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186/218

186.踏破者、ハンター仲間と歓談する。

「おいおい、どうなってんだこりゃあ?」


そんな声が耳に入ってきて顔を上げる。

座り込んでいる元領主代行と呆然と立ち尽くす兵士。

その隣に獣人の男が立っていた。

銀の毛並みの狼人。

見覚えのある男だ。


「ん?ロウか?『神狼組』の?」


「おう。覚えてくれてるとはありがたいね。」


ロウはコウナードでダンジョンの溢れ出しに対応した際に一緒に作戦に参加していたハンターだ。

獣人だけで構成された『神狼組』のリーダーを務めている。


「なんでコウナードのハンターがこんな所に居るんだ?」


俺は素直に疑問を投げかける。


「あん?ジークが厳戒令発したんだろう?俺たちはこの街の住民の避難行動を手伝うために派遣されてきたんだよ。」


どうやらハンターギルド間の連携は思っていたより強固だったようだ。

ミリガルド帝国の侵攻があった際にこの街が最前線になることを見越したうえで有力なハンターをこの街に集結させていたという事らしい。


「なるほどな。じゃあなんでここに?」


これはもっと狭い範囲の問いだ。

住民の避難に当たっているならこの戦線に出てくる理由はない。


「ああ、一緒に住民の避難に当たっていた兵士の顔色が悪くてな。問い詰めたら足止めの為にここに残った兵が居るっていうじゃねえか。そんな意思を持っている奴らをみすみす失うのは勿体ないと思ってな。ある程度避難に目途がついた時点で俺だけこっちの様子を見に来たんだよ。俺なら上手くやれば1人、2人位担いでも歩兵位からなら逃げ切れるしな。」


「お前本当に良い奴だな。」


思い返せばダンジョンの溢れ出しの時も適切な状況判断と男気に満ちた行動をとっていた気がする。


「まぁ無駄骨だったわけだが…。だいたいお前さんこそなんでここに居るんだよ。2日前にライラと連絡を取ったが、その時には『迷子の子猫の捜索』依頼を受けて街中を歩き回ってるって言ってたぞ?…依頼の落差も気になるが、2日じゃここまで来れねぇだろ?」


2日前…。

そう言えばそんな依頼を受けていたな。

ちょうどハンターたちが出払っていて受注してくれる人が居ないからとライラさんに頼まれたんだった。

いつミリガルド帝国が攻め込んでくるかわからなかったから町を離れられなかったし暇だったから受けたんだった。

あれは高難度依頼だったな…。

シファの【探索(サーチ)】では姿形は分っても個体の識別まで出来ないってことで結局街中くまなく探すことになったんだった。


っと、質問はそっちじゃなかったな。


俺は空を見上げて手招きする。


「?」


その動作を見てロウや兵士たちも空を見上げる。

そこには滑空してくる巨竜の姿があった。


「なんだありゃ!?」


瞬間的に戦闘態勢に入るロウ。


「心配要らん。あれは俺の召喚獣だ。」


ほどなくバハムートが俺の背後に着地する。

その背にはシファが座り、何かの本を読んでいた。


…この状況で読書??


とりあえず俺はシファの事を思考から外すことにした。

俺は親指でバハムートを指さす。


「こいつに乗ってきたんだよ。2~3時間ってとこか?」


『本気で飛べば2時間くらいあれば行けるじゃろう。』


謎に虚勢を張るバハムート。

いや、3時間でも規格外に速いんだからな?


「は、はは。【単眼悪魔(サイクロプス)】を次々と屠って行ってた時も規格外と思っていはいたが、本格的にオカシイ奴だったって事か。」


「失礼だろうが。俺はまともな人間だ。」


「いや、お前さんの『まとも』の定義を疑うよ。そういやあの兵?もそうなのか?」


ロウの視線が俺を通り越して鬼神たちに向く。


「あ~なんて説明すればいいんだろうな…。舎弟?」


「パシリかよ。」


『我らは主の眷属だ。』


いつの間にか俺の後ろに来た因陀羅(インダラ)が答える。


「おう。終わった?」


『はい。人数が多いばかりでまるで手応えはなかったですね。これなら1将分の鬼神兵で事足りたと思います。』


「そうか。だが油断は禁物だぞ?力試しじゃないんだ。戦いで手を抜けば死ぬのはこちら側だ。」


自分が戦いを楽しむためにわざと鉄壁を解除して相手と切り結ぶようなことをしたことは棚に置いておく。

因陀羅(インダラ)は俺の言葉に感銘を受けたようだ。


『確かに…。戦いはそういうものでしたな。』


「そういうことだ。…で、そいつは?」


俺は視線を因陀羅(インダラ)が左手で首根っこを鷲掴みにして引きずっているミリガルド兵に向ける。


『敵兵の指揮官です。』


「瀕死じゃねえか。」


見れば顔が半分潰れ、呼吸も今にもとまりそうだ。


『申し訳ありません。どこかか飛んで来た石が直撃してしまったようです。』


「流れ弾か…。シファ、治してやってくれ。」


俺はバハムートの背に座ったまま降りてこないシファに声をかける。

シファはやれやれと言う仕草をしながらもバハムートから飛び降りて来てくれた。


「【治癒(ヒール)】」


因陀羅(インダラ)が掴んでいる兵士の傷がみるみる回復していく。


「う…。」


「これで話が出来るな。さて、色々聞かせてもらおうか。問答無用でこちらを蹂躙しようとしてきたんだ。この後何されても文句は言えんよな?」


俺はしゃがみ込んでミリガルド兵の顔を覗き込む。

その兵の顔にははっきりと恐怖の色が浮かんでいた。

獣人族って何の獣人かっていうのと性格をリンクさせると書きやすいんです。

彼らも良い人なので今後出番を作りたいですね。

あとは猫人の某ギルドマスターですね。

彼女は捨て置くには惜しいキャラなので確実に出てきます。

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