしていないようだしそれでいいか。


『ゲキャキャキャ、今ハ他ニヤル事モ無イヨウダシ、一旦引ッ込ムゼ。時期ガ来レバ俺ノ固有能力【石化の邪眼(メデューサ・アイ)】モ授ケテヤルヨ。ジャアナ!!』


そう言うとスカイ・アイは黒い霧となって霧散した。

しかし、最後とんでもないことを言っていたな。

俺も欲しいくらいの能力なんだが…俺でも契約できるのだろうか。

シファ曰く俺の【才能なし】は何の制約も受けないという事なので出来るかもしれない。

今度一回試してみよう。


「さて、初めて得た視界はどうだ?最初は疲れるかもしれないが、まずはその眼に慣れよう。ある程度慣れたら次は弓の練習だ。」


「はい!!頑張ります!!」


レベッカ強化計画はまだ続く。

勢いで書いてしまいましたが、人を石にできる眼とか文章で表現できる自信ない…。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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