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174/218

174.踏破者、十二神将に初命令を下す。

俺の眼前には片膝をつき、首を垂れる十二神将がいた。

皆、1対1での戦いで俺に負けたことで忠誠を誓わせている。

眷属化も行使したが、抵抗感のあるものは皆無だったことから全員が言葉通りに忠誠を誓うつもりだったのだろう。


『十二神将よ、主に仕えるのは我の方が早かったからな。我のことは兄眷属として扱え。』


今は本来の姿であるシュラが勝ち誇ったように言う。


いや、兄眷属って…。

兄弟子みたいに言ってるけど恐ろしく語呂が悪いぞ。


っていうかお前俺に傷を付けることも出来なかっただろ。


俺は左腕を見る。

ひじ先で衣服がすっぱりと切れている。

これは宮毘羅(クビラ)にやられたものだ。

十二神将の中では太刀使いになる。

こいつは十二神将の中で唯一、俺の鉄壁を越えた(・・・・・・・・)

太刀使いと言う事で【竜人化(ドラゴンフォーゼ)】を解いて技術の勝負をしていたたという事もある。

実際、【竜人化(ドラゴンフォーゼ)】を併用した鉄壁は抜けなかったしな。


それでも、腕を切り落とされたのは【アビス】以来だ。

やはりこいつらは強い。


…そう言えば再生スキルで1秒とかからずに腕を復元させたのには引かれたような気がしたが、それは触れないでおこう。


『我らが忠誠を誓うのは主のみだ。阿修羅王、貴様ではない。』


『この兄奴隷…じゃなかった。兄眷属に向かって生意気な口を叩くじゃないか。』


おい。

いま奴隷とか言っただろ。

言い切っただろ。

俺の印象が悪くなるから止めろ。


『やるか?』


「シュラも因陀羅(インダラ)も止めろ。」


『チッ。』『ハッ!!』


因陀羅(インダラ)は俺の言う事には従ってくれるようだ。

っていうか今シュラさん舌打ちしたよな?

ちょっとこれは調教が必要かな?


「と言う事は私は姉眷属になるのかしら?」


シファまで入ってきた。

いや、確かにシファは眷属化してるから眷属の先輩と言う意味では正しい。

だが、その眷属に一番抵抗して苦しんでたのはシファだからな!?

俺からすると先輩面されるのもなんだかなぁという気もする。


『承知しました。これからは姐さんと呼ばさせていただきます。』


『おい、我の時と態度が違うぞ。』


『姐さんの回復魔法は見事でした。我ら十二神将の中で回復魔法を扱える迷企羅(メキラ)の比にならぬ出力。それだけで実力は見えるのだ。阿修羅王と比べるなどおこがましい。』


『…どうやらどちらが上かはっきりさせる必要がありそうだな。』


『望むところだ。』


「お前らいい加減にしろ。」


『チッ。』『ハッ!!一度ならず申し訳ありません!!』


「…シュラ、お前は後で躾だ。」


『…!?』


そのそんな馬鹿なって感じの表情はどこから来るんだ?

当然だろ。

あ、泣きそうな顔になった。


「そう言えば、シュラからは十二神将はそれぞれが7000もの配下を従えていると聞いていたが、そうなのか?」


『はい。我らはそれぞれが鬼神の軍を率いる将にございます。眷属と同じ扱いになっておりますので【眷属召喚】で呼び寄せることも出来ます。』


「【眷属召喚】?」


聞きなれない単語に首をかしげる。


『眷属召喚は眷属関係にある従者を呼び寄せる召喚魔法の一種です。我らも主の眷属となりましたので、何時いかなる時にも呼び寄せることが可能です。召喚後は元居た場所に送還することも可能です。』


「ほう。」


つまりあれか。

数万人の大隊を常に傍に置いておく必要はなく、必要な時に呼び出せるという事か。


…便利すぎる。


「ジーク。」


呼ばれてシファを見る。

彼女は少し真剣な顔をしていた。


「どうした?」


「…魔族領側からかなりの人数がこっちに向かってきてる。」


「魔族軍の侵攻か。」


「多分…でもこれまでの比じゃない。正確には分からないけど、2000は超えてる。」


「2000!?」


それはこれまでのようなバラバラな侵攻の内容ではない。

魔族軍側の侵攻方針が変わったのは明らかだろう。


とは言っても魔族軍の指揮官になるはずだったベリルは数日前に致命傷を負ったばかりだ。

別の指揮官か、あるいは高度な回復魔法によりベリルが復活しているか…。


『主よ、我らの出番ですかな?』


そう言ってきたのは因陀羅(インダラ)だった。


そうだ。

そう言えばこういった数に対抗するために俺は十二神将を従えたのだった。


俺の眼前には命令を待つ12人の武将が今かと待っている。


っていうかめっちゃ期待されてる!?

いや、2000程度にお前ら全員行かせたら…2000vs84000?

やりすぎやりすぎ!!


俺は小さく息を吐く。


因陀羅(インダラ)、ここはお前に任せよう。兵を率いて侵攻してくる魔族を殲滅しろ。あ、指揮官は殺さず連れてこい。」


『御意に!!』


明らかにテンションが上がっている因陀羅(インダラ)と、反するように肩を落とす他の十二神将。


これはあれか?

全員のモチベをうまく管理して行かないといけないのか?

めんどくさっ。


若干憂鬱になった俺とは対照的に因陀羅(インダラ)は嬉々として叫ぶ。


『【眷属召喚】!!』


辺りに黒煙が巻き上がったかと思うと平原を埋め尽くす異形の鬼たちが現れる。


『聞けぇ!!我らは新たに主の配下に入った!!我ら十二神将を遥かにしのぐ力を持ったお方だ!!そしてその力に奢ることなく、弱者である我らに教えを乞うという、ひたすらに高みを目指す崇高なる意思を持つ御方だ!!』


え?何?

なんか演説が始まったんですけど!?

いや、確かに因陀羅(インダラ)の配下とは初顔合わせだけど別に俺の事とか紹介要らないんだけど?

ほら、皆いったい何の話か分かってないはず…。


俺は鬼神たちを見回す。

…何故か皆憧憬の眼差しで俺を見ていた。


あ、これヤバい奴らだわ。


『今!!その主に害をなそうと魔族軍なるゴミ共がこの地へ向かっている!!そして、主は我らにそのゴミ共の粛清を命じられた!!貴様らの力を示せ!!指揮官を除きすべての敵を殲滅せよ!!』


『『オオオオオオォォォォォォォオオオオオ!!!!!!』』


『行けぃ!!!!』


『『オオオオオオォォォォォォォオオオオオ!!!!!!』』


直後に7000もの大群が地響きを立てながら魔族領へとなだれ込む。


その鬼神たちの熱量に圧倒された俺は呆然と立ち尽くすしかなかった。

ジークさんの鉄壁を貫通した相手は初です。

刀の攻撃力の高さを表現したいがための演出ですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] シュラでも抜けない鉄壁を抜けたんだったら、相当な・・・いや、十二神将の中でも、トップクラスの強さがあるんだろうね。 確かに84000はやり過ぎ。魔族2000以上でも、2~3倍の兵力は、流石…
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