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15.踏破者、ハンターになる。

ハンターギルドの受付窓口は3つに分かれており、それぞれ依頼受付、報告受付、その他受付だったので俺たちはその他受付に並んでいた。

他の利用者の様子を窺っていると、この受付窓口に並んでいる人は依頼を出す目的の人が多いようだ。


「ハンターギルドへようこそ。ご用件を伺います。」


少し並んで待っていると俺たちの順番が来た。

受付には見事な営業スマイルの赤髪の女性が居た。


「冒険者登録はこの窓口で良かったかな?」


「はい、新規登録ですね。では希望者はこの登録用紙に必要事項を記入してください。2名ですね?」


そう言って受付嬢は登録用紙を二枚取り出しカウンターに並べる。

俺は頷いてシファにも記入するよう促す。


「登録用紙記入後才能確認を行いますので申請間違いのないようにお願いします。」


おっと、才能の確認をされるとな?


横目に受付嬢を確認すると、カウンター下から水晶型の魔道具を取り出していた。


ひと悶着ありそうだな…。


そう思いながら登録用紙の記入を終える。

年齢、才能以外は戦闘が出来るかや戦闘スタイルなど、経験や希望を書く内容だった。

才能の欄には注記で、有事の際の戦闘職の確認、犯罪防止目的で確認作業があります。と書かれていた。


「ではまず登録用紙の確認をしますね。………え?」


俺の記入した登録用紙の確認をしていた受付嬢が困惑の表情を浮かべている。


「えーと…、この才能の欄、間違いないでしょうか?」


「ええ、間違いありません。」


「で、では確認しますのでこちらの水晶球へ」


俺は右手で水晶球に触れる。

少しそのまま待ってみたが、なにも変化は起きない。

受付嬢は若干顔を引きつらせながら登録用紙の才能欄に確認済みスタンプを押していた。


「私も記入終わりました。」


隣で様子を窺っていたシファが登録用紙を提出する。

ん?こいつの場合才能ってどうなるんだ?


「は、はい。確認します。才能は…【聖属性魔術】ですね。では確認を。」


そう言って受付嬢はシファの前に水晶球を移動させる。

シファが水晶球に触れると、水晶の中に【聖属性魔術】と表示される。


「確認できました。…事務作業がありますので、打ち合わせスペースで少々待機していていただけますでしょうか。」


受付嬢がそう言うので礼を言って受付窓口を離れる。

様子を見ていると、受付嬢は登録用紙を持ったまま慌てた様子でバックヤードに走っていった。




空いている打ち合わせスペースに座り、シファに問いかける。


「才能ってどうやったんだ?お前才能なんてないだろ?」


「ふっ。私は神族だぞ?人族の言うステータスなんぞ簡単に書き換えられる。」


「捏造かよ。」


「嘘はついていない。聖属性魔法は使えるしな。まぁ全属性使えるんだが、天使と言えば聖属性だろう?」


「お前堕天使じゃねぇか。」


まぁシファの分だけ混乱が避けられたと考えれば良かったかな?

なんて考えている時だった。


「よぉ、新人ハンターさん。」


禿頭のガラの悪そうな男が声をかけてきた。

こいつは俺たちが登録手続きをしていた時に隣の報告受付窓口にいた男だ。

こちらをちらちら覗き見していたのでどこかで絡んでくるとは思っていたが、早かったな。


「どうも。何か用ですか?」


「才能なしのテメェに用はねぇよ。そっちのお嬢さん。俺たちと少し話しようぜ?悪いようにはしねぇからよ。」


おう、こんな感じにはなると思っていたがいっそ清々しいくらいの対応だ。

これはダンジョンに放り込まれる前の俺が登録行ってたら何があったかわかったもんじゃないな。


見るとシファは話しかけられているのに気づいていないくらいの感じで本を読んでいる。

いつの間に…。

シファは異空間収納魔法も使用できるので、そこから取り出した本だろう。

そういえば【アビス】の100階層に行った時も本を読んでたな。


「おい、無視してんじゃねぇよ。このC級ハンターのテゲス様が誘ってやってんだぜ!?」


男が少し苛立ったように言う。

相変わらずシファは無視してるが、このままだとこいつシファに手を出しそうだな。

…シファが暴れるよりかは俺がやった方が被害が少なくて済むだろう。


「礼儀もなってない上に弱い下衆(ゲス)さんに相手する価値ないってよ。どっか行ってくれるかい。」


そう言って俺は鼻で笑う。


「あ゛?」


テゲスは即座に俺に対して殴りこんできた。

即暴力。

もう思い通り過ぎて笑うしかない。


こういう手合いは力の差を見せつけてやらんと何度も突っかかってくるからな。

この(パンチ)を片手で受け止めてねじり上げて、床に這わせて踏みつけたうえで腕をねじりこみながら謝罪させるか。


そんなことを考えながら男の(パンチ)を受け止めるべく左手をそれに合わせる。


バキボキボキ


「っぎゃああああああ!!??」


あ、力加減間違えた。


テゲスの右手は俺の左手に握りつぶされ、ぐちゃぐちゃになっていた。

指の骨も飛び出しているし、中々にえぐい。

これはもう武器も握れるようにならないだろうしハンター引退かね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] こういう冒険者登録時の定番風景いいね たまーに優しい主人公が穏便に済ませたりするけど、 やっぱカスは撃退してなんぼでしょ
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