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160/218

160.踏破者、魔族領へと足を踏み入れる。

城塞都市モールドの防壁上でパズズからの報告を最後に聞く。

どうやらレベッカは今のところ無事で、これまでに見かけた魔族を3人排除してきているとのことだった。


「レベッカちゃんは魔族を排除しながら北へと向かっているようですわね。」


「ああ、目的の魔族が要塞へ移動してくるところを狙うつもりだろう。」


パズズからの報告はそこまで情報量がないため、不足部分を推測で補う。


「それで私たちはどう動くの?」


「ああ、俺たちは要塞へ攻撃を仕掛けて奴らの目をレベッカに向かわないようにする。その後で様子を見に行こう。」


「2人で要塞へ攻撃を仕掛けるのね?流石に壊滅させるには少し時間かかるわよ?【厄災招来(メテオライト)】使う訳にはいかないでしょう?」


「あれはしばらく封印だ。それに、壊滅までは考えてないな。遠距離から一撃、重いのを入れて混乱させるくらいだ。人族からの攻撃と思わせられれば防御を固めるだろう。」


シファと魔族領突撃後のすり合わせをする。

レベッカの仇討ちに関しては彼女から助けを求められない限りは手を出すわけにはいかない。

なので俺たちにできることは彼女の目的の邪魔になるその他大勢の魔族をこっちで引き受けることだ。


「師匠…。」


まだ少し落ち込んでいるレクシアが声をかけてくる。

彼女は俺が魔族領へ行くと言った際に同行を志願してきていたが、話し合いの末この都市に残ることになった。


だって足遅いし。

遠距離攻撃できないし。


彼女も渋々ではあるが了承してくれている。

だが、心情的にはレベッカの所へ行きたいというのは変わっていないようだ。

不安そうな顔をしている。


「レベッカの事は俺たちに任せろ。必ず連れて帰るから。それより、まだ魔族の襲撃があるかもしれないんだ。こっちも気を緩めるなよ?」


俺の言葉に頷くレクシア。

その後ろではネレウスも軍隊式の敬礼で意思を表示している。


「私は…と言うよりラマさんは本当に連れて行かなくていいのですか?レベッカちゃん側の動向を確認する手段が無くなってしまいますが…。」


次は若干申し訳なさそうなティアが尋ねてくる。

こっちはレクシアと違って最後まで同行させるかな悩んだところである。

だが、ラマシュトゥの任務はティアの護衛だ。

護衛が手薄になったところを突かれてティアに危害が及ぶようなことがあってはならない。


とはいえ、迷う所であると表に出せば彼女はラマシュトゥを連れて行くように言ってくることは分っている。


「ああ、こっちはシファの【探索(サーチ)】があるから大体どこにいるかだけ分かればすぐに見つけられる。それに、パズズも居るからな。そう簡単にやられることもないだろう。」


シファも頷く。


「大丈夫。私とジークの2人きりで良い。邪魔者は要らないわ。」


いや今そういう雰囲気じゃないよね!?

なに?場を和ませようとしたのそれ!?

ちょっと違うんじゃないかなぁ!?


見ればティアはきょとんとしている。

レクシアも同じだ。


シファは失敗したのを理解したのかみるみる顔が赤くなる。


うん、ちょっと可愛い。


とは言え、このまま放置しておくと彼女まで使い物にならなくなってしまいそうだ。

俺は一つ咳払いをする。


「よし、じゃあ行くぞ。レクシア、ネレウス、ラマシュトゥ、後は頼む。」


そう言い残して防壁から飛び降りる。

シファもそれに続く。


それから俺たちは魔族領へと駆け出した。







要塞へ向けてしばらく走っていたが、シファが何かに気付いたようでその足を止める。


「どうした?」


俺も同じように足を止め、シファに声をかける。

シファは進行方向より少し右を指さす。


「この先、魔族軍の攻撃部隊が人族領に向けて進軍してきてるわ。」


おっと、そう言う事か。

俺は少し思案する。


「…数がどのくらいかはわかるか?」


「おおよそ200ね。」


200なら国防軍でも何とでもなるだろうが、問題は強い個体が居た場合だな。

本来ならそういうケースではレクシアが対処に当たることになっているのだが、如何せんあいつは今精神状態が多少不安定な状況だからな。


後顧の憂いは絶っておくか。


「シファ、最速で処理する。俺を気遣う必要はないから範囲魔法打ち込んでくれ。」


「分かったわ。」


シファが頷いたのを見て俺は魔族軍に攻撃を仕掛ける。


「シュラ、行くぞ。【竜人化(ドラゴンフォーゼ)】。」


『承知し…わっぷ!!』


シュラの返事の途中だったが俺は竜人化して向上した身体能力をフルに使用して駆け出す。

すぐに魔族軍が見えてくる。

向こうはこっちが派手に突っ込んでくるのを見て驚いているようだ。


「【空断】」


動きの止まっている魔族たちに向けて不可視の攻撃を放つ。

狙いは先頭の魔族だが、後方では巻き添えになった魔族が何人も真っ二つになっている。


突然の襲撃者に対応できず、さらに混乱が深くなる魔族軍に追撃の【空断】を放つ。

魔族軍はなすすべなくその数を減らしていく。


「【雷雨(サンダー・レイン)】」


さらに加えて俺の後方にいるシファが広範囲魔法を放つ。

降り注ぐ雷に打たれた魔族は真っ黒に焼け焦げたようになり絶命する。

俺は鉄壁スキルに身を包み雷の雨の中へ。

魔法攻撃での取りこぼしを順に切り伏せていく。


200近くいた魔族はおおよそ30秒ほどで全滅した。


「先を急ごう。」


シファと頷きあい、俺たちは再び駆け出した。

さあジークさんとシファさんが魔族領へ入りました。

200人の魔族が30秒で全滅と言う事は一秒あたり7人弱。

こんなバランスブレイカー共に攻撃された方々はお気の毒としか言いようがありません。

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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