表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

170/218

170.踏破者、フレンブリード派兵を検討する③

皆が期待の眼差しを俺に向けてくる。

悪いが、そんな目を向けられても困る。


俺は大きく一つため息をついてから話し始める。


「俺が一人でどうにか出来る話ではないな。」


「何故ですの?ジーク殿なら相手が1万人いようと何とでもなるかと思いますが…。」


このお姫様自分が何言ってるか理解しているのだろうか?

1万人だぞ?

雑兵1万人ならともかく、相手の将校クラスがどの程度の使い手かもわからんと言うのに…。

下手をすれば俺でも敵わないような奴がいてもおかしくはない。

シファ達は人族にそんな奴はいないと言うが、隣国の内情まで把握できているわけではないだろうしな。


それに、もっと明確な問題もある。


「まず一つ目に、拘束期間の問題がある。流石に先制攻撃という訳にはいかんから、極端な話向こうが攻めてこなければずっとフレンブリード領に拘束されることになる。」


「…確かに。」


「ましてや、このシュタイン領はつい昨日に魔族領へちょっかいをかけたばかりの状況だ。いつ魔族側からの反撃があってもおかしくない。」


「うぅ…。レベッカちゃんの仇も逃げおおせたという話でしたわね。」


「そう。そいつは魔族軍の指揮官クラスだ。それにレベッカにやられたことに激昂していてもおかしくない。客観的に見ても近々魔族側から大きなアクションがある可能性は高いと思う。」


一応、レベッカの仇であるベリルは致命傷を負って転移魔法で逃げたので、すぐ戦線に復帰できるかは微妙な所だ。

だが向こうにシファクラスの回復魔法の使い手が居たら、即座に復帰できてしまうだろう。


要塞への攻撃も仕掛けてあるが、連中があれで守りを固めるかは分からない。

ある程度は要塞内にダメージも与えたし、防壁なんかは2カ所ほど吹き飛ばしている。

普通に考えれば守りを固めて要塞の防衛機能を復活させるところだが、人族を見下しまくっている好戦的な魔族がそれで大人しくしていてくれる保証もない。


「確かに魔族からの大規模侵攻があるとなると、国防軍だけでそれを防ぐには現状戦力では不安がありますな。」


そう唸るのはネレウスだ。


「魔族の将校クラスに太刀打ちできるのもジーク様とシファ様が居ないとなるとレクシア様しかいないというのも不安材料です。」


「むう…。悔しいですがジーク殿を派遣するのは現実的ではなさそうですわね。」


いや、お前は何に悔しがってるんだよ。


「もう一つ問題点があってな。俺は防衛に向いてないんだ。」


「…どういう意味ですか?」


「これは単純な話なんだが、例えば俺がフレンブリード領に駐在していても、ミリガルド帝国が複数の町に同時に侵攻してくると手の打ちようがない。」


「あ。」


そう、これは最近の俺の悩みの一つでもあるのだが、一人では数を相手に出来ないのだ。

俺とシファが別々に動いても2カ所しかカバーできない。


「それに、俺は多人数を相手にする術があまりなくてな。大半は周囲に被害が出るからより拠点防衛には向いていない。まさか隕石落とすわけにもいかんだろ?」


「あの魔法は封印してくださいまし。…ですがおっしゃっていることは理解しました。私も少しジーク殿に頼り過ぎていたのかもしれませんわ。今一度、この件はよく考えてみます。」


「悪いな。一応俺もその弱点は克服しようといろいろ考えて…。」


途中で口ごもった俺に全員が訝しげな目を向けてくる。


「どうかしましたか?」


「…いや、もしかしたら何とかなるかもしれん。いや、まだ目途すら立っていないんだが…。」


俺にしては珍しく歯切れの悪い発言だ。

ティアも困惑の表情を浮かべている。


「何か案があるのですか?」


「そうだな。俺も自分の弱点は理解していいて、数を相手にするには同じく数を用意するしかないという結論に至ったんだ。」


「…国防軍の戦力増強を早急に行う術を考えられていたとかですか?」


「いや、召喚術で呼び出した奴を片っ端から屈服させていって配下に置くことを考えていた。」


「思っていたより物騒なことを言い始めましたわ!?」


これは初耳だったシファも顔を青ざめさせている。

待て、今回は手あたり次第という訳ではないんだ。


「それについてシュラに相談したんだが良さそうな相手がいるという話を聞いてな。なんだっけ?十三騎将だっけ?」


『十二神将だ。』


「そうそう、十二神将だ。シュラの系列の神族で12人の将がそれぞれ7000人ほどの兵を従えているらしい。もしそいつらを配下に置くことが出来れば10万近い軍隊が出来上がる可能性がある。」


「ちょ、ちょっと待って下さいまし!!…私たちの一般常識からかけ離れすぎてて脳が理解を拒んでいますわ!!」


「理解する必要はない。そこにある事象を受けいれろ。」


「何か格好いいですわ!?」


「惚れるなよ?」


「私が惚れているのはシファお姉さまです!!…あ。」


あ。

ティアが女色だと知らないメンバーもここには居る。

見ればライラなんかは露骨に驚いていた。


すまんなティア。

何もひっかけようとは思っていなかったんだ。

っていうか今のは完全な自爆だからな?


ティアは乗り出していた身を引っ込めると一つ咳払いする。

顔が真っ赤なのでかなりのダメージを追ったようだ。

皆ジークさんと一緒にシファさんが行動することを理解してニコイチで話してますね。

そこは皆理解しているようです。

本作を応援しても良いと思っていただけましたらブックマーク・評価の程宜しくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ